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アトラス山脈にてパート1
しおりを挟む「遅ーーーーーい。もっと早く貢物を、持ってきてくれないと困ります」
私たちの気配を感じたらしく、かなり前から、ここで待っていたらしい。
「代わりの貢物は、用意できたの」
「はい。メデュー様。遅くまりましたが、無事に代わりの貢物を、用意することができました」
「それは、よかったわ。しかし、私の納得のいかない物だったら、どうなるかわかっているよね。エッグプラントの町だけじゃなく、ドワーフの国ごと石化しますからね」
リヨンさんの顔が、青ざめた。そして、リヨンさんは死にそうな目で私をみている、私はニコって笑って、大丈夫だよと合図した。
「もちろんわかっております。メデュー様の納得のいく品を、ここにいるルシスという冒険者が用意してくれました」
「冒険者ですって!まさか、あの白い髪の冒険者の仲間じゃないよね」
私は一瞬ドキッとした。仲間じゃないけど、友達ではある。あまり追求されると、危ないと思って、早速プリンを食べてもらうことにした。
「そのような冒険者知りません。それよりもメデュー様、私が持っている。プリンという食べ物を献上いたします」
「プリン?なんだそれは」
「このプリンという食べ物は、プルプル食感のとても甘い食べ物になっています」
「プルプル食感ですって!それはどんな食感なのか、気になりますわ。早く、そのプリンという物をよこしなさい」
「どうぞ、メデュー様」
メデューはルシスからプリンを受け取り、一口食べてみた
「なんなんですかこれは!これがプルプル食感というものなのね。私の牙を暖かく抱きしめてくれるような食感、これはまさに食の大革命ですわ」
「しかも食感だけではないわ。この食感に追い打ちをかけるようにくる、この甘さ・・・私の心にトドメを刺しにきているわ。もう私は、思い残すとこはない。このプリンを食べた後なら、世界が滅んでも良いのですわ」
メデューは、訳のわかないこと言いながら、プリンを何個も食べている。これは代わりの貢物として納得してくれたのだろう。さすがプリン様。異世界では、ドラゴンさえも黙らせる最高の品である。
「もうなくなってしまったわ」
私の渡した10個のプリンを、一瞬でメデューは、食べてしまった、食べ尽くしたメデューは体を小さく丸めてしょんぼりしている。
「プリン、プリン、食べたいよー・・・・」
「メデュー様、もう少しだけなら、プリンをお渡ししましょうか」
「なんですって!まだあるのでるか。それは嬉しいですわ」
「その代わりに、私のお願いを一つ聞いてほしいのです」
「プリンがもらえるのなら、なんでもするわ」
「女性の冒険者が、守護聖竜様への貢物を盗んだ代償として、リークの町が石化されました。石化は私の魔法で解除したのですが、町の者が、また石化されるのか不安で、家を出ることもできません。もう町を石化しないと、約束して欲しいのです」
「あなたが、私の石化を解除したの」
「はいそうです」
「あの石化を解除するなんて、さすが、プリンの使者ですわ。安心して、代わりの貢物をもらったので、あの町には、もう行かないわ。それよりも、プリンのおかわりをお願いするわ」
「ありがとうございます」
私は追加のプリンを10個渡した。メデューは喜んでプリンを食べ出した。
「ルシス、リークの町の件は片付いたが、俺らのう○この件はどうする」
「トール、竜光石だろ。変な言い方はよせ」
「そうですわ。お下品ですわ」
「それよりも、その竜光石をプリンと交換してもらったら、いいのではないか」
確かにそうであるが、あんな可愛らしドラゴンに、排泄物である竜光石のことは、私には聞きにくかったのである。
「そうですね。私からは、聞きにくいので、ロキお姉ちゃんにお願いします。プリン以外にも、日本酒、唐揚げなどあるので、交渉材料に使ってください」
「私も少し、聞きにくい・・・」
「私もですわ」
やっぱり、みんな聞きにくいのであった。もちろんトールさん以外は。
「俺が聞いてくるわ。それにトイレに行けば転がっているかもしれないし」
慌てて、ロキさんがトールさんを止める。
「やはり、私が行ってくる。トールに任せると、とんでもないことになりそうだ」
「なんだよ。う○こなんて、誰でもするだろう。考えすぎだろ」
ロキさんはトールさんを無視して、メデューのところへ行く。私も気になったので、ついていくことにした。
「メデュー様、お食事中にすまないが、お聞きしたいことがあります」
「私に何かようですか。代わりの貢ぎ物をもらったので、帰ってもよろしいのに」
「実は私たちは、竜光石と言われる鉱石を探しています。ご存知ではないでしょうか」
「聞いたことないですわ。どのような鉱石ですか?甘くて、美味なら私も欲しいですわ」
「いえ、その竜光石は・・・・」
ロキさんは説明に迷っている。失礼なこと言って怒らせてしまったら、また町ごと石化されたら大変である。
「メデュー様、この冒険者たちは、竜の加護を授かった鉱石を探しています。緑色に輝くミスリル、アダマントが洗礼された石でございます」
みかねたリヨンさんが、代わりに説明してくれた。
「あの、ゴミクズが、竜光石なの?だいぶ前に、ドワーフの王が、喜んで持って帰った緑色の鉱石ならたくさんあるわ」
「それのことだと思います。見せてもらってよろしいでしょうか」
「いいわよ。ミスリル、アダマントの甘みが、なくなった残骸だから、好きにしていいわよ。姉上からは、誰にも渡したらいけないといわれているけど、バレなければ、大丈夫よ」
「ありがとうございます」
「メデュー!!何しているの」
「ひえーーー。ごめんなさい」
「竜光石は、渡してはダメと言ってるでしょう。あれは、私たち竜の力を含んだ特殊な鉱石と言ってるでしょ」
「・・・・」
「それで、あなたが、今食べている物はどうしたの」
「・・・・」
「ミスリル、アダマントを持って行かれたのは、あなたのせいでしょ。女の子の冒険者と大食い対決なんてするからよ」
「・・・・ごめんなさい」
「しかも、その子に戻ってきてもらおうとして、町まで石化してしまうなんて、あなたって子はどうしようもないんだから」
「ごめんなさい」
「私たちの妹が、町に迷惑をかけてごめんなさい。それに、代わりの貢物まで持ってきてくださるなんて、大変だったでしょう」
メデューの姉と名乗る2人の守護聖竜の、ステンとエウリが私たちの頭上から舞い降りてきた。
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