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パーシモンの町パート2
しおりを挟む馬車を2時間くらい走らせたら、パーシモンの町が見えてきた。パーシモンの町は、王都に次ぐ大きな町であり、4大派閥で、最強を誇る軍事力を持つと言われていた・・・が、未知の獰猛な魔獣により、太陽騎士団の団長を、戦闘不能の追い込まれ、いつその魔獣が、この町に現れ、町を崩壊させられるのではないかと、市民は不安を隠せずにいた。
そして、その獰猛な魔獣の正体のルシスが、この町に来たのであった。
「門の警備が多くないか」
「本当ですわ。10人も門兵がいてますわ。しかも装備もしっかりしていますし、何かあったのかしら」
「そうみたいだな。慎重に行こう」
私は、ケレスとワイアット以外には、顔は見られていないので、正体はバレないと安心しているが、念のため、警戒しておくことにした。
「町に入れてもらえるか」
トールさんが、門兵に声をかけた。
「身分証を、見せてもらえますか」
トールさんんは、身分証を見せた。門兵の顔が、少し青ざめた感じがした。たぶん、ブラカリ襲撃を食い止めた、冒険者のラストパサーであり、しかも冒険者ランクもC3だからであろう。
「この町に何しきたのですか?要件だけでも、聞かせてもらえませんか」
「冒険の途中で、宿を借りにきただけだ」
バルカンの存在は、機密事項なので、言うことはできないし、言う必要もない。
「そうでしたか。南の方で、獰猛な魔獣が現れたので、気をつけてください」
そう言うと、門兵は、私たちを町へ入る許可をくれた。冒険者を町へ入れない門兵はいない。それは、冒険者は、魔獣を退治してくれる勇敢な職業で、あるからである。
私たちは、パーシモンの町の門を抜け、町へ入ろうとした時、私だけが、門兵に止められたしまった。
「そこのお嬢さん、あなたは、こちらへ来て下さい」
「おい、なんでルシスだけ、呼び止める」
「すいません。彼女には、内密なお話しがあります」
もしかしら、バレてしまったのかもしれない・・・・私が獰猛な魔獣の正体だと。
門兵は、私に、周りに聞こえないように、小さな声で、話しかけたきた。
「あなたは、聖魔教会の方ですね。少しお話しがあります」
私は、聖魔教会に入信した時にもらった黒い石を、腕輪の飾りとして付けていた。本当は目立たないように、持っていないといけないのだが、黒い石が、気に入っていたので、気にせずにずっと付けていた。
黒い石を確認すると、やはり光っていた。たぶんこの門兵も、聖魔教会の入信者なのであろう。なので私が、聖魔教会の入信者だとわかったのだろう。
「トールさん、私は大丈夫です」
「本当に大丈夫なのか」
「はい。問題ないと思います」
聖魔教会の信者なら、悪い人ではないと思ったので、みんなには、少し待ってもらう事にした。私は門兵に連れられて、門の横にある詰所に、連れて行かれた。
「あなたは、聖魔教会の入信者ですね」
「はい。そうです」
隠す必要はないし、たぶんバレていると思うので、素直に答えた。
「大事なお話しがあります。少し長くなりますが、聞いてください」
「わかりました」
「私は、以前神守教会のスパイとして、ブラカリの町へ侵入しました。しかし、ブラカリの町で捕まり、その後改心して、聖魔教会に入信しました。なので、あなたが、聖魔教会の関係者だとわかりました。この町は、少し前までは、神守教会と手を組み、聖魔教会を、滅ぼそうとしていました。しかし、太陽騎士団のケレス団長が、ブラカリの放った魔獣により、戦闘不能の状態に追い込まれました。その為、アポロ公爵様は、その獰猛な魔獣の正体を探っています。聖魔教会の関係者であり、ブラカリ襲撃を阻止したラストパサーのメンバーであるあなたなら、何かご存知だと思い、引き止めました」
これは、困ったものである。本当のことを話したら、大変なことになりそうだし、しかし、聖魔教会の人に、嘘はつきたくない・・・
「ワイアットさんを呼んでもらえませんか。彼になら、情報を提供しましょう」
私は、判断が難しいと思い、ワイアットに全て丸投げすることにした。それに、バルカンの居所を探すには、ワイアットに聞けば、何かわかるかもしれないと、思ったからである。
「副団長様のお知り合いでしたか。それなら、今すぐに報告してきます」
門兵は、急いでワイアットのもとへ向かった。
しばらくすると、門兵は戻ってきた。そして、太陽騎士団の本部へと案内されることになった。ロキさんには簡単に説明して、私は、1人で本部へと、向かうことにした。
トールさんとポロンさんは、美味しいお酒を飲みに行くと言って、飲食街へ向かい、ロキさんは、冒険者ギルドへ情報を集めに行った。
「お久しぶりです。お嬢さん。まさか君の方から、会いにきてくれるとは、思わなかったよ」
ワイアットが、私を出迎えてくれた。
「門兵さんから聞きましたが、ケレスを襲ったのは、獰猛な魔獣になっているんですね」
「そうなんだよ。ケレス団長が私に、体長3Mもある獰猛な魔獣に、襲われたと証言されたので、そのまま報告することにしたのだよ。その方が、都合が良いと思ってね。まさか小さな女の子に、やられたなんて、言っても誰も信用してくれないからね」
「そう言うことですか。でも、アポロ公爵が、魔獣を探していると、聞きましたが、どうするのですか」
「どうしたらいいかな。何かいいアイデアあるかな」
「そうですね・・・ それなら、ガリーナ山の麓のあるディービルの森は、たくさんの魔獣の住処になったいますので、そこで目撃されたと、情報を流したらいいと思います。あそこなら、獰猛な魔獣が居てもおかしくないです」
「よし、そうしよう。それで、この件は解決だ。お嬢さんありがとう」
「私は、ルシスと言います」
「ルシスちゃん、ありがとう」
「あのー、私も教えて欲しいことがあります」
「僕が知っていることなら、なんでも教えてあげるよ」
「バルカンという、鍛冶職人を、ご存知ですか」
「・・・・ルシスちゃんは、バルカンの存在を知っているんだね。君は一体何者なんだね」
「ただの冒険者です」
「・・・深く追及するのはよしておこう。バルカンを探して、どうするのかな」
「竜光石を手に入れたので、加工を依頼したいと思っています」
「伝説の鉱石の竜光石を、持っているんだね。それはすごいことだ」
「運よく手に入れることが、できました。ですが加工が出来なくて、困ってます」
「バルカンのことだが、これは国家機密なので、僕の一存では、教えることは、できないのだよ。せめてアポロ公爵の許可があれば、教えることはできるのだが・・・」
「それでは、バルカンさんを知っているのですね」
「ああ、知っているよ」
「どうしても教えて欲しいです」
「アポロ公爵様の判断次第だよ。アポロ公爵様は、今、二つの事を、早急に知りたがっている。一つは、獰猛な魔獣の正体。これは、先程の案で解決したが、そして、もう一つは、ラディッシュの町の付近で、四肢の欠損さえ治した大魔術師の捜索。この大魔術師の居所が、わかればいいのだが」
「大魔術師って、どういうことですか」
「実はケレス団長は、アポロ公爵様の弟なんだよ。だから、ケレス団長を、もと状態に戻すために必死に、優秀な治癒師を探している。しかし、全身大火傷で、未だに、死の境を彷徨っている状態だ。それを治せる者を探しているときに、その大魔術師の情報を、手に入れたのだよ。しかもその大魔術師は、まだ10歳くらいの可愛い女の子だそうだ。そんな小さくて、可愛い大魔術師なんて、どこにいるのだろう」
そう、目の前にいたのであった。
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