上 下
90 / 453

パーシモンの街パート10

しおりを挟む


  翌朝、私たちは、ポロンさんに、サラちゃんを召喚してもらった。もちろんマグマ石を、渡してもらう為である。


 「朝早くから、召喚しないでほしわ。寝不足は美容に悪いのよ」


 サラちゃんは、朝早くに呼ばれて、機嫌が悪い。なので、サラちゃんのご機嫌を取る為に、私は、朝食にピザを用意してあげた。


 「サラちゃんのために、ピザという食べ物を作ってみました。ピザとは、薄いパリパリの生地で出来ていて、サクサクした食感で美味しいのです。しかもその生地は、トマトソースで味付けされていて、その上に、熱々のとろーりとしたチーズが敷き詰められているのです。また、生地の上にトッピングされたソーセージは、ほくほくして、とても美味しいですよ」

 「それは、美味しそうな料理だわ。私のために、ありがとうですわ」

 「これはうまいな。いくらでもお腹に入るぜ。お酒も出してもらっていいか」


 サラちゃんより先に、トールさんがピザを食べ出した。


 「私のピザですわ。トールさん、先に食べないでよ」

 「これは、ほんとに美味ですわ」


 次は、ポロンさんが食べ出した。


 「ポロンさん・・・私のピザを食べないでよ」

 「うむ、これはいい味だな」

 「イフリート!私のピザよ」


 サラちゃんが食べる前に、みんながピザを、全部食べてしまったのであった。


 「ひどいですわ。私のピザが、もうありませんわ。どうしてくれるのですか」


 サラちゃんは、かなり怒っているのである。


 「サラも昨日は、マグマ石を一人占めしただろう」

 「あれは、タヌキングに、許可をもらったので、問題ないですわ」

 「サラちゃん、マグマ石は、もう残ってないの」

 「もちろんですわ。私が全て、美味しく頂いたわ」

 「・・・・・」


 やはり、もうマグマ石は、ないみたいである。


 「ルシスちゃん、追加のピザは、ないのかしら」

 「ルシス、出さなくていいぞ」


 トールさんは怒っている。


 「ルシスちゃんお願い。ピザを食べさして」


 サラちゃんが、頭を下げてお願いする。私は心を鬼にして、ピザを出さないと思っていたが、サラちゃんが、涙目で訴える姿勢を見て、ピザを出してあげることにした。


 「ありがとう。ルシスちゃん」


 サラちゃんは、美味しそうにピザを食べ始めた。もちろん追加に、色々と要求をしてくる。今日は、サラちゃんには、用事はないので、たくさんの食べ物、飲み物を出してあげて、私は、バルカンの元へ行くことにした。


 私は、太陽騎士団の本部に行って、ワイアットに、会いたいと告げると、すぐにワイアットのいる部屋に案内された。


 「ルシスちゃん、待っていたんだよ。実は相談があるのだよ」

 
 バルカンは、深刻そうな顔をして、私に話しかけてきた。


 「何かあったのですか」

 「実は、アポロ公爵様から、早急に神剣を作るように、頼まれたのだよ」

 「断っていたのではなかったの?」

 「もう断れる状況でも無くなったのだよ。今は、アポロ公爵様の立場は、不安定なのだよ。どうにかして、ネテア王妃派の派閥に入れてもらいたいのだが、何か誠意のあるとこを、示さないと、派閥には、いれてもらえないんだよ」

 「それで、神剣をネテア王妃に、プレゼントするのですか」

 「そうだよ。でも神剣を作るには、最低でもミスリル、アダマントは必要なのだが、制作にとても時間がかかる。しかし竜光石があれば、制作時間が、かなり短縮できるのだよ」

 「私の持っている竜光石が、欲しいのですね」

 「そうなんだ。でもタダでとは言わない。我が家にある魔剣ルーヴァティンと交換して欲しい」

 「魔剣ルーヴァティンって、魔力制御のコントロールを間違うと、魔剣に、全ての魔力を奪われてしまう、伝説の剣のことですか」

 「そうだよ。ルシスちゃんなら、魔剣を使いこなすことが、できると思ってね」


 魔剣ルーヴァティンとは、200年前に突如として現れた魔剣である。神剣よりも強大な力を持っているが、魔力コントロールが難しく、魔剣に魔力を奪われ、使いこなせる者がいない伝説の武器だある。


 「それって、私のメリットが少ないのでは、ありませんか」

 「確かにそうだけど、僕にできるのは、それくらいしかないのだよ」


 魔剣ルーヴァティン・・・私は、魔界の本で読んだことがある。この剣は、理由はわからないが、魔界から、人界へ渡った剣である。なので、魔人以外が、使いこなすには、かなり難しいと言われている。しかし、魔界の剣なので、私は回収したいのが、本音である。しかし、私の一存では、決めることはできない。


 「わかりました。仲間に相談してみます」

 「それは助かる。良い返事を期待してるよ。それと、マグマ石、氷河石は手に入れることはできたのかな」

 「それが・・・氷河石は、手に入れることは、できたのですが、マグマ石は、手に入れることはできませんでした。しかも、氷河石は、私の持っているティアラをつけていないと、氷化してしまいます」

 「氷化の件は問題ないよ。僕は、神から授かった鍛治の能力を使えば、氷化は防げるからね。あとはマグマ石だね。代わりの石となると・・・サラマンダー石くらいかな」

 「サラマンダー石とは、なんなのですか」

 「マグマ石は、別名は、サラマンダーのおやつと言われているんだ。しかし、聖霊神サラマンダーが、食べるのは、甘味成分多い部分でけで、残りのマグマ石は、捨ててしまうと言われている。その捨てた石には、濃厚な炎の結晶だけが残り、宝石のように赤く輝いているらしい。その捨てた石をサラマンダー石と言われているのだよ。しかしとてもレアな鉱石の為、100年に1度偶然に、冒険者が拾うことのある幻の石だよ」


 これは、竜光石と同じ原理みたいである。サラマンダー石なら、サラちゃんに聞けば、すぐに手に入るはずである。


 「そうなのですか・・・わかりました。その石を探してみたいと思います」

 「無理だと思うよ。それならマグマ石を探しに。別の火山を探した方が、効率的かもしれないよ」

 「大丈夫です。なんとかなりそうなので」

 「そうなのか・・・それなら期待して待っているよ」


 私は、太陽騎士団の本部を出て、すぐに宿屋に向かった。宿屋に着くと、そこは、大宴会の最中であり、みんなが酔っ払っていて、とても話しを説明する状態では、なかったのであった。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

処理中です...