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ホロスコープ星国 パート3
しおりを挟む「カプリコーン軍団長、どのような魔獣を北の森に放ったのですか?」
赤騎士団の団長のスコーピオンが、カプリコーンに聞いた。
「北の森は、ウルフキングが支配するウルフ森と言われている。そのウルフキングに匹敵するキマイラ、グリフォン達を送り込んだ。これで北の森の魔獣のバランスが崩れて、森から抜け出す魔獣も出てくるだろう。しかし、ジェミニ王の作戦を成功させるには、ウルフキングの群れを北の森から追い出して、神守聖王国オリュンポスの領土へ仕向けないといけないのだ」
「カプリコーン軍団長は、魔獣に変化して魔獣を誘導できる能力がありますが、私たちは、身の安全は大丈夫なのですか?」
スコーピオンは不安げに訪ねた。
「俺の話術で、魔獣に襲われないようにするから心配するな」
カプリコーンは、天から力を授かった『ゾディアックサイン』の能力者である。カプリコーンの能力はヤギの魔獣に変化して、魔獣の言葉を話せる能力である。
「それなら、カプリコーン軍団長だけで、行けばいいのではないのですか?」
スコーピオは素直に言った。
「そんな寂しいことを言うな。1人だと寂しいのだ」
カプリコーンが、赤騎士団を連れてきた理由は、1人だと寂しいからであった。
「そ・そ・そうなのですか」
スコーピオを困惑したが、従うしかないのであった。
「よし、気分を変えて歌を歌いながら北森へ向かおうではないか」
「えっ!!!」
さらに困惑するスコーピオであった。
『4月生まれはアリエスさん~5月生まれはタウラスさん~6月生まれは偉大なるジェミニ王~♪♪』
と訳のわからない12星座の歌を大声で歌うカプリコーン。それを一緒に歌うように強要されるスコーピオのストレス尋常ではなかったのである。
『12月生まれはサジタリアスさん~1月生まれの素敵な私~♪♪』
北の森に着くまでこの12星座の歌を何度も歌うのであった。
「カプリコーン軍団長、北の森へ着きました。素敵な合唱は辞めて、慎重に行動しましょう」
カプリコーンは4色騎士団の頂点に立つ軍団長である。なのでスコーピオは素敵な合唱と褒めるしかないのであった。
「そうか・・・まだ歌い足りなのだが仕方がない」
カプリコーンは渋々歌うのを辞めるのであった。歌ハラが無くなってホッとするスコーピオであった。
★フェミ視点に戻ります。
南の森の中で特訓をしながら、ホロスコープ星国に目指していた私の前に強敵が現れた。そいつは1.5mくらいの体型の白毛並みの美しいウルフであった。
私はそのウルフを見てすぐに理解した。この白いウルフがこの南の森のボスであるウルフキングであると。ウルフキングの赤くて綺麗な美しい瞳が、私に死の宣告をしていた。私は特訓と称してブラックウルフ、ベアウルフを退治した。その復讐をするために私を探していたのだろう。
「あなたは、なぜ魔獣を殺すのですか」
ウルフキングが私に声をかけてきた。
「生きるためです。そして強くなるためです」
私は素直に言った。
「私たちは、人間に迷惑をかけないようにウルフの森でひっそりと暮らしています。この森に近寄らなければ、人間を襲うことはありません。この森は私たちの森です。あなたの言っていることは、自分勝手すぎませんか?」
ウルフキングは訴える。
「その通りかもしれません。しかし、この森がウルフさんの森という認識はありませんでした。なので、人間が森へ入ることもありますので、襲われた闘うのは当然だと思います」
私は真っ向に反論した。
「そうなのかもしれません。しかし、私以外のウルフには、人間と話すことはできません。やはり人間と魔獣がこの世界で共存するのは難しいのでしょう」
ウルフキングの目が鋭い視線に変わった。
「それは私にはわかりません。私は自分が生き抜くことで精一杯なのです」
私は素直に言った。
「そうですか・・・あなたは私の仲間を殺しました。このまま逃すわけにはいきません。もっと人間と話をしたかったのですが、私はこの森を守る王としてあなたを命を奪います」
ウルフキングは静かに言った。
「私はここで死ぬわけにはいきません。リプロ様に助けてもらった命を粗末にすることはできないのです」
『ヘルファイヤー』
私は先手必勝で攻撃を仕掛けた。
大きな炎がウルフキングを包み込む。
ウルフキングは大きく息を吸い込んで、口から『ホワイトブレス』を吐き出した。
私の『ヘルファイヤー』はウルフキングの『ホワイトブレス』にかき消された。
「その程度の魔法では、私を倒すことはできません」
ウルフキングはそう言うと、素早くジャンプして私の頭上に飛び上がり、そのまま急降下してきた。
『ファイヤーシールド』
私は、炎の盾を自分の頭の上に作り出した。ウルフキングは、鋭い足の爪で私の『ファイヤーシールド』と突き破って、私の頭をそのまま切り裂いた。
「リプロ様・・・ごめんなさい。せっかく助けていただいた命を粗末に扱ってしまって」
切り落とされた私の頭の瞳から、たくさんの涙が溢れ落ちた。
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