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一回目 (過去)
41.精霊の話
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ジャスパーが走り出し息せき切って鞄を抱えて戻ってきた。コンフリィの根茎と錨草にアキレアを混ぜて乳鉢ですり潰す。
「水はどこの水?」
「安心しろ、俺がさっき出した」
「お湯は?」
「持ってきました!」
薬草が準備できるとナザエル枢機卿が人払いしてナスタリア神父がそっとローザリアの頭を抱えた。
「ローザリア様、聞こえますか? ナスタリアです」
二度三度と小さな声で呼びかけるとうっすらと目が開いた。
「ローザリア様? 良かった。目が覚めたのですね。御気分は如何ですか?」
「エリ⋯⋯エリサとおんなじ」
「はい?」
「ごめんなさい。神父様の言葉が⋯⋯エリサと同じで懐かしくて。もう大丈夫です、私⋯⋯ごめんなさい」
手をついて起きあがろうしたローザリアをナスタリア神父が支えた。
「無理はしないで下さいね。ちょっと変わった味なんですが少し飲めますか?」
「はい、大丈夫だと思います」
ローザリアの手を支えて少しずつゆっくりと飲んでいく。
「においや味は大丈夫でしたか?」
「えっと、はい」
ナスタリア神父が『随分と我慢強いですね』と言い小さく笑った。この薬湯は大の大人でも嫌がるしナザエル枢機卿に至っては吐き出した事のある代物なので、ローザリアが何も言わず最後まで飲み切ったのには驚いてしまった。
「ローザリアは味覚音痴だな。アレを飲めるなんて強者だぜ」
「ふふっ、褒められました?」
「ん? 貶してるに決まってんだろ? 無理すんなよ」
「はい」
「少し休んだら教会帰りましょう。ベッドで休んだ方がいい」
「⋯⋯あの、ナスタリア神父様が教えて下さったとこに行ってみたいです」
「今日ですか?」
「多分。できれば早い方がいいと思うので」
ナスタリア神父がナザエル枢機卿に目配せしてどうするか聞いた。
「ローザリアは何故行きたいんだ? 行くのは構わんが無理はしない方がいいと思うんだが」
「もう少ししたら歩けるようになるので、それまでちょっとお話を聞いてもらっていいですか?」
「ああ、結界を張るか?」
「周りに音が聞こえなくなりますか?」
「なら防音結界だな」
左手を前に出したナザエル枢機卿が小さな声で詠唱し結界を張った。
「よし、良いぞ」
モゾモゾと体制を整えたローザリアが2人の顔を見て精霊から聞いた話をゆっくりと話しはじめた。
「精霊達が嫌がる場所があるそうです。そこには加護を戴けなかった子供がう⋯⋯埋められてて。加護がないから殺されたって言ってました」
ローザリアの声は次第に小さくなっていった。
「それを聞いてローザリアは驚いて体調が悪くなったのか」
「⋯⋯何とかしてあげたいって思いました。埋められたままなんて可哀想だって。
で、ほんとだったら私も同じようになってたんだなって思ったんです。私も加護がないと思われてて役立たずだって言われていたので⋯⋯埋められてる子達は私の仲間なんです」
「そりゃキツいわ」
「助けてあげて欲しいって。モヤモヤが出てて精霊には場所がわかるそうです」
「それで祠に行きたいんですね?」
ローザリアはゆっくりと頷いた。
「なんとなくですけど祠に行っておいた方がいい気がして。無理なら行かなくても全然構わないです」
「ローザリアが元気になったら行こう。飯を食って休憩して、それから考えような。それでいいか?」
「はい、ありがとうございます」
結界を解くと気を利かせたジャスパー達がスープ用の野菜を切りはじめていた。
「おう、ご苦労。今日は一旦解散だ。わかっていると思うが誰にも何も漏らすなよ。ニールとビクター、お前達は残れ。迎えの時間は追って知らせる。解散!!」
「「はい!」」
馬車から残りの荷物を下ろした。食料や念の為の着替え、毛布やローザリアには何が入っているのかわからない横長の大きな櫃。
申し訳ないと思いながらローザリアは敷物の上に座ったままその様子を何気なく見ていた。
【ダメダメ】
【茶色い粉はダメだよ(ムキ】
(えっ? 茶色い粉?)
【あの甘いやつ】
【こないだ飲んだやつ】
(もしかしてショコラトルかも?)
