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パーシモンの街パート10
しおりを挟む翌朝、私たちは、ポロンさんに、サラちゃんを召喚してもらった。もちろんマグマ石を、渡してもらう為である。
「朝早くから、召喚しないでほしわ。寝不足は美容に悪いのよ」
サラちゃんは、朝早くに呼ばれて、機嫌が悪い。なので、サラちゃんのご機嫌を取る為に、私は、朝食にピザを用意してあげた。
「サラちゃんのために、ピザという食べ物を作ってみました。ピザとは、薄いパリパリの生地で出来ていて、サクサクした食感で美味しいのです。しかもその生地は、トマトソースで味付けされていて、その上に、熱々のとろーりとしたチーズが敷き詰められているのです。また、生地の上にトッピングされたソーセージは、ほくほくして、とても美味しいですよ」
「それは、美味しそうな料理だわ。私のために、ありがとうですわ」
「これはうまいな。いくらでもお腹に入るぜ。お酒も出してもらっていいか」
サラちゃんより先に、トールさんがピザを食べ出した。
「私のピザですわ。トールさん、先に食べないでよ」
「これは、ほんとに美味ですわ」
次は、ポロンさんが食べ出した。
「ポロンさん・・・私のピザを食べないでよ」
「うむ、これはいい味だな」
「イフリート!私のピザよ」
サラちゃんが食べる前に、みんながピザを、全部食べてしまったのであった。
「ひどいですわ。私のピザが、もうありませんわ。どうしてくれるのですか」
サラちゃんは、かなり怒っているのである。
「サラも昨日は、マグマ石を一人占めしただろう」
「あれは、タヌキングに、許可をもらったので、問題ないですわ」
「サラちゃん、マグマ石は、もう残ってないの」
「もちろんですわ。私が全て、美味しく頂いたわ」
「・・・・・」
やはり、もうマグマ石は、ないみたいである。
「ルシスちゃん、追加のピザは、ないのかしら」
「ルシス、出さなくていいぞ」
トールさんは怒っている。
「ルシスちゃんお願い。ピザを食べさして」
サラちゃんが、頭を下げてお願いする。私は心を鬼にして、ピザを出さないと思っていたが、サラちゃんが、涙目で訴える姿勢を見て、ピザを出してあげることにした。
「ありがとう。ルシスちゃん」
サラちゃんは、美味しそうにピザを食べ始めた。もちろん追加に、色々と要求をしてくる。今日は、サラちゃんには、用事はないので、たくさんの食べ物、飲み物を出してあげて、私は、バルカンの元へ行くことにした。
私は、太陽騎士団の本部に行って、ワイアットに、会いたいと告げると、すぐにワイアットのいる部屋に案内された。
「ルシスちゃん、待っていたんだよ。実は相談があるのだよ」
バルカンは、深刻そうな顔をして、私に話しかけてきた。
「何かあったのですか」
「実は、アポロ公爵様から、早急に神剣を作るように、頼まれたのだよ」
「断っていたのではなかったの?」
「もう断れる状況でも無くなったのだよ。今は、アポロ公爵様の立場は、不安定なのだよ。どうにかして、ネテア王妃派の派閥に入れてもらいたいのだが、何か誠意のあるとこを、示さないと、派閥には、いれてもらえないんだよ」
「それで、神剣をネテア王妃に、プレゼントするのですか」
「そうだよ。でも神剣を作るには、最低でもミスリル、アダマントは必要なのだが、制作にとても時間がかかる。しかし竜光石があれば、制作時間が、かなり短縮できるのだよ」
「私の持っている竜光石が、欲しいのですね」
「そうなんだ。でもタダでとは言わない。我が家にある魔剣ルーヴァティンと交換して欲しい」
「魔剣ルーヴァティンって、魔力制御のコントロールを間違うと、魔剣に、全ての魔力を奪われてしまう、伝説の剣のことですか」
「そうだよ。ルシスちゃんなら、魔剣を使いこなすことが、できると思ってね」
魔剣ルーヴァティンとは、200年前に突如として現れた魔剣である。神剣よりも強大な力を持っているが、魔力コントロールが難しく、魔剣に魔力を奪われ、使いこなせる者がいない伝説の武器だある。
「それって、私のメリットが少ないのでは、ありませんか」
「確かにそうだけど、僕にできるのは、それくらいしかないのだよ」
魔剣ルーヴァティン・・・私は、魔界の本で読んだことがある。この剣は、理由はわからないが、魔界から、人界へ渡った剣である。なので、魔人以外が、使いこなすには、かなり難しいと言われている。しかし、魔界の剣なので、私は回収したいのが、本音である。しかし、私の一存では、決めることはできない。
「わかりました。仲間に相談してみます」
「それは助かる。良い返事を期待してるよ。それと、マグマ石、氷河石は手に入れることはできたのかな」
「それが・・・氷河石は、手に入れることは、できたのですが、マグマ石は、手に入れることはできませんでした。しかも、氷河石は、私の持っているティアラをつけていないと、氷化してしまいます」
「氷化の件は問題ないよ。僕は、神から授かった鍛治の能力を使えば、氷化は防げるからね。あとはマグマ石だね。代わりの石となると・・・サラマンダー石くらいかな」
「サラマンダー石とは、なんなのですか」
「マグマ石は、別名は、サラマンダーのおやつと言われているんだ。しかし、聖霊神サラマンダーが、食べるのは、甘味成分多い部分でけで、残りのマグマ石は、捨ててしまうと言われている。その捨てた石には、濃厚な炎の結晶だけが残り、宝石のように赤く輝いているらしい。その捨てた石をサラマンダー石と言われているのだよ。しかしとてもレアな鉱石の為、100年に1度偶然に、冒険者が拾うことのある幻の石だよ」
これは、竜光石と同じ原理みたいである。サラマンダー石なら、サラちゃんに聞けば、すぐに手に入るはずである。
「そうなのですか・・・わかりました。その石を探してみたいと思います」
「無理だと思うよ。それならマグマ石を探しに。別の火山を探した方が、効率的かもしれないよ」
「大丈夫です。なんとかなりそうなので」
「そうなのか・・・それなら期待して待っているよ」
私は、太陽騎士団の本部を出て、すぐに宿屋に向かった。宿屋に着くと、そこは、大宴会の最中であり、みんなが酔っ払っていて、とても話しを説明する状態では、なかったのであった。
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