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ホロスコープ星国 パート24
しおりを挟む★フェニ視点に戻ります。
「ベガちゃん重いよ・・・」
私は弱音を吐いていた。魔法で筋力を強化したけれど、馬を背負って歩くのは正直しんどいのであった。遠くに関所は見えていたので、このくらいの距離なら大丈夫だと思ったのだが、考えが甘かったのであった。
「重いのは、フェニちゃんがたくさん人参を食べさせたからよ」
と言いたげに、ベガちゃんは冷たい視線で私を見ているのであった。
「うんしょ、うんしょ」
私は掛け声を出しながら、ベガちゃんをおぶって、一歩一歩進んで行った。
「ヒヒーーン」
やっと関所入り口にたどり着くと、ベガちゃんは、関所を通しなさいと言わんばかりに叫んだ。
「馬が何しにきたのだ」
関所の兵士が問いかけてきた。
「ブヒィヒィヒィヒィ~ン」
ベガちゃんは、兵士に応答するかのように答える。
「おい。この馬は何を言っているのだ」
兵士は困惑して、別の兵士に声をかけた。
「俺にわかるわけないだろう。馬よりも、馬に乗られている女の子に聞いた方がいいだろう」
もう1人の兵士は冷静に判断をした。
「お嬢さん、なぜ馬に乗られているのですか?」
兵士は困惑しながら聞いた。
「これには、重大な理由があるのです・・・それよりも、ベガちゃん、降りてちょうだい」
もう関所に着いたので、私はベガちゃんに降りてもらうようにお願いした。
「ヒーーーーン」
ベガちゃんはとても悲しそうな声を上げた。ベガちゃんは、私に運んでもらってとても上機嫌だったので、降りたくないのであった。
「もうダメです」
私は、力の限界がきてそのまま倒れ込んでしまった。
『グーーーー』
私のお腹の音がなった。私はベガちゃんに人参を与えてばかりで、自分の食事を全く取っていなかったのであった。なので、お腹がペコペコで力の限界がきたのであった。
私が倒れ込んだので、ベガちゃんは私から降りて、心配そうに私の方を見ている。
「おい、その馬は何者だ!」
タラウスが、関所の入り口に顔を出した。
「馬は馬です」
兵士は当然のことを言う。
「そうか。馬なのか」
タラウスは納得した。
「タラウス様、馬に酷使されていた女の子が、倒れ込んでしまいました」
兵士は、私のことを心配してタラウスに報告した。
「すぐに魔法士のところへ連れて行って、治療でもさせておけ」
「身分証の確認はいいのですか」
兵士は、責務を全うする。
「それよりも馬を調べろ。ウルフキングは人間に変化する魔獣と聞いている。もしかしたら、馬にも変化しているかもしれないぞ」
タラウスは、人間を馬のように扱うベガちゃんを怪しいと判断した。
「確かにそうでございます。さすがタラウス様、ホロスコープ星国一の知将でございます」
兵士は、タラウスにおべんちゃらを使う。
「俺を侮るなよウルフキングよ!お前の策略など俺にかかれば、全てお見通しだ!」
タラウスはベガちゃんを指さして、偉そうに言った。
兵士たちは、ベガちゃんを調べ上げる。兵士がいくらベガちゃんを調べてもただの馬にしか見えないのであった。
「タラウス様、この馬はただの馬だと思います。もしウルフキングなら、こんなに大人しくしているはずがありません」
兵士は、タラスに報告をした。ベガちゃんは、まだ人参の食べ過ぎで、動く気力もないので、兵士が馬体を触っても大人しくしているのであった。
「そんなはずはない。俺の判断は絶対に正しいはずだ」
タラウスは、大きな剣を抜き取り、ベガちゃんに向けて剣を構えた。
「ウルフキング!俺は騙されないぞ。お前は馬に化けてこのまま関所を通り抜けていくつもりだろう。連れの女の子とは、さっきの奴隷の女の子だろ。俺が関所を守っているのが運の尽きだったな。他のやつならうまく騙せただろうにな」
「タラウス様、女の子は手配書の似顔絵とは異なりますが・・・」
兵士がタラウスに進言する。
「手配書など信用するな。俺は自分の直感を信じるのだ」
タラウスは自慢げに言う。しかし、タラウスの直感は、半分は間違っていないのであった。
「正体を現さないのなら、ここで俺がお前を殺してやる」
「もし、ただの馬だったらどうするのですか?」
兵士は不安げにタラウスに言った。
「もしただの馬なら、それでいいだろう。馬を殺したところで何も問題はない。しかし、馬を見逃して、もし馬がウルフキングだったら、それこそ大問題だ!」
タラウスは、大声で兵士を怒鳴りつけた。
「申し訳ございません」
兵士は、頭を下げて謝った。
「ウルフキング。ここでお前は死ぬのだ」
『鉄壁』『倍倍』
タラウスは油断はしない。ウルフキングの強さはスコーピオから聞かされている。なので『スター』を発動して防御力を上げた。
『フルチャーージ』
タラウスは全身に力を入れた。タラウスの『ゾディアックサイン』の能力は牛のような強大なパワーを発動できることである。『フルチャージ』をしている間は、体から金色のオーラーが発光して、本来の5倍の力を発揮できるのであった。
「俺は、油断はしない。全力でお前を殺してやるぜ」
タラウスは、ベガちゃんに突進して、剣を振り上げてベガちゃんの首を切り落とそうとした。
「真剣白刃取り」
私は、タラウスと兵士のやりとりを聞いていた。私は空腹で、関所の休憩室で治療をしてもらう予定だったが、私はお腹が減っているだけなので、治療の必要はなかった。でももしかしたら、休憩室で美味しい食事をもらえるのではないかと、甘い期待をしていたので、兵士に運ばれるままに休憩室にきたのであった。
しかし、タラウスが勘違いして、ベガちゃんをフレキだと認識してしまった。このままだとベガちゃんが危険だと察知した私は、収納ボックスから果物を取り出して、空腹を満たして、すぐにベガちゃんの元へ駆けつけたのであった。
私は、ライトシールドの応用で、全身にシールドを張りながら、タラウスの剣を両手で受け止めたのであった。
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