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神守聖王国オリュンポス パート20

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 「ガシャーーン」


 ネプチューン侯爵の屋敷の屋根が崩壊した。


 「何だ!何が起こったのだ!」


 ネプチューン侯爵は慌てている。


 「俺は心を鬼にして、アレスを動かすぞ」


 ハデスは自分の世界に入り込んでいて、屋根が崩れ落ちたことに気づいてもいない。


 「ハデス、アレスの操作はいいからこっちへ来い」


 しかし、ネプチューン侯爵の声はハデスには届かない。

 ネプチューン侯爵の屋敷の天井には大きな穴が空いた。そして、その穴から可愛い女の子が舞い降りてきた。もちろん私であ~~る。


 「お前は何者だ!」


 ネプチューンは私に問いかける。


 「名乗るほどの者ではありません」


 私は丁寧に言った。


 「俺の屋敷を壊したのはお前か」


 「換気を良くしてあげたのです」


 私は丁寧に言った。


 「それはありがとう・・・とでも言うと思っているのか!お前は一体何しにきたのだ」

 「悪い子をお仕置きにしにきたのです」


 私は丁寧に言った。


 「この屋敷に悪い子などいないぞ。あえて言うなら、屋敷を壊したお前が悪い子だ!」


 確かに間違っていない意見であった。


 「ネテア王妃様、デレク王の命を奪おうとするあなたよりかは、私はいい子ちゃんです」


 私は笑顔で言った。


 「なぜそんなことまで知っているのだ・・・お前を生きて返すわけにはいかないみたいだな。ハデス、なんとかしろ」

 「アレス、ごめん・・・俺は、お前の気持ちも知らずに酷いことをしてしまったようだ。しかし、それでも俺は、自分の役割を全うしなければいけないのだ」


 ハデスは自責の念を抱いていた。


 「ハデス、聞こえているのか!」

 「うるさい!俺はお前のせいで、ジュノチンとアレスに悲しい別れを強いてしまったのだぞ。俺は神光教団の教祖という神の声を代表する立場にあるに、2人の恋を邪魔するなんて・・・俺は教祖失格だ」


 ハデスはうなだれて倒れ込むのであった。


 「ハデス何をしてるのだ・・・仕方がない俺が本気を出すか」


 ネプチューン侯爵は、水を自在に操る神の子の力を持っている。なので屋敷の周り、町の周りに水を用意している。そしてもちろん屋敷の中にも至る所に水槽が置いてあり、自分が戦闘に有利になるように準備しているのであった。


 『水球爆裂弾』

 ネプチューン侯爵の屋敷の至る所から水が集まってきた。そして、50cmくらいの鉛のような水球が無数に現れて、私に向かって飛んでくるのであった。


 「くたばれ」


 ネプチューン侯爵は、勝ち誇ったかのように言った。

 しかし、私は全ての水球をデコピンで弾き返した。弾き返した水球は屋敷の壁を突き破って空高く流れ星のように飛んでいった。その日、ガッリーナ町でたくさんの流れ星を観測できたのは私のせいであった。


 「エイヤーー」


 私は、全ての水球を弾き飛ばした後に、軽くネプチューンのおでこにデコピンをしたのであった。

 私のデコピンをくらったネプチューン侯爵は、凄まじい回転をして屋敷から飛んでいったのであった。


 「お前は何者なのだ」


 ハデスが、ようやく私に気づいたのであった。


 「『ラスパ』の一員のルシスです」

 「そうか・・・俺を殺しにきたのか」

 「私は、ディーバ様のお依頼で、あなた方をお仕置きしにきたのです」

 「俺は神光教団の教祖であるハデスだ。俺はジュノチンとアレスの恋を引き裂こうとした大悪人だ。だから、俺は殺されても文句は言わない。お前の好きにするがいい」


 私は、ハデスの言っていることはよくわからなかったが、何か反省をしているみたいだったので、お仕置きはしないでおこうと思ったのである。


 「あなたは、反省をしているみたいなので、お仕置きはお預けにしときます。しかし、今度また悪いことをしたら、必ずお仕置きをしにきますので、覚悟しておいてください」

 「俺はもう、ネプチューンの言いなりにはならない。俺は今後、愛の伝道師として、キュンキュン教団を設立することにした。お前も愛に悩めることがきたら、俺の元へ訪ねてくると良い」


 ハデスは、ジュノとアレスの純愛を見て、本当にやりたかった事を見つけることができたのであった。そして、ハデスはアレスの魂の操作を解いて、自由にしたのであった。


 「俺の闇の力は、愛する人を失った人を、癒すことに使わなければならないのだ」


 ハデスは、静かにつぶやいた。

 私は、ネプチューン侯爵の屋敷を飛び抜けて、ロキさん達がいるアトランティスの地下遺跡に向かった。

 
 「ロキお姉ちゃん、ソールさん達は無事でしたか?」


 私がアトランティスの地下遺跡着くと、ロキさん達が地下遺跡から出てくるところだった。


 「ルシスちゃん、ソールとマーニは無事だったわ。でもまだ完全に傷は癒えていないから、治癒魔法をかけてもらえなかしら」

 「はーーい」


 私は、ソールとマーニに治癒魔法をかけてあげて完全復活させてあげた。


 「ありがとうルシスちゃん」

 
 2人は私にお辞儀をしてお礼を言った。


 「ルシスちゃんの方は無事に解決したのかしら?」


 ロキさんが私に問いかける。


 「無事に解決しました」


 私は、ロキさん達にさっきまでの出来事を説明した。


 「ハデスは改心したの?」


 ソールが驚いて声をあげた。


 「はい。アレスとジュノチンの恋がどうのこうの言っていました」

 「ハデスもアレスの直向きな愛に心を撃たれたのよ」


 マーニが静かに答えた。


 「そうね。あの2人には幸せになって欲しいわ」


 ロキさんも悟ったかのようにつぶやいた。


 「神光教団も解散して、代わりに愛を広めるキュンキュン教団を設立すると言ってました」

 「素敵だわ」


 ポロンさんがつぶやいた。


 「私、絶対に入信するわ」


 マーニが力強く言った。


 「その時は私も誘ってね」


 ロキさんも賛同した。


 「もちろん俺も入信するぜ」


 アレスが大声で言った。アレスは深傷を負っていたが、ゾンビなのでもう回復している。そしてハデスから解放されたので、自由に動けるのであった。


 「早く、王都へ帰ろう」


 ジュノが静かにつぶやいた。
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