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ホロスコープ星国 パート25

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 「なんだこのガキは!!」


 タラウスは驚きを隠せない。タラウスは、私が剣を素手で受け止めたことに驚愕して、目を見開いて驚いているのであった。

 私は、うまく魔力をコントールすることにより、タラウスの重みのある剣を簡単に防いだのであった。


 『ヘルファイヤー』


 私は受け止めてた両手から炎を出して、高温で剣を砕いた。


 「ベガちゃんをいじめないでください」


 私は、タラウスに大声で言った。


 「ごめんなさい」


 タラウスは、私の気迫に圧倒されてすぐに謝った。


 「ベガちゃん、関所を通るよ」

 「ヒヒーーン」


 ベガちゃんは、タプンタプンのお腹を揺らしながら、パカパカと歩き出した。私はベガちゃんに負担をかけたくないので、ベガちゃんに乗らずに、ベガちゃんと一緒に歩いて関所を抜けて言った。


 「タラウス様、このまま行かせてもよろしいのですか」

 
 兵士は、慌ててタラウスに確認を取る。


 「あのガキは、俺の『フルチャージ』の剣を素手で受け止めたのだぞ!あんな得体の知れないガキを相手にすることは無謀だ」


 タラウスの顔は青ざめていて、戦意は完全に失っていた。


 「では、カプリコーン軍団長に報告しますか」


 兵士はタラウスに問う。


 「ダメだ。俺の失態がバレることになる。今ここでおきことを他言することは絶対に許さん。俺の『星の使徒』として名誉が傷つくことは絶対にあってはならないのだ。あのガキと馬は関所を通っていない・・・そうだ。レジスタンスのヤツらが、こっそりと関所を通過させたことにしよう」


 タラウスは、保身の為に、私が関所を通過したことを無かったことにしたのであった。


 「しかし、このまま王都に行かせるのは危険ではないでしょうか?」


 兵士は、王都シリウスを危惧している。


 「お前にあのガキを倒せるのか。お前にあのガキを止めることができるのか。お前にあのガキが関所を通過した責任を取ることができるのか」


 タラウスは、怒涛の如く兵士を責める。


 「私には何もできません」


 兵士は頭を下げて言った。


 「何もできないのなら、偉そうなことを言うな。責任も取れないクズが俺に指図するな。お前達クズ兵士は俺の言うと通りにすればいいのだ」


 タラウスは、激昂して怒鳴った。


 「申し訳ありません」


 兵士は泣き崩れるようにタラウスに謝った。


 「責務に戻れ、あのガキのことは忘れろ。俺たちは何も知らないのだから・・・」


 タラウスは何事も無かったかのように、監視を再開したのであった。




 「ベガちゃん、無事に関所を通過できたので、少し休憩しようよ」


 私もベガちゃんをおんぶして疲れていたので、何もない道端の近くの草原で、一休みすることにしたのであった。


 「ベガちゃん、人参食べる?」


 私は、ベガちゃんが喜ぶ顔が見たいので、ベガちゃんに人参を差し出した。


 「ヒヒン、ヒヒン」


 ベガちゃんは、顔を横に振って人参を拒んだ。さすがのベガちゃんもお腹がタプンタプンで、もう食べれないのであった。

 
 「食べたくないの・・・」


 私は、ベガちゃんの喜ぶ顔が見れなくて残念であった。しかし、私は、まだお腹が空いていたので、収納ボックスからパンを取り出して、空腹を満たすのであった。

 私の収納ボックスは、リプロ様がアレンジしてくれたので、食材は腐らないのでとても便利である。アダラの村に向かうので、念のために5日間の食料は準備していた。思ったより簡単に関所を通ることができたので、予定通り2日間でアダラの村につけそうな気がしてきた。

 当初の予定は、このままアダラの村に向かう予定だったが、野宿よりフカフカのベッドの宿屋に泊まりたいと思って、王都シリウスに行く事にした。変装もバッチリなので、バレることは無いと私は能天気に考えていたのであった。

 私とベガちゃんは草原でのんびり休んでいたら、赤い鎧を着た兵士の一行が、私の前を通り過ぎて行った。兵士たちは重苦しい雰囲気を立ち込めていて、私に気づかないで関所の方へ向かって行った。




 「タラウス、状況はどうなっていますか」


 スコーピオが、関所に到着してタラウスに状況を確認する。


 「何も問題はない」


 タラウスは、平然と言った。


 「そうか、それなら問題はないですね」


 スコーピオは何も疑うことはしない。タラウスは平然を装っているが、内心は心臓が飛び出るくらい緊張しているのであった。


 「スコーピオ、何しにきたのだ」


 タラウスは、少しでも話題を逸らしたいのであった。


 「ライブラが、まだ戻ってきていません。なので、カペラの町まで探索に行くのです」


 スコーピオは淡々と言った。


 「ライブラは、殺されたのだろうぜ」


 タラウスは、私の強さを見て、まだ戻ってこないライブラは、死んだと確信したのであった。


 「縁起でもないことを言わないでください。ライブラはまだ生きているはずです」


 スコーピオは希望を捨てはしない。


 「お前は、ウルフキングとクソガキの強さを見たのだろう?」


 タラウスは、絶望的な目をしながら言った。


 「ウルフキングは強いです。しかしウルフキングは、無駄な殺生はしないと思います。なので、ライブラが生きている可能性はあると思うのです」


 スコーピオは、希望ある眼差しで言う。


 「そうだな。ライブラが生きているといいのだがな・・・俺は、この関所に不審者が来ないか、ただ待つだけだ」


 タラウスは静かに言った。そして、兵士たちが余計なことを言わないように、睨みつけたのであった。


 「関所は警備は任せます。私は少しでも早く、カペラの町へ行きたいので、これで失礼します」


 スコーピオは、タラウスにそう告げると、早々にカペラの町へ向かうのであった。


 「タラウス様、スコーピオ様に報告しなくてもよかったのですか?」


 兵士はタラウスに進言する。


 「何度も言わせるな。ここでは何も無かったのだ」


 タラウスが淡々と言うのであった。
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