ローザリアはゆっくりと立ち上がり荷物に向かって歩いていった。
「どうかされましたか?」
「もしかして今日ショコラトルを持って来てますか?」
「水はどこの水?」
「安心しろ、俺がさっき出した」
「お湯は?」
「持ってきました!」
薬草が準備できるとナザエル枢機卿が人払いしてナスタリア神父がそっとローザリアの頭を抱えた。
「ローザリア様、聞こえますか? ナスタリアです」
二度三度と小さな声で呼びかけるとうっすらと目が開いた。
「ローザリア様? 良かった。目が覚めたのですね。御気分は如何ですか?」
「エリ⋯⋯エリサとおんなじ」
「はい?」
「ごめんなさい。神父様の言葉が⋯⋯エリサと同じで懐かしくて。もう大丈夫です、私⋯⋯ごめんなさい」
手をついて起きあがろうしたローザリアをナスタリア神父が支えた。
「無理はしないで下さいね。ちょっと変わった味なんですが少し飲めますか?」
「はい、大丈夫だと思います」
ローザリアの手を支えて少しずつゆっくりと飲んでいく。
「においや味は大丈夫でしたか?」
「えっと、はい」
ナスタリア神父が『随分と我慢強いですね』と言い小さく笑った。この薬湯は大の大人でも嫌がるしナザエル枢機卿に至っては吐き出した事のある代物なので、ローザリアが何も言わず最後まで飲み切ったのには驚いてしまった。
「ローザリアは味覚音痴だな。アレを飲めるなんて強者だぜ」
「ふふっ、褒められました?」
「ん? 貶してるに決まってんだろ? 無理すんなよ」
「はい」
「少し休んだら教会帰りましょう。ベッドで休んだ方がいい」
「⋯⋯あの、ナスタリア神父様が教えて下さったとこに行ってみたいです」
「今日ですか?」
「多分。できれば早い方がいいと思うので」
ナスタリア神父がナザエル枢機卿に目配せしてどうするか聞いた。
「ローザリアは何故行きたいんだ? 行くのは構わんが無理はしない方がいいと思うんだが」
「もう少ししたら歩けるようになるので、それまでちょっとお話を聞いてもらっていいですか?」
「ああ、結界を張るか?」
「周りに音が聞こえなくなりますか?」
「なら防音結界だな」
左手を前に出したナザエル枢機卿が小さな声で詠唱し結界を張った。
「よし、良いぞ」
モゾモゾと体制を整えたローザリアが2人の顔を見て精霊から聞いた話をゆっくりと話しはじめた。
「精霊達が嫌がる場所があるそうです。そこには加護を戴けなかった子供がう⋯⋯埋められてて。加護がないから殺されたって言ってました」
ローザリアの声は次第に小さくなっていった。
「それを聞いてローザリアは驚いて体調が悪くなったのか」
「⋯⋯何とかしてあげたいって思いました。埋められたままなんて可哀想だって。
で、ほんとだったら私も同じようになってたんだなって思ったんです。私も加護がないと思われてて役立たずだって言われていたので⋯⋯埋められてる子達は私の仲間なんです」
「そりゃキツいわ」
「助けてあげて欲しいって。モヤモヤが出てて精霊には場所がわかるそうです」
「それで祠に行きたいんですね?」
ローザリアはゆっくりと頷いた。
「なんとなくですけど祠に行っておいた方がいい気がして。無理なら行かなくても全然構わないです」
「ローザリアが元気になったら行こう。飯を食って休憩して、それから考えような。それでいいか?」
「はい、ありがとうございます」
結界を解くと気を利かせたジャスパー達がスープ用の野菜を切りはじめていた。
「おう、ご苦労。今日は一旦解散だ。わかっていると思うが誰にも何も漏らすなよ。ニールとビクター、お前達は残れ。迎えの時間は追って知らせる。解散!!」
「「はい!」」
馬車から残りの荷物を下ろした。食料や念の為の着替え、毛布やローザリアには何が入っているのかわからない横長の大きな櫃。
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【ダメダメ】
【茶色い粉はダメだよ(ムキ】
(えっ? 茶色い粉?)
【あの甘いやつ】
【こないだ飲んだやつ】
(もしかしてショコラトルかも?)
ローザリアはゆっくりと立ち上がり荷物に向かって歩いていった。
「どうかされましたか?」
「もしかして今日ショコラトルを持って来てますか?」
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