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パースリの町過去編パート2
しおりを挟む僕は無我夢中で走った。ただひたすら、走り続けたのであった。もう走る体力もなくなってきた。みんなは無事に、逃げれたのかな?あの町に戻っても、ろくな人生は待ってはいない。ここで死んでも後悔は無いかな・・・
いや、死にたくない。あんなアホのバサクや、町の人々から、奴隷のように働かせれて、最後は、結果的にバサクを助ける形で、ベアーウルフのエサになるなんて、悲しすぎる。
力のない僕は、ずっと、虐げられる人生しか、待っていないのかもしれない。それでも、死にたくない。僕は、死への恐怖から、震えながら、涙を流し、その場に座り込んでしまった。
死にたくないと、思いながらも、最後は何もせず諦めてしまった。
「君はそこで、何をしているの。」
僕の前にあらわれたのは、ベアーウルフではなく、金色の髪ををした、僕と同じ歳くらいの、男の子がいた。僕と違うところと言えば、頭に、黒くて綺麗な2本の、ツノが生えていることだ。
「ベアーウルフに、襲われたので、逃げているところです。」
「そうなんだ。でもベアーウルフは逃げていったよ。」
子供の僕でわかる。この子はものすごく強い。見た目は、美しい美少年だけど、伝わってくる、オーラで、息をするのも苦しくなるくらいだ。しかし、僕に対する敵意は感じられない。
「助けてくれたのですか。」
「ベアーウルフは僕に気付いて、勝手に逃げたけどね。少し君に興味があって、上から見ていたんだよ。君は弱いのに、仲間の為に身を犠牲にしていたね。」
「それくらいしか、僕に出来ることは、なかったので。」
「人間にしては、立派なものだよ。聞いた話によると、人間は弱い者いじめや、争い事ばかりしているみたいだからね。弱いのに頑張るのは、いいことだよ。僕の大切な人も、弱くなったから、力をつけようと頑張っているしね。」
「僕も強くなりたいです。あの町の人たちを見返してやりたい。」
「町で何かあったのかな。」
僕は今までに、孤児院や町でのことを、少年に話した。
「その町はパースリの町でのことなんだね。」
「はい。パースリの町はご存知なのですか?」
「あの町の教会の件で、この辺りまで、きていたからね。」
「神守教会ですか?あの教会の教えはひどいものです。」
この少年は、亜人だろう。神守教会の教えだと、亜人は魔王に手先であり、この国を滅ぼす、災いに種族とされているので、亜人にとっては、ひどい教えである。
「そうだね。・・・・そうだ君に、いいものあげようか。あの町にかなりの怒りが、あるみたいだしね。」
「何をくれるのですか。」
「このハーメルンの笛をあげよう。この笛を吹くと、吹いた時に、憎悪を感じた、相手を襲いに、魔獣の軍勢を召喚する事ができるのだよ。これで、町の人に復讐ができるよ。」
「魔獣に町を襲わせる、笛なんですね。」
「そうだよ、そんなに強い魔獣じゃないから、失敗したら、もう一度吹けば、さらに強い魔獣の群れがあらわれるよ。この笛は2回使えて、効果は一週間だよ、一週間経つと、魔獣は召喚元に消えて行くよ。」
「僕は襲われないのですか?」
「笛を吹いた人が、召喚主だから、襲うことはないよ。ついでに、これもあげるよ。この石をもっていたら、魔獣が近付くことは、できなくなるよ。もし守りたい人が、いるなら、これを渡すといいよ。」
「ありがとうございます。」
「それでは、僕は、もう行くね。その石を持っていたら、この森でも、魔獣に襲われることも、ないから、森から抜ける事ができるよ。」
「待ってください。」
「まだ、何かようかな。」
「僕強くなりたいのです。貴方様にように強くなりたいです。」
「・・・」
「お願いします。僕は素質もなく、神技を得る事も、できませんでした。無能力者なので、いくら頑張っても、無駄といわれ、この先もずっと、虐げられる人生は嫌なのです。お願いします。僕を強くしてください。」
「・・・」
「お願いします。」
「具体的にどう強くなりたのかな。」
僕はずっと思っていた。女の子に生まれていたら、魔法も使えて、強くなれるかもしれないと。
「女性のように魔法が使えるようになりたいです。」
「そんなことか。それなら簡単だ。少し痛いけど我慢してね。」
そい言うと少年は、僕の胸に手を突き刺した。しかし、さほど痛みは感じなかった。何をされたかよくわからないが、その少年は、僕の胸の中に突き刺した手で、何かしているみたいだ。
「終わったよ、これで君は今日から女の子だよ。」
「何をなされたのですか?」
「少し君の魔石をいじっただけだよ、少しサービスしておいたからね。」
体の異変は、すぐに分かった。体、声、顔の形、全てが女性になったのが、わかる。しかし、一番の変化は、魔力だ。体に流れる魔力を感じる。血液が血管を流れるように、魔力も全身に流れている。この魔法の流れを意識してコントロール出来る量が増えるほど、より強力な魔法が使えるらしい。
「じゃあ、行くね。」
「待ってください。」
「まだ何かようかな?」
「私を、弟子にしてください。」
「・・・・」
「お願いします。」
「・・・・」
「お願いします。」
「それは、さすがに無理かな。」
「それなら、1日でいいので、魔法の使い方を、教えてください。」
「・・・・」
「お願いします。」
「・・・・」
「お願いします。」
「これで最後だよ。」
「はい。最後のお願いです。」
少年は、私に根負けしたみたいで、魔法を教えてもらえる事になった。少年の名は。リプロというらしい。
リプロ様の指導は、魔力の流れをイメージして、魔力の流れを感じとる。というシンプルだけど、やってみると、これがかなり難しい訓練であった。しかし、数時間後には、なんとか魔力の流れを、感じとる事ができた。
あれから、私の最後のお願い攻撃が炸裂し、1日の予定が、3日に伸ばす事に成功した。3日後には、リプロ様の指導のおかげで、レベルの低い魔法だが、自在に使えるよに、なったのである。
「君は魔法の才能は、あるみたいだから、これからも頑張るんだよ。」
「ありがとうございます。それで、最後のお願いなんですけど・・・」
「・・・・」
「私に名前をつけて、もらえないでしょうか。女性として生まれ変わったので。」
「そうだな・・・フェニなんてどうかな。」
「素敵な名前です。これからは、フェニとなのります。」
私はリプロ様に、お礼をすると、この森を抜けて、パースリの町へと向かった・・・
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