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神守聖王国オリュンポス パート14
しおりを挟むジュノはアレスの危機を救ったあと、身を挺してアレスを救った。
ジュノが守ってくれた事により、アレスが受けたダメージは回復し、次はアレスが身を挺してジュノを守っていたのであった。
アレスはゾンビなので、いくら傷ついても、時間が経てばすぐに回復して元の姿に戻ることができるが、ジュノは人間なので、魔法や回復薬を使用しないと、回復できないのである。ゾンビであるアレスは回復薬を持っていないし、魔法は使えない。なのでジュノは危機的状況であった。
「ジュノチン、大丈夫!しっかりして」
「俺のことはもういい・・・後は任せたぞ」
「何を言ってるのよ。ジュノチンを置いて戦えるわけないじゃないの。ジュノチン、回復薬は持っていないの」
「何度も言うが、俺のことはいい・・・だから、ソール達と協力して、ユーピテルを倒してくれ・・・」
力強くジュノは言った・・・が本心は違った。ジュノは回復薬は持っている。ゾンビの動きを遅くするためにふんだんに使ったが、まだ残りがあった。しかし、ジュノの体力はもう限界である。回復薬を飲む力もないのである。もしアレスに回復薬を渡したら、自分で回復薬を飲めないジュノは、アレスに飲ませてもらうしかないのであった。ジュノはアレスに回復薬を飲まされるのを、拒絶していたのであった。
「ジュノチンを置いて戦えないわ」
アレスは涙ながらに言った。
「回復薬は、ゾンビスライムに使ったら、もうないのだ。どうしても回復してくれと言うのなら、ソールに回復魔法を使ってもらうといい」
アレスが、なかなか自分から離れないので、ジュノはソールに回復魔法を使ってもらう事にした。
「ソール、ジュノチンに回復魔法を使ってくれ」
アレスはソールに向かって叫んだ。
「これを使いなさい」
マーニはアレスに回復薬を投げた。
マーニはすぐに察知した。魔法で回復するよりも、回復薬を使った方が面白いと・・・
マーニはアレスにウインクして、「うまくやりなさいよ」と合図したのであった。
アレスも、すぐにマーニの意図を読み取って、「ありがとう」とウインクして合図したのであった。
「ジュノチン、回復薬が手に入ったわ。これで体力を回復しましょう。ジュノチン・・・1人で飲める?」
心配そうにアレスは言った。
「大丈夫だ。1人で飲める」
ジュノは必死で腕を伸ばして、回復薬を掴もうとするが、体に力が入らない。腕を伸ばすことすらできないのであった。
「私が飲めせてあげる・・・」
アレスがジュノに言った。
「キャーーーー、これを待っていたのよ」
マーニは悲鳴をあげて喜んだ。
「大丈夫だ。自分で飲める」
ジュノは激しく断る。
「ジュノチン遠慮しないで」
アレスが回復薬を口に含んだ。
「キャーーーー、これ以上は見れないわ」
マーニは顔を手で覆い隠すが、指の隙間から鋭い視線で見ていた」
アレスがジュノを抱きかかえる。
「ジュノチン、目を閉じていてね。見られていると恥ずかしいわ」
アレスがジュノに迫る。
『ヒール』
ジュノの様子を見兼ねたソールが、ジュノに回復魔法を使った。
ジュノはアレスの腕を払いのけて、逃げるようにソールの方へ向かった行った。
「ソール、ありがとう」
ジュノはソールにお礼を言った。
「気にしないで」
ソールは静かに答えた。
「あーーー、もう少しだったのに・・・」
マーニが悔しそうに言った。
「少し強引だったかな・・・」
アレスは反省した。
「何を言ってるのよ。恋は少しは強引な方がいい時もあるのよ」
マーニがアレスを励ました。
「お前達、いつまで俺を待たせるのだ!お前達の茶番に付き合ってる暇はない。全員まとめてあの世に送ってやるぜ」
マーニに、説教されて大人しくしていたユーピテルが、怒りだしたのであった。
『天変地異』
ユーピテルは神のこの力を発動した。三層の地面が激しく割れて大きな亀裂が至る所に発生し、天井からは、無数の落雷が落ちてきた。そして、どこからともなく無数の竜巻が現れた。
アレスは亀裂を避けて逃げるが、落雷が直撃して倒れこむ。
ジュノも亀裂を避けて逃げるが、竜巻に飲まれて天井まで吹き飛ばされ、天井に打ち付けられる。
マーニはソールを抱えて、風魔法で宙を移動しながら、落雷を避けて、竜巻からもなんとか逃げ切る。
「すばしっこいやつだな」
ユーピテルはイライラしながら言う。
アレスは、渾身の力を振り絞って立ち上がる。
ジュノは天井に打ち付けられて、そのまま地面に落下する。
『ゼログラビティー』
ジュノは地面に直撃する寸前のところで、宙に浮いて難を逃れる。
『黒風白雨』
マーニが『ゼログラビティー』を発動したスキを狙って、ユーピテルが『黒風白雨』を発動した。
凄まじい風と槍のような雨がマーニとソールを襲う。
『爆炎黒陽斬』
ソールが剣を振りかざして、燃えあがる黒炎を放つ。
しかし、『黒風白雨』によって、黒炎は鎮火され、そして槍のような雨がソールとマーニを襲う。
『エアシールド』
マーニが風のシールドを作って槍のような雨を防ぐ。
「これで終わりだ」
ユーピテルは竜巻に乗って、ソールとマーニの頭上に飛び上がった。
「神技『斬撃』『斬撃』『斬撃』」
ユーピテルは上空から大きく剣を振りかざす。
ユーピテルの剣からは、波動のような斬撃が無数に現れる。
『エアシールド』
『シールド』
ソールとマーニは協力してシールドを張った。しかし、波動の斬撃はシールドを押しつぶして、2人を切り刻む。
ソールとマーニは全身を波動の斬撃て切り刻まれて、多量の血を流して倒れ込む。
「トドメを刺すか・・・」
「神技『斬撃』『斬撃』『斬撃』」
ユーピテルは上空からさらに剣を大きく振りかざす。
「神技『瞬足』『加速』『倍倍』」
アレスは、もうスピードでダッシュして飛び上がり、ユーピテルにタックルをかました。
ユーピテルは吹っ飛んで地面に叩きつけられた。
「神技『剛腕』『倍倍』『倍倍』」
ジュノは剣を握りしめて、神技を使って最大限までに力を強化して、地面に叩きつけられたユーピテルの頭を剣で切り落とした。
「やったか・・・」
「忘れたのか、俺はゾンビだぞ」
転げ落ちたユーピテルの頭が喋りだした。
「ジュノチン、危ない」
首のないユーピテルの体が立ち上がり、ジュノに向かって剣を振り落とす。
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