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ブラカリの町パート1
しおりを挟むアメリア様の、王都までの護衛依頼の日まで、私は、お酒作りを、することにした。
トールさんとポロンさんは三日間、魂が抜けたかのように、呆然としていたが、4日目からは、ロキさんに、連れられて、ディービルの森付近まで、素材集めのクエストをおこなっている。
Cランク冒険者の名に恥じない、腕を身につけるための、修行を兼ねているらしい。
私はお酒作りを、頑張りたいので、クエストはお断りした。私は転生前も、転生後もお酒を飲んだ、ことがないので、お酒作りは、少し不安だったが、心強いパートナーがいた・・・いや、不安材料でしかないのかもしれないが・・・
「花のような香りがして、甘味があって、おいしいよ。食がすすむお酒だね。でも、まだなんか足りないかな。もっと深みが欲しいかも。次の期待してるよ」
作り直したお酒を試飲してもらう。
「飲み口がサラサラして、さっきより甘味も強く、かなり良くなってきよ」
私は転生前、父が日本酒が、好きで、よくお酒の話を聞かされていた。そこで私は日本酒を作ることにした。魔法で簡単に作れると思ったが、意外と難しい。まず、飲んだことがないから、イメージができないから、なかなか再現ができない。
そこで、お酒大好きクラちゃんに、助手をお願いした。クラーケン討伐パーティーの夜、こっそりとパーティーに参加しているのを、見つけて、お説教をしたが、迷惑をかけないことを、約束して、滞在を許してしまったのである。
食べる物は、クラちゃんが、海から、魚を採ってきたり、また魔獣を退治して、私が料理することで、町に迷惑を、かけないようにしている。
お酒作りを始めて、一週間が経つ頃には、クラちゃんが満足する日本酒が作れるよになったのであった。
「これ今までで、1番いいかも。口当たりが良く、甘味が深く、香りもフルーティで最高の出来かも」
「ほんと。嬉しい。じゃぁ、この作り方で、たくさん作るね」
「このお酒の名前は、何て言うの」
「大魔王だよ」
私は、どうしても、この名前をつけたかった。お酒を通して、大魔王の名を広めたかったのである。
「なんか、すごい名前だね」
私は、護衛の依頼の日まで、作れるだけたくさんのお酒を作った。
そして、護衛の日を迎えた。
「今日は護衛お願いします」
オリビアさんが深々と頭を下げてきた。私たちに気をつかっているのだろう。
「わかりました。まずは、ブラカリへ向かえば、いいのですね」
ロキさんも丁寧に対応した。
「はい。お願いします」
「ところで、なんでブラカリによるんだ」
「私は何も聞いていません。オリビアならご存知かも」
アメリア様は知らないらしい。
「トール、詮索するのはやめましょう。伯爵夫人からの依頼です。何か、わけがあるのでしょう。私たちは、受けた依頼を、実行するだけです」
「かたいこと言うなよ。ブラカリだぜ。気になるぜ」
「私が、ディーバ様から、ブラカリの町の魔石工房の視察を、依頼されているので、ございます」
オリビアさんが、アメリア様が困った様子だったので、ブラカリに行く理由を説明した。
「魔石工房かぁ。たしか、ブラカリの魔石技術はかなり高いらしいな」
「はい。そうです。ブラカリの発展は、魔石技術によるものです。魔石に手を加えることで、様々な便利な魔石を、産み出しているそうです」
「たしか、魔術を使えない男でも、使用できる魔石を作ったのが、ブラカリだったな」
魔石技術とは、魔石を、生活用品として、使うために、魔石を改造する技術である。街頭、部屋の明かり、調理器具、など全て魔石でできている。火の魔法で、加工した魔石なら、魔石がコンロの代わりになる。しかし、スイッチの役割になるのが、魔法なので、男性は魔石器具は、使えないから、不便でもある。
その男性では、使えない魔石を、使えるように加工する技術があるのが、ブラカリの職人である。この魔石により、この国の生活は一変したのであるが、その魔石は貴重な為、裕福な貴族にしか、手に入れることができない。
「でも、無理じゃないか。これまで、何度となく、その技術の秘密を探ろうとしたが、誰もできなかった、らしいじゃないか」
「確かに、そうです。それでも、何かヒントになるもを、調べて欲しいと言われてます」
「まぁ、頑張ってくれよ。俺は、おいしいお店でも探すわ」
私たちは、ラディッシュの街を出て、ブラカリへ目指した。アメリア様の護衛は、ラスパの4人と、オリビアさんの率いる護衛団10名である。私の支援魔法で、馬のスキルを上げて、出来るだけ早く、ブラカリの町へ着くようにした。
「すごいな、この支援魔法は。今日中には、ブラカリにつけそうです」
オリビアさんがすごく驚いている。
「あの時の回復魔法といい、この支援魔法・・・どこで覚えたんだろう」
「そうですね。馬が全く疲労を感じてませんね」
「命の恩人を調査するのは、心苦しですが、この国の今の情勢を考えると、あの子の存在は、とても大切です。どうにかして、私たちの組織に、加入して欲しいわ」
「そうですね。奥様もそれを望んでいます。ブラカリの関係者だと、にらんでいたが、あの子はブラカリに行ったことが、ないみたいです。ブラカリの関係者ならよかったのだが、違うなら、どこからきたのだろう」
「母の指示通り、ブラカリで、彼女の様子を伺いましょう。そして、あのお方にも確認しないとね」
私たちは、日が暮れる前には、ブラカリに到着した。ブラカリの町へ入る門に着くと、そこには、体長2.5mの大きなトラ・・・がいた。いやトラのような人?
それはトラの獣人であった。
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