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妖精王パート12

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  「これは、どういうことなのよ」


 サラちゃんは、全身を燃え上がらせて、出店のオヤジを睨みつける。



 「ごめなさい。許してください。殺さないでください」


 サラちゃんの怒りに満ちた表情に、出店のオヤジは、震えながら、命乞いをするのであった。


 「ヤミークラブを出すのよ」

 「ヤミークラブは、ありません。本当に申し訳ございません。代金は、お返ししますの許してください」

 「許さないわよ。ヤミークラブを用意しなさい」

 「ヤミークラブは、村長が持っています。僕は持っていません」

 「すぐに村長を、呼んできなさい!そして、私にヤミークラブを、渡すように説得するのよ」

 「わかりました。今すぐ呼んできます」

 「逃げたら、ただじゃすまないわよ!!!」

 「絶対に逃げません。なので殺さないでください」


 出店のオヤジは、急いで、村長の元へ向かったのであった。


 「嘘は、いけないわ。私は、絶対にヤミークラブを食べるのよ」


 私は、イカサマして、ヨーヨーすくいをしたので、あまり強くは言えなかったが、出店のオヤジもイカサマをしていたので、サラちゃんの恫喝を、止めることはしなかったのであった。

 しばらくすると、出店のオヤジと、60代くらいの、男性が戻ってきたのであった。


 「このたびは、スサオが、ご迷惑をおかけてし、申し訳ございません」

 「許さないわよ」

 「スサオ、お前もきちんと、謝りなさい」

 「ごめんなさい。許してください。2度とこのようなことはしません」

 「ヤミークラブをくれたら、許しますわ」

 「スサオ、また、ヤミークラブを商品にしたのか!」

 「すみません。ヤミークラブを商品にしたら、大勢の人が集まるので、つい、商品にしてしまいました」
 
 「また、イカサマをしたのか」

 「はい。絶対にすくえないはずなのに・・・」

 「本当に申し訳ございません。ヤミークラブ以外の物で、許してもらえないでしょうか?」

 「ヤミークラブが、欲しいのよ。すぐに出しなさいよ!!!」

 「ヤミークラブだけは、出すことは、できないのです。他の物で、代用させてください」

 「絶対にダメ。ヤミークラブがいいのよ」

 「村長さん、なぜ、ヤミークラブは、ダメなのですか」


 私は、もしかしたら、ヤミークラブを渡せない事情が、あるのではないかと思い、村長さんに確認をした。


 「ヤミークラブは、八岐大蛇様の生贄になる女性の、最後の晩餐になります。なので、お譲りすることは、できないのです」

 「八岐大蛇の生贄って、どういうことですか」

 「この村では、年に1度、八岐大蛇様に、美しい女性を、生贄に出すことになっています」

 「なぜですか」

 「この村は、出雲山の近くの村です。出雲山の麓には、宍道湖があります。宍道湖には、ヒュドラという恐ろしい海蛇の魔獣が、住み着いています。そのヒュドラから、この村を守ってもらうために、年に1度、生贄を出すことになっています」

 「もし、ヒュドラがいなくなれば、生贄を出さなくて済むのですか」

 「はい。でもヒュドラがいなくなるなんて、あり得ないのです」

 「私が、退治してあげますわ。そしたら、ヤミークラブはもらえるのね」


 サラちゃんが、目を輝かせて、話しに割り込んできた。


 「ヒュドラさえ、いなくなれば、生贄の必要はなくなりますので、差し上げることができます」

 「ルシスちゃん、いますぐ、ヒュドラを倒しに行くわよ」


 そういうと、サラちゃんは、宍道湖目指して、飛んで行ったのであった。


 「ヒュドラを倒すなんて、絶対に無理だぁ~」


 スサオが、怯えながら言う。


 「彼女なら、大丈夫よ。とても強いからね」

 「しかし、ヒュドラは、猛毒を持っています。近づくことさえ難しいと思います」


 村長さんが心配そうに言った。


 「それに、ヒュドラは、不死身の生命力を持つと言われています。なので、討伐は諦めた方が、良いと思います」


 「大丈夫よ。それに私達の、本来の目的は、八岐大蛇の討伐です。この村に迷惑をかけるヒュドラと共に、討伐してきます」


 「本当ですか」

 「はい。なので、もう生贄なんて、必要ないので、討伐が終わったら、ヤミークラブを、頂いてもよろしいでしょうか」

 「残念だが、信じることは、できません。ヒュドラだけじゃなく、八岐大蛇様まで、討伐するなんて絶対に無理です。これまでに、数名の冒険者が、八岐大蛇を討伐すると、出雲山に向かったが、誰も戻っては来なかった。私たちは、八岐大蛇様に守られながら、この土地で暮らすしかないのです」

 「何を言ってるの?生贄になる女性の立場を、考えたことがあるの?」

 「よそ者に何がわかるのだ!今回、生贄に出すのは、私の孫娘だ。どれほど苦しい思いをしているか、お前にわかるのか!!!悔しいけど、私たちには、どうすることもできないのだ。だから、最後の晩餐だけは、贅沢な料理を食べさせてあげたいから、ヤミークラブを命懸けで、捕まえてきたのだ」

 「偉そうのことを言って、ごめんなさい。でも、私たちを信用してください。絶対に八岐大蛇、ヒュドラを倒してきます。私は、幼い女の子にしか、見えないかもしれないけど、実は、とんでもなく強いのよ」


 私はそういうと、空に向かって、光魔法を放った。私の放った光魔法は、青い空を、瞬時にして、金色に輝く、美しい空へ変えた。



 「私の魔法はすごいでしょ」

 「信じられない・・・空の色を変える魔法なんて・・・」


 村長は、呆然として空を眺めている。


 「これで、少しは、信用してもらえたかしら」

 「ああ、こんなすごい魔法を使える冒険者は初めてだ」

 「今から、仲間と一緒に討伐してくるから、私を信じて待っててくださいね」

 「わかりました。あなたを力を信じて、待つことにします」



 村長を納得させることが、できたので、私は、ロキさん達を、迎えに行くことにした。サラちゃんのヨーヨーすくいに、付き合っていたので、まだ、合流することが、できていないのである。


 
 「くそーーー、全然取れないぞ」

 「私もよ」

 「どうやったら、このヨーヨーとやらを、すくうことができるのだ!!」


 トールさん達も、イカサマのヨーヨーすくいに、苦戦していたのであった。
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