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妖精王パート11
しおりを挟む私たちは、本来の目的である、出雲山に向かった。八岐大蛇は、ラスパのメンバーで討伐して、ヒュドラは、私とサラちゃんで倒すことにした。サラちゃんを1人にすると何をしでかすか、わからないので、私が監視役をすることになったのであった。
出雲山の上空にたどり着くと、出雲山の麓に大きな湖が見えた。あれが、宍道湖なのであろう。そして、宍道湖のすぐ近くに小さな村がある。
「あんなところに村があるぜ」
「本当ですわ。何か美味しい物でも、あればいいのにね」
「美味しい物があるのね!!!」
サラちゃんは、急降下して村に向かったのであった。
「サラ、危ないぞ。カゴから落ちてしまうぞ」
「きゃーーーー」
ロキさん達が悲鳴を上げながら、村に向かって、遊園地のフリーフォールのように、サラちゃんは、垂直に降下するのであった。
ロキさん達は、危ないと思って、籠から飛び降りて、風魔法を使って、地面への直撃を避けるのであった。
サラちゃんの急降下によって、籠は大破して壊れたのであった。
サラちゃんは、地面に降りるとすぐに、人型に変身して、村へ走っていった。監視役の私もサラちゃんの後を、素早く追いかけた。
「みんな大丈夫か?」
「なんとか無事よ」
「私も大丈夫ですわ」
「俺たちも追いかけるか」
「そうしましょう」
ロキさん達も、サラちゃんを追いかけて、村へ向かったのであった。
村に入ると、村では、祭りをしているみたいである。村の中央にある大きな広場に、やぐらを建てて、やぐらの周囲を回りながら、音楽に合わせて、村人たちが踊っていた。まるで盆踊りをしている感じである。
また、広場の周りには、複数の出店が立ち並んで、いろんな食べ物が売っていた。
サラちゃんは、一つの出店に、行儀よく一列に並んで立っていた。
私はも、サラちゃんと一緒に、並ぶことにした。
「サラちゃん、ここは、なんのお店なの」
「ヨーヨーという食べ物を、救助して、食べるお店みたいですわ」
ここは、ヨーヨーすくいの出店であった。ヨーヨーすくいとは、ヨーヨーの先に輪っかが付いていて、コヨリ紙についているW字の鍵で、水槽の中から、ヨーヨーをすくう遊びである。コヨリをできるだけ、水につけないようにして、ヨーヨーを、すくうのがコツである。
「サラちゃん、ヨーヨーは食べれないです」
「そんな・・・あの色鮮やかなヨーヨーは、絶対に甘くて美味しいと思ったのに」
「あれは、おもちゃなので、食べ物じゃありません」
私は、ヨーヨーすくいの看板に、ある文字を見つけてしまった。それは・・・
『ヨーヨーを10個取った方には、ヤミークラブをプレゼントします』
と書かれていた。
「サラちゃん、朗報です。ヨーヨーを10すくうと、ヤミークラブがもらえるみたいです」
「なんですって!!!それは、ヨーヨー様を、お救いして、あげないといけませんわ」
サラちゃんのレスキュー魂に、火がついたのであった。
私とサラちゃんは、ヤミークラブをゲットするために、行儀良く一列に並んで、順番を待つのであった。
30分後やっと、私たちの順番がきたのであった。
「私が、ヨーヨー様を、必ず救い出してあげますわ」
サラちゃんは、真剣な目をして、コヨリを手に取って、ヨーヨーの輪っかにカギを通す。しかし、コヨリが水に浸かってしまい、すぐに切れてしまうのであった。
「全然救えませんわ」
よーよーすくいは、1人5回までと制限がある。ヤミークラブがもらえるので、ここのヨーヨーすくいは、人気があるので、回数制限があるみたいだ。
サラちゃんは、5回目の挑戦も失敗に終わる。
「ヨーヨー様・・・・なぜ救えないの」
サラちゃんは、涙を流しながら、悲しんでいる。
「ルシスちゃんのコヨリを、私にちょうだい。私には、ヨーヨー様を助ける義務があるのです」
サラちゃんはそういうと、私のコヨリを4つ持っていた。なので私のチャンスは、一回しかないのである。
サラちゃんは、果敢に挑むが、全くヨーヨーは、すくえないのであった。
私は、ただじっと待っていたわけではない。私は、サラちゃんのヨーヨーすくいを見て、研究していた。どうやったら、ヨーヨーをすくえるのかを。
結論から言うと、絶対に無理である。コヨリの強度のわりには、ヨーヨーの重さが、重すぎるのである。これは、確実に詐欺出店である。
私は、正々堂々とヨーヨーすくいを、するつもりであったが、相手が、詐欺をしているのなら、私も容赦しないのである。魔法を使って、コヨリの強度を上げることを決めた。
強度上げたコヨリを使って、私は、ヨーヨーを、どんどんとすくい上げていく。
「勇者が現れたましたわ。これでヨーヨー様も、無事に救われますわ」
サラちゃんが、ヨーヨーが救われる姿を見て、大喜びをする。しかしその一方、店主の顔が、どんどん不機嫌になってくる。
「お客さん。何か不正をしていませんか」
不正をしているのは、あなたでしょ!と言いたかったが、ここは少し我慢した。
「私は、ヨーヨーすくいには、自信があります」
「ちょっと、そのコヨリを、調べてさせてくれないか」
「どうぞ、どうぞ」
私は、コヨリの魔法を解いて、店主にコヨリを渡した。
店主は、確認をするように、自分でヨーヨーをすくってみた。結果は、ヨーヨーは、すくえず、コヨリが破れてしまう。
「不正なコヨリを使っていると思ったが、違うのか・・・」
店主は、不満げに新しいコヨリを私に渡した。
「何かおかしな動きをしたら、失格にするからな」
「どうぞ、ご自由に」
私の高度な魔法テクニックが、素人にわかるわけがないのである。私は、コヨリの強度を上げて、再びヨーヨーを、すくいまくるのである。
そして、10こ目のヨーヨーを救ったのであった。
「ルシスちゃんやりましたね」
「サラちゃんに、ヤミークラブをあげるね」
「わーーーい。わーーーーい」
サラちゃんは、喜びの踊りを舞ったのであった。
しかし、商品として渡されたのは、ヤミークラブの絵であった。
私と、サラちゃんは、店主を取り押さえて、人がいない場所に、連れて行くのであった。
サラちゃんの怒りは、頂点に達していたのだった。
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