142 / 453
妖精王パート12
しおりを挟む「これは、どういうことなのよ」
サラちゃんは、全身を燃え上がらせて、出店のオヤジを睨みつける。
「ごめなさい。許してください。殺さないでください」
サラちゃんの怒りに満ちた表情に、出店のオヤジは、震えながら、命乞いをするのであった。
「ヤミークラブを出すのよ」
「ヤミークラブは、ありません。本当に申し訳ございません。代金は、お返ししますの許してください」
「許さないわよ。ヤミークラブを用意しなさい」
「ヤミークラブは、村長が持っています。僕は持っていません」
「すぐに村長を、呼んできなさい!そして、私にヤミークラブを、渡すように説得するのよ」
「わかりました。今すぐ呼んできます」
「逃げたら、ただじゃすまないわよ!!!」
「絶対に逃げません。なので殺さないでください」
出店のオヤジは、急いで、村長の元へ向かったのであった。
「嘘は、いけないわ。私は、絶対にヤミークラブを食べるのよ」
私は、イカサマして、ヨーヨーすくいをしたので、あまり強くは言えなかったが、出店のオヤジもイカサマをしていたので、サラちゃんの恫喝を、止めることはしなかったのであった。
しばらくすると、出店のオヤジと、60代くらいの、男性が戻ってきたのであった。
「このたびは、スサオが、ご迷惑をおかけてし、申し訳ございません」
「許さないわよ」
「スサオ、お前もきちんと、謝りなさい」
「ごめんなさい。許してください。2度とこのようなことはしません」
「ヤミークラブをくれたら、許しますわ」
「スサオ、また、ヤミークラブを商品にしたのか!」
「すみません。ヤミークラブを商品にしたら、大勢の人が集まるので、つい、商品にしてしまいました」
「また、イカサマをしたのか」
「はい。絶対にすくえないはずなのに・・・」
「本当に申し訳ございません。ヤミークラブ以外の物で、許してもらえないでしょうか?」
「ヤミークラブが、欲しいのよ。すぐに出しなさいよ!!!」
「ヤミークラブだけは、出すことは、できないのです。他の物で、代用させてください」
「絶対にダメ。ヤミークラブがいいのよ」
「村長さん、なぜ、ヤミークラブは、ダメなのですか」
私は、もしかしたら、ヤミークラブを渡せない事情が、あるのではないかと思い、村長さんに確認をした。
「ヤミークラブは、八岐大蛇様の生贄になる女性の、最後の晩餐になります。なので、お譲りすることは、できないのです」
「八岐大蛇の生贄って、どういうことですか」
「この村では、年に1度、八岐大蛇様に、美しい女性を、生贄に出すことになっています」
「なぜですか」
「この村は、出雲山の近くの村です。出雲山の麓には、宍道湖があります。宍道湖には、ヒュドラという恐ろしい海蛇の魔獣が、住み着いています。そのヒュドラから、この村を守ってもらうために、年に1度、生贄を出すことになっています」
「もし、ヒュドラがいなくなれば、生贄を出さなくて済むのですか」
「はい。でもヒュドラがいなくなるなんて、あり得ないのです」
「私が、退治してあげますわ。そしたら、ヤミークラブはもらえるのね」
サラちゃんが、目を輝かせて、話しに割り込んできた。
「ヒュドラさえ、いなくなれば、生贄の必要はなくなりますので、差し上げることができます」
「ルシスちゃん、いますぐ、ヒュドラを倒しに行くわよ」
そういうと、サラちゃんは、宍道湖目指して、飛んで行ったのであった。
「ヒュドラを倒すなんて、絶対に無理だぁ~」
スサオが、怯えながら言う。
「彼女なら、大丈夫よ。とても強いからね」
「しかし、ヒュドラは、猛毒を持っています。近づくことさえ難しいと思います」
村長さんが心配そうに言った。
「それに、ヒュドラは、不死身の生命力を持つと言われています。なので、討伐は諦めた方が、良いと思います」
「大丈夫よ。それに私達の、本来の目的は、八岐大蛇の討伐です。この村に迷惑をかけるヒュドラと共に、討伐してきます」
「本当ですか」
「はい。なので、もう生贄なんて、必要ないので、討伐が終わったら、ヤミークラブを、頂いてもよろしいでしょうか」
「残念だが、信じることは、できません。ヒュドラだけじゃなく、八岐大蛇様まで、討伐するなんて絶対に無理です。これまでに、数名の冒険者が、八岐大蛇を討伐すると、出雲山に向かったが、誰も戻っては来なかった。私たちは、八岐大蛇様に守られながら、この土地で暮らすしかないのです」
「何を言ってるの?生贄になる女性の立場を、考えたことがあるの?」
「よそ者に何がわかるのだ!今回、生贄に出すのは、私の孫娘だ。どれほど苦しい思いをしているか、お前にわかるのか!!!悔しいけど、私たちには、どうすることもできないのだ。だから、最後の晩餐だけは、贅沢な料理を食べさせてあげたいから、ヤミークラブを命懸けで、捕まえてきたのだ」
「偉そうのことを言って、ごめんなさい。でも、私たちを信用してください。絶対に八岐大蛇、ヒュドラを倒してきます。私は、幼い女の子にしか、見えないかもしれないけど、実は、とんでもなく強いのよ」
私はそういうと、空に向かって、光魔法を放った。私の放った光魔法は、青い空を、瞬時にして、金色に輝く、美しい空へ変えた。
「私の魔法はすごいでしょ」
「信じられない・・・空の色を変える魔法なんて・・・」
村長は、呆然として空を眺めている。
「これで、少しは、信用してもらえたかしら」
「ああ、こんなすごい魔法を使える冒険者は初めてだ」
「今から、仲間と一緒に討伐してくるから、私を信じて待っててくださいね」
「わかりました。あなたを力を信じて、待つことにします」
村長を納得させることが、できたので、私は、ロキさん達を、迎えに行くことにした。サラちゃんのヨーヨーすくいに、付き合っていたので、まだ、合流することが、できていないのである。
「くそーーー、全然取れないぞ」
「私もよ」
「どうやったら、このヨーヨーとやらを、すくうことができるのだ!!」
トールさん達も、イカサマのヨーヨーすくいに、苦戦していたのであった。
0
お気に入りに追加
181
あなたにおすすめの小説
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
辺境で魔物から国を守っていたが、大丈夫になったので新婚旅行へ出掛けます!
naturalsoft
ファンタジー
王国の西の端にある魔物の森に隣接する領地で、日々魔物から国を守っているグリーンウッド辺境伯爵は、今日も魔物を狩っていた。王国が隣接する国から戦争になっても、王国が内乱になっても魔物を狩っていた。
うん?力を貸せ?無理だ!
ここの兵力を他に貸し出せば、あっという間に国中が魔物に蹂躙されるが良いのか?
いつもの常套句で、のらりくらりと相手の要求を避けるが、とある転機が訪れた。
えっ、ここを守らなくても大丈夫になった?よし、遅くなった新婚旅行でも行くか?はい♪あなた♪
ようやく、魔物退治以外にやる気になったグリーンウッド辺境伯の『家族』の下には、実は『英雄』と呼ばれる傑物達がゴロゴロと居たのだった。
この小説は、新婚旅行と称してあっちこっちを旅しながら、トラブルを解決して行き、大陸中で英雄と呼ばれる事になる一家のお話である!
(けっこうゆるゆる設定です)
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる