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ターニプの町その後パート3

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 「日本酒はまだかー」

 「ポテトフライを食わせろー」

 「わしはチーズインハンバーグが食べたいぞ」

 「なんだそれは、おれにも食わせろー」

 「わしも食わせろーー」

 「なんでもいいから、早く出せーー」

 「お酒が、足りんぞー」


 7巨星王は、もうかなり酔っているみたいだ。名誉王族の王女が、眠りから覚めたので、大宴会を開いているみたいである。

 ホワさんが、私たちのところへ、来たのは、7巨星王達は、早くお酒が飲みたいから、代わりにホワさんを、よこしたのであった。なんて、いい加減な人たちなのであろう。

 私は、とりあえず、要望通りに、日本酒、チーズインハンバーグ、ポテトフライを出してあげた。


 「待ってました。ルシスちゃん」

 「日本酒最高ー」

 「きたーーーーチーズインハンバーーーーグ」

 「日本酒には、ポテトフライがお似合いだーー」

 「これが、チーズインハンバーグなのか。うまそうーー」

 「わしもいただくぞ」

 「追加のお酒、早くしろーーー」


 7巨星王は、私の出した日本酒を、ガンガン飲んで、ガンガン食べまくる。私たちの大事な話しのことなんて、忘れてしまっているのだろう。

 
 「おれも飲むぞ」

 「私も飲みますわ」


 ポロンさんは、精霊神の加護を手に入れたので、お酒を解禁した。

 
 「私も参加するわ」


 また呼ばれていないのに、サラちゃんがあらわれた。


 「お、なんだその可愛い女の子は・・・・」

 「あれは・・・」

 「その姿は・・・」

 「みんなどうした」

 「やばくないか・・・」

 「グゲーーーー」

 「ぎゃーーー」


 7巨星王は、目の前に、精霊神のサラマンダーがあらわれて、一気に酔いが覚めた。


 「ポロン様、何かご不満でもあるのでしょうか」


 ドッレが、ビビりながら、ポロンさんのもとへ来て尋ねた。7巨星王達は、サラちゃんをみて、びびってしまっている。


 「なんもないわなぁー」


 ポロンさんは、久しぶりのお酒で、もう酔っ払ってしまっている。


 「この町を火の海に沈めないでください」

 「任せるのよーー」

 「お願いします。怒りを鎮めて下さい」

 「よし、きたぁーー」


 ポロンさんは、酔っていて会話にならない・・・


 「大丈夫ですよ。サラちゃんは、遊びに来ただけなので、暴れたりしませんよ」


 私は、7巨星王の青ざめた顔を見て、放ってはおけず、きちんと説明してあげた。


 「ほんとに大丈夫ですか」

 「問題ないです。お酒を飲んで、暴れるくらいです」

 「・・・・・・」

 「大丈夫です。屋敷を壊すことはないと思います。たぶん・・・」

 「・・・・・・」


 私も、自信を持って大丈夫ですとは、言えなかった。


 トールさん、ポロンさん、ロキさん、サラちゃんは、楽しそうに日本酒を、ガンガンに飲んでいる。そこにホワさん、アビスもまざり、楽しそうだ。

 それに引き替え、7巨星王は、お通夜みたに、静まりかえっている。


 「どうする」

 「大丈夫じゃないか」

 「でも火の精霊神だぜ」

 「いつでも、逃げる準備をした方が」

 「おれの人生もこれまでか」

 「おれも飲みたいけど、怖い」

 「避難しようぜ」


 その日は、みんなで、夜遅くまで、飲んで騒いだ。しかし事件は起こった。途中で、サラちゃんは、酔っ払って、空に向かって、マグマを吐き出した。空一面は赤く染まり、無数の大きな溶岩が、流れ星のように、至る所に降りそそいだ。

 私は、すぐにシールドを張り、町の安全は確保したが、ターニプの町の周りには、至る所に大きな穴ボコが空いてしまった。私のシールドのおかげで、町には、被害が出ずに、済んだのだが、一歩間違えれば、大惨事になっていたのである。

 サラちゃんには、途中退場してもらい、その後、7巨星王の悲痛な叫びを、聞きながらの宴会になってしまったのであった。


 「昨日は大変だったな」

 「ほんとそうですわ。サラちゃんにも、困ったものですわ」

 「その精印は、封印することは、できないのか」

 「無理ですわ。それに、せっかく召喚契約をしたのに、もったいないですわ」

 「イフリートだけで十分だろ。サラはあまり役に立たないし」

 「確かにそうですわ。でも・・・・ 」


 「ひどいですわ。私は役に立ちますわ」


 またまたサラちゃんがあらわれた。


 「お前、昨日何をしたのか覚えてないのか」

 「酔っていたので、わかりませんわ」

 「やっぱ解約しようぜ」
 
 「どうしましょう・・・」

 「ポロンさん・・・私を捨てないでぇーーー」

 「もう、酔ってマグマを吐き出すのは、禁止ですからね」

 「記憶にはありませんが、善処します」

 「また酔って大噴火を起こしそうだな・・・」

 
 とりあえず、サラちゃんは、ポロンさんに許してもらったみたいである。移動手段として、サラちゃんは必要だからである。しかし今から、7巨星王に、竜光石の加工できる職人の話しを、聞きにいくので、サラちゃんには、ついて来ないように、お願いした。


 「私だけ、のけ者にするなんて、ひどいですわ」

 「サラが来ると、7巨星王がビビって、話しにならないし、お前は、町の外を、穴ボコだらけにしたから、そこで反省しとけ」

 「記憶にございませんわ」


 私たちは、サラちゃんを置いて、7巨星王に会いに行った。



 「これは、ポロン様、わざわざお越し頂いて、ありがとうございます。サラマンダー様もご一緒ですか」


 7巨星王達は、ポロンさんに失礼のないように、丁寧に挨拶をする。


 「サラちゃんは、外で待機していますわ。それよりも、竜光石の加工職人を教えて下さい」

 「はい。竜光石を加工できるものは、ドワーフの国に、腕試しに来た、神守聖王国オリュンポスのバルカンという男です。バルカンは、神から授かった能力の使い手で、鍛治の腕前は、私の知る限りでは、世界一だと思います。バルカンは、ディゴが、守護聖竜様から頂いた、竜鉱石を加工してました」

 「バルカンという男なのね。その男は、今はどこにいるのですか」

 「半年前に、アポロ公爵の使いの者が、バルカンを連れ戻しにやってきました」

 「アポロ公爵だと・・」

 「はい、そう言っていました」

 「アポロ公爵といえば、ブラカリの町の襲撃事件の時に、ルシスが撃退した北の領主だな」

  
 アポロ公爵の太陽騎士団を、撤退させたのは、私に間違いない。その撤退させた領主の元に、バルカンはいるみたいである。


 「はいそうです。どうしますか?アポロ公爵が治める町へ、行ってみますか」

 「いきなり行って、トラブルにならないのか」

 「トールの言う通りかもしれないな。いきなり行くのは、危険かもしれない。一度、ラディッシュの町に戻って、ディーバ伯爵に相談してみよう」


 私たちは、竜光石の加工職人を探すために、一旦、ラディッシュの町に戻ることにした。


 
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