上 下
244 / 453

ホロスコープ星国 パート20

しおりを挟む


 「ここはどこだ」


 数日後、ライブラは、カペラの町の町長の屋敷の地下室で、目を覚ました。

 ライブラは、私の『ヘルファイヤー』の攻撃を受けて、全身に大火傷を負っていたが、私が途中で炎を消したことと、カペラの町の優秀な魔法使いの治療により、6割くらいは回復していたのであった。


 「久しぶりですね」


 ポルックスが、声をかける。


 「お前が俺を助けたのか」


 ライブラは、ポルックスを睨みつけながら言った。


 「私が止めに入らなければ、あなたは、彼女に殺されていました」


 ポルックスは、ライブラの目をじっと見ながら言った。


 「そんなことはない。もう少しで俺が逆転するところだったぜぃ」


 ライブラは、威勢良く言った。


 「本当にそう思いますか・・・私は、あなたと彼女の戦いを観戦していました。最初はあなたのが優勢だと感じて、私は止めに入ろとしましたが、彼女は、戦いながら成長しているように感じました。彼女は私が思った通り、戦いを通じて、大きく成長して、あなたの実力を簡単に超えてしまいました。このままだとあなたは殺されてしまうと感じたので、私が止めに入ったのです」


 ポルックスは淡々と語った。


 「俺の能力さえ、きちんと発動していれば、勝てたはずぜぃ」


 ライブラは悔しそうに言った。


 「それは違います。彼女はあなたの能力を凌駕したのです。あなたを倒した彼女なら、腐り切ったホロスコープ星国を変えてくれるかもしれないと、私は感じました」

 「この国を変えるだと」

 「そうです。彼女にはそれだけの力があると私は思っています。私は、ジェミニ王の統治には問題があると思い、この国のあり方を変えるように進言したのですが、あなた方に、王都シリウスから追放されて、この町にきました。私には国を変える力はありません。だから、この町で、王都から逃げてきた者を匿う事をしているのです」

 「それは知っている。ジェミニ王は、お前を殺すことはしないし、この町で自由に統治することは容認している。しかし、反旗を翻すなら、たとえお前でも、ジェミニ王は容赦はしないはずだ」

 「それはわかっています。なので、私は動くことができないのです。しかし、私が動かなくても、今の腐り切ったホロスコープ星国は誰かが、滅ぼしてくれるでしょう」


 ポルックスは、拳を握りしめながら熱く言った。


 「それがあのガキなのか」


 ライブラは、ポルックスを睨みつけながら言った。


 「彼女1人では難しいかもしれませんが、彼女を助ける仲間が現れたら、成功するでしょう」


 ポルックスは、未来を暗示するかのように言った。


 「ウルフキングか・・・」


 ライブラは、呆然として言った。


 「どうでしょう。彼女の話によると、ウルフキングとは、別々の旅をすることになったと言っていました。彼女とウルフキングが協力すれば、ホロスコープ星国の崩壊も近いかもしれません。それにレジスタンスも協力するかもしれません」


 私は、ポルックスにある程度の事情は説明していた。ポルックスは、私を救世主のように称えるので、つい調子に乗って色々と喋ってしまったのであった。


 「『レッドブラッド』の連中か・・・あいつらにも手を焼いているが、レオとキャンサーがアジトを見つけ出したはずだ。今頃、『レッドブラット』は壊滅しているかもな」


 ライブラは、嬉しそうに言った。


 「それは、本当なのか・・・」


 ポルックスは、驚きの表情を隠せない。


 「本当だぜぃ。俺の相手よりも、『レッドブラット』を助けに言った方がいいかもな」


 ライブラは、ポルックスを嘲笑うかのように言った。


 「ライブラの拘束はしっかりとしておきなさい。私は急用ができましたので、後は任せます」


 ポルックスはそう言うと、急いで地下の部屋から出て行った。


 
 私は、レジスタンスさんと会えるまで、カペラの町の近くで、魔獣と戦いながら、魔力操作の練習と宿賃を稼ぐために素材をゲットしていた。

 フレキは、争いのない平和のない世界を目指しているが、私も同じ気持ちである。しかし、町から出ると魔獣は人間を襲ってくるし、人間も素材を手に入れるために魔獣を襲う。私も自分が強くなるために魔獣と戦い素材を手に入れる。

 フレキと少しだけ一緒に旅をして、魔獣も平和に暮らす権利があると感じながらも、魔獣を倒して生活をしている自分に矛盾を感じていた。


 「わからないよーー」


 私は、カペラの町から離れた草原で、大きい声で叫んでいた。


 「フレキさん、私はどうしたらいいのですかーー」


 フレキから答えが返ってくることはない。

 私は矛盾を抱えながら、カペラの町へ戻ることにした。

 カペラの町に戻ると、門番が慌てて私のところへ駆け寄ってきた。


 「フェニちゃん、待っていたんだよ。すぐにポロックス様の屋敷に行ってください」


 門番は血相を変えて、私に声をかけてきた。



 「レジスタンスさんが来たのですか?」


 私は、嬉しそうに言った。


 「残念ながら、レジスタンスの方はまだ来ていません。しかし、レジスタンスの事で、大事な話があるそうです。なので、急いでポルックス様の屋敷に行ってください」

 「わかりました」


 私は、急いでポルックスの屋敷に向かったのであった。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【get a second chance】~イケメンに生まれ変わったら見える景色が鮮やかになった~

ninjin
ファンタジー
50歳、独身、引きこもりの俺は、自宅の階段から転げ落ちて死んでしまった。しかし、俺は偶然にも【get a second chance】の権利を得る事が出来た。【get a second chance】とは、人生をやり直す事が出来る権利であり、しかも、ゲームのように自分自身のレベルを上げる事で、イケメンにもなれるのである。一回目の人生は、不細工は不細工のまま、勉強しても頭が悪いのは悪いまま、運動神経がなければスポーツは上手くならない。音痴なら歌は上手くならない。才能がない者はどんなに頑張っても無意味だった。しかし、二度目の人生は違う。頑張れば頑張るほど成長できるやりがいのある人生だった。俺は頑張ってレベルを上げて二度目の人生を謳歌する。

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

フリーター、ゴーレムになり異世界を闊歩する

てぃー☆ちゃー
ファンタジー
旧タイトル)オレはゴーレム、異世界人だ。あ、今は人では無いです 3/20 タイトル変更しました 仕事を辞めて、さあ就職活動だ! そんな矢先に別世界へ強制移動とゴーレムへの強制変化! こんな再就職なんて望んでません! 新たな体を得た主人公が異世界を動き回る作品です

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~

星天
ファンタジー
 幼馴染を庇って死んでしまった翔。でも、それは神様のミスだった!  創造神という女の子から交渉を受ける。そして、二つの【特殊技能】を貰って、異世界に飛び立つ。  『創り出す力』と『奪う力』を持って、異世界で技能を奪って、どんどん強くなっていく  はたして、翔は異世界でうまくやっていけるのだろうか!!!

処理中です...