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 「本当に申し訳ございませんでした。」

 「カミラ男爵様お顔を上げてください。きちんと対処していただいたので、もう気にしていません」

 「あの子も昔は、あんな子ではなかったのよ、男に生まれたので、魔法はつかえないから、武力に磨きをかけて、神技を習得しようと、頑張っていました。」

 「でも神技を習得できず、いつのまにか、何事もやる気をなくし、家に閉じこもるようになりました」


 この世界の人間は、男性は魔法を使えない。魔法は女性特有の能力である。女性は、魔法を使えるので、仕事には困ることはない。

 男性は、魔法はつかえないが、体を鍛えることによって、スキルを習得できる。それが神技である。

 神技とは、肉体強化が、できる魔法みたいなものである。神技には、いろいろアレンジすることにより、強力な魔法に匹敵するワザを、くりだすことができるのである。

 ただ一部の男性は、その神技すら身につけられない、無能力者がいる。

 無能力者が、働く場所は、非常にすくないのである。


 「私は、このままではいけないと思い、息子に門兵の仕事を与えました。このような小さな街なので、神技を使えなくても、大丈夫だと思いました。」

 「息子は、仕事を与えられた事を喜んで、門兵としての責務を、まっとうしていましたが、となりの町のパースリに、行くようになってから、人が変わったように、人間以外の人種を、憎むようになりました。原因は、あの子も言っていた、神守教会の教えだと思います。それから、パースリの町からルークという男性を、連れてきて、この町で神守教会の教えを、広めようとしてました」
 「信仰の自由は、国が認めているので、止める事はできませんでした。しかしあの子のおこないは、どんどんエスカレートしていきました。私が早い段階で、対処してれば、こんな事にならなかったのに、本当に申し訳ございません。」

 「いえいえ、気にしないでください。それよりも息子さんを、追い出してよかったのですか?」

 「はい。かまいません。いずれこの町から、追い出さなければいけないと、考えておりました。それに、あの子は、一緒にいたルークと共に、パースリの町へ行くでしょう。」

 「わかりました。それでは、今回のベアーウルフの討伐のことを、お話しします。」

 「ベアーウルフは無事に討伐してきました。」

 「本当ですか。ありがとうございます。」


 そして、ロキさんは何故、ベアーウルフが、町の付近まで来たのか原因を説明し、キマイラも討伐したことを伝えた。


 「ベアーウルフが現れたのは、キマイラが原因だったんですね。そして、キマイラまで討伐してくれたんですね。本当にありがとうございます。もちろん、キマイラの分の報酬も用意します。」


 これでトールさんがいくら食べても問題なさそうだ。そのことで私は、一安心した。


 「よし、とりあえず腹減ったから、飯にしようぜ。」

 「この町には、冒険者ギルドはないから、私はカミラ男爵の屋敷で、魔石の確認をしてもらう。みんなは、先に宿屋に行ってくれ」

 「はい。わかりました。」


 私たちは、ロキさんを残して、宿屋へと向かった。

 宿屋に戻ると、すぐに食堂にいき、トールさんはいろいろと注文している。


 「たくさん頼みすぎると、ロキお姉ちゃんに怒られますよ。」


 と私は注意した。


 「大丈夫ですわルシスちゃん。依頼達成後は、どんなにたくさん食べても、ロキは怒らないよ。無事に帰ってこれた祝勝会ですからね。」

 「そうなんですね。ポロンお姉ちゃん。それなら私も沢山食べちゃいます。」

 「そうだぜルシス。たくさん食べようぜ。今回の討伐は、ルシスの力のおかげで勝てたことだしな。それにルシスが、このパーティーに入った歓迎会でもあるしな。」

 「ありがとうございます。」

 「ポロンお姉ちゃんはお酒は飲まないのですか?」

 「私はお酒は苦手なので・・・」


 ポロンは、なんだか悲しそうに呟いた。

 この国は16歳からお酒は飲むことができる。私はまだ10歳なので、この国では、お酒は飲むことができない。
 
 食事が用意される頃には、ロキさんも宿屋に戻ってきた。

 
 「魔石の確認は終わったよ。キマイラも討伐したから、かなりの収入がだったよ。だから、今日は大宴会をしよう。」


 ロキさんも食べる気満々である。


 「キマイラの素材は、この町には冒険者ギルドがないから、別の町で換金しよう。近くだとパースリの町になるが、あの町に行くとトラブルになりそうだから、北へ向かってバードクの町へ行こう。」

 「その方がよさげだな。」

 「明日の昼に、出発したら、馬車を使えば、次の日には着くだろ。」


 この世界の移動は基本馬車になる。魔法があるので、たいていの事はできるので、技術の進歩は低い。技術の探究より魔法の探究のが、この世界では重要なことである。

 馬に疲労回復の魔法を使えば、休息をとらずに何日も走らせる事はできるし、支援魔法を使えるものがいれば、スピードも早くなる。私の魔法をを使えば、明日の昼に町を出ても、その日のうちにたどり着けるだろう。


 「それで決まりだな。朝はゆっくりできるから、今日は飲みまくるぜ。」


 そして私の歓迎をかねた大宴会は、夜遅くまで続いたのであった。




 「ドン、ドン、ドン」 「ドン、ドン、ドン」

 「冒険者様、起きてますか?」


 激しくドアを叩く音で私たちは目が覚めた。


 「うるせぇー」


  トールさんは無理やり起こされたので、少し機嫌が悪い。


 「どうかなされましたか?」


 ロキさんが、扉を開けて、宿屋の主人に尋ねる。


 「パースリの町が、ゴブリンの大群に襲われて、占拠された。そのことで、町長さんが、あなたがたに、話しがあるので、起こして欲しいと頼まれました」


 ゴブリンが町を占拠するなんて、そんなことありえない。いったいパースリの町で何がおこっているのだろう…

 急いで用意をすませ、食堂へ降りていった。
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