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ホロスコープ星国 パート30

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 「フェニ様、起きてくだい」


  私を激しく揺さぶって、私の眠りを妨げる人がいる。


 「まだ眠いです」


 私は大声で叫んだ。


 「ヴァンピー様から、朝6時に起こすように言われています。なので起きてください」


 ヴァンピーは私が寝坊しないように、メイドに、私を起こすように頼んでいたのであった。


 「もう少しだけ寝たいです」


 私は眠気には勝てないのである。


 「フェニ様、起きてください」


 メイドは、責務を全うするために必死に私を起こすのであった。


 『ライトシールド』


 私は、安眠を妨げられたくないので、本能的に私を全てのモノから守る『ライトシールド』を張った。私の体の周りを光の膜が包み込む。


 「フェニ様、起きください」


 メイドが大声で叫ぶが、私の耳にはもう届かない・・・


 数時間後。


 「はぁ~よく眠れましたわ。今日もたくさん寝れて幸せですぅ~」


 私は、目を覚まして元気よく言った。


 「フェニちゃん!なんでシールドなんて張っているの!」


 鬼のような形相のヴァンピーが、私の目の前に立っていたのであった。

 ヴァンピーは、メイドから連絡を受けて、すぐに王都の門から自宅へ戻ってきて、必死に私を起こそうと努力をしたが、私の張った『ライトシールド』を壊すことができなかったのであった。


 「あれ~なんでかな?」


 私はとぼけてみせた。


 「フェニちゃんは、アダラの村に行かないといけないのでしょ!私が門を警護しているうちに、王都を出ないと行けないと言ったでしょ」


 ヴァンピーは、大声で私を説教するのであった。


 「そんな事言ってたかしら???」


 私は全く思い出せないのであった。


 「今から行けば大丈夫です~」


 私は笑顔で言った。


 「フェニちゃん、昨日言ったよね!アリエルが警護しているときは、王都から出るのは難しいと!!!」


 ヴァンピーが鋭い目つきで私を睨みつける。


 「記憶にございません・・・」


 私は悪びれる素振りもなく言った。


 「はぁ~」


 ヴァンピーは深いため息をついた。


 「元気を出してください」


 私はにこやかに言った。


 「フェニちゃんのせいでしょ!私が安全に王都から出れるように準備していたのに、フェニちゃんがのんびり寝ているから、私はため息をついているのよ」


 ヴァンピーは、捲し立てるように言った。


 「ごめんなさいです」


 私は、なんでヴァンピーが怒っているのか理解していないが、とりあえず謝った方が良いと思って謝ることにした。


 「もういいわ。アダラの村へ行くのは、明日にしましょう」


 ヴァンピーは諦めたかのように言った。


 「いやですぅ~。今日行きたいです」


 私はわがままを言う。


 「フェニちゃん?私の話を聞いてなかったのかしら?今から王都を出るには危険すぎるのよ」


 ヴァンピーが呆れたように言った。


 「大丈夫ですよ」


 私は、にっこりと笑いながら言った。


 「フェニちゃん、何度も言ってるけど、アリエルはフェニちゃんを王都から出すことはしないのよ。それどころか、フェニちゃんを不審者だと認定して、お城に幽閉されるかもしれないのよ」


 ヴァンピーは、私の目を見て真剣に語りかける。


 「アリエルなんて怖くないのです」


 私は無邪気に言った。


 「フェニちゃん!もしアリエルに勝てたとして、王都中の兵士を相手しないといけないのよ!そんな無謀なことはしないで」


 ヴァンピーは必死に私を説得する。


 「でも・・・早くアダラの村に行かないと行けないのです~」


 私は意外と責任感が強いのである。


 「レジスタンスのことは気になるけど・・・今日は諦めるのよ。空でも飛べない限り王都からは出れないのよ」


 ヴァンピーは、私をなだめるように言った。


 「空を飛べたら、王都から出ることができるのですか」

 「そうね。人気のないところなら、空を飛べれば王都から抜けることは可能よ。でもよほどの風魔法の使い手じゃないと、王都を囲う塀を超えて、さらに王都を守る水路を越えるのは難しいわ」


 王都シリウスは、周りを水路と城壁に囲まれた鉄壁の守りを敷いている。王都を抜けるには、門を通る以外はないのであった。

 
 「空を飛べたらいいのになぁ~」


 私は小さくつぶやいた・・・・

 そういえば、リプロ様は黒くてカッコイイ翼を持っていた。リプロ様は、その翼で自由に空を飛ぶことができた。私もリプロ様のような翼があれば、空を自由に飛べることができるのになぁと、私は考えていた。


 「そうだ。試しみよう」


 私はボソッとつぶやいた。


 「フェニちゃん?何か言った」


 ヴァンピーが不思議そうに私を見ている。


 「なんでもないです。少しお散歩をしてきます」


 私は、王都の広場に行くことにした。


 「あんまり遠くへ行ったらダメよ」


 ヴァンピーは、心配そうに言った。


 「わかりました」


 私は元気よく返事をした。

 私は、王都にある大きな公園の広場にきて、人気のいないところで、翼が生えるように祈りを捧げた。


 「私に翼をください。私にリプロ様のようなかっこいい翼をください」


 しかし、いくら神様にお願いしても無視されるのであった。


 「神様のばかーー」


 私は、翼をくれない神様にイライラしていた。


 「リプロ様・・・どうしたら翼が生えるのですか?」


 私は、神様よりリプロ様を頼ることにした。


 「フェニには、フェニックスの翼があるじゃないか!」


 私の問いかけに答えるようにリプロ様が言ってくれた気がした・・・


 「そうだ・・・リプロ様は私に不死鳥フェニックスの能力を授けてくれた。もしかしたら、私はフェニックスのような炎の翼も手に入れているのかもしれない」

 
 と私は考えた。しかし、どうやったら炎の翼を使えるようになるのでだろうか?


 「魔力操作かな?」


 リプロ様は、魔力を操作することによって、いろんなことができると私に教えてくれた。『ライトシールド』もその一つである。


 「炎の翼をイメージして、魔力を背中に流したらいいのかもしれない」


 私はそう思ったので、早速試してみたのであった。

 私は、背中にリプロ様のようにカッコいい翼をイメージして、魔力を流してみた。


 『バサ、バサ』


 なんと私の背中から、炎の翼生えてきたのであった。


 「しゅごい・・・」


 私は自分の炎の翼に驚いてしまった。そして、炎の翼を鳥をイメージして、バタつかせてみた。

 すると、私の体は宙に浮いて、空を飛ぶことができたのであった。しかし、バランスを取るのが難してくて、近くの木にすぐにぶつかってしまった。


 「イテテテテ」


 私は、懲りずにもう一度、炎の翼をバタつかせて、空を飛んでみた。次は先ほどよりうまく真上に飛び上がることできた。そして、翼を慎重に操作して、そのまま王都の塀を越えたのであった。

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