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54.将来の予定
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「オナモミか、それは合ってそうだなあ。で、リリスはどう思うんだ?」
「条件としてはこれ以上ない方だと思います。血筋・爵位・資産・社会的評価、それに容姿や性格も。
わたくしではどれをとっても釣り合いませんから、数年前の淡い想い出はそのままにして終わらせたほうが美しい記憶として残ると思います」
「つまり、興味がないって事か」
「⋯⋯フォレスト公爵様にと言うよりも、今は自由を満喫したいと思っておりますの。お友達と会ったり夜会にも行ってみたいです。お仕事をはじめたいと思っていて、候補も決めておりますし。
ですからフォレスト公爵様のお申し出は⋯⋯婚姻先と考えるよりも就職先としての方が良いような気もしています」
「と言うと?」
お父様にお話ししていいのかどうか分からず下を向いてしまいました。
「子供達のことか?」
「お聞きになられましたの?」
思わず身を乗り出してしまいました。お父様ならもっと詳しく聞いておられるかもしれません。
「理由は言えないが引き取りたいと言っておられた」
「はい、わたくしにもそのように仰られました。フォレスト公爵様とわたくしはまだ数えるほどしかお会いしたことはありませんでしょう? 信頼関係ができているとは思えませんから理由をお話にならないのは当然の事です。それは理解できているのですが⋯⋯」
お父様はフォレスト公爵様とグレッグを見て何か思われたでしょうか? 司教様の執務室でもチラチラと見てしまったのですが、わたくしにはよくわかりませんでした。
でも、子供を引き取りたい理由など他には思いつきませんし。
「お互いに利害関係が一致しているとも仰られましたの。確かにわたくしはグレッグとチェイスの側にいたいと思っておりますけれど、子供達の先行きが決まるまで⋯⋯長くても10年とかその位だと思うのです。利害ではじまってもうまく行くような気がしませんの」
「フォレスト卿は本気かもしれん」
「⋯⋯お忙しい方ですから、子供達さえ引き取ることができればわたくしのことはお忘れになられるのではないでしょうか」
社交界には見目麗しい令嬢が多くいらっしゃいますし、あれほどの方であれば引く手数多ですから。隣に堂々と立つなど想像もできません。
ドレスもコルセットも踵の高い靴も不要な暮らしをしてきたわたくしでは隣で躓いて恥をかくだけの気がします。
「白い結婚で婚姻が無効になったと言っても直ぐに誰かと婚約や婚姻するわけにはいかんのだし⋯⋯しばらく様子見というのはどうだ?」
「⋯⋯そう⋯⋯ですね」
結婚などお断りして仕事としてお受けする方が話が早い気がするのですが、人の意見を聞くと決めたばかりです。
となると、次にお会いした時にはちょっぴり提案するくらいにしておけば良いのでしょうか?
「で、仕事の候補を絞ったと言っていたが?」
「はい、孤児院の職員か通いのメイドはどうかなぁと思っておりますの。
今回子供達と接していて孤児院の子供達が社会に出るお手伝いができたら良いなと思いましたし、メイドはある程度仕事もわかるのでわたくしでもなんとかなりそうだと」
「⋯⋯そうか。グレッグとチェイスのことが落ち着くまでにゆっくりと考えれば良い。メイドと言うのはともかくとして、あの子達にとっても大勢の子供と触れ合うのは良い刺激になるだろう」
「はい、今は知らない大人を怖がっているのですが、とても順応性の高い頭の良い子達だと思いますの。ここでしばらく暮らして落ち着いてきたら、一緒に孤児院に行ってみても良いんじゃないかと思っております」
「それにセルゲイに相談するのも手だぞ。彼は子供も孫もいるからな」
「はい、そうしてみます」
「さて、私は仕事に戻るとしよう。コナー氏から聞いた話も伝えなくてはいけないから⋯⋯それはまた夜にでも」
「お忙しいのに、ありがとうございました」
お父様が席を立ち執務室に行かれたので、わたくしは子供達に会いに行きましょう。
話をしながら食事をしておりましたから時間がかかってしまいましたが、こんなに長くお父様とお話ししたのは初めてかもしれません。
楽しい時の時間はあっという間に過ぎると言うのは本当ですね。
子供部屋に使う部屋は2階の客間です。広いベッドやソファとコーヒテーブルなどが準備されている我が家の『特別室』です。
隣の部屋は衣装部屋になっていて誰がきても大丈夫なように衣装が取り揃えられています。このふた部屋がわたくしが連れてきた方達の部屋になります。
「リィ!」
ご機嫌な天使が飛びついてきました。まだまだ痩せていますが、一番変わったのはこのプニプニのほっぺ。
極上の癒し機能付きです。
「お腹は空いてなさそうね。何してたのか教えてくれるかしら?」
「メイサ、ちゅみき、してた」
やっぱり覚えが早いです。天才です。あと一歩で4歳児の文章ですね。
「積み木ならわたくしも仲間に入れてくれるかしら?」
「リィ、しゅる?」
「条件としてはこれ以上ない方だと思います。血筋・爵位・資産・社会的評価、それに容姿や性格も。
わたくしではどれをとっても釣り合いませんから、数年前の淡い想い出はそのままにして終わらせたほうが美しい記憶として残ると思います」
「つまり、興味がないって事か」
「⋯⋯フォレスト公爵様にと言うよりも、今は自由を満喫したいと思っておりますの。お友達と会ったり夜会にも行ってみたいです。お仕事をはじめたいと思っていて、候補も決めておりますし。
ですからフォレスト公爵様のお申し出は⋯⋯婚姻先と考えるよりも就職先としての方が良いような気もしています」
「と言うと?」
お父様にお話ししていいのかどうか分からず下を向いてしまいました。
「子供達のことか?」
「お聞きになられましたの?」
思わず身を乗り出してしまいました。お父様ならもっと詳しく聞いておられるかもしれません。
「理由は言えないが引き取りたいと言っておられた」
「はい、わたくしにもそのように仰られました。フォレスト公爵様とわたくしはまだ数えるほどしかお会いしたことはありませんでしょう? 信頼関係ができているとは思えませんから理由をお話にならないのは当然の事です。それは理解できているのですが⋯⋯」
お父様はフォレスト公爵様とグレッグを見て何か思われたでしょうか? 司教様の執務室でもチラチラと見てしまったのですが、わたくしにはよくわかりませんでした。
でも、子供を引き取りたい理由など他には思いつきませんし。
「お互いに利害関係が一致しているとも仰られましたの。確かにわたくしはグレッグとチェイスの側にいたいと思っておりますけれど、子供達の先行きが決まるまで⋯⋯長くても10年とかその位だと思うのです。利害ではじまってもうまく行くような気がしませんの」
「フォレスト卿は本気かもしれん」
「⋯⋯お忙しい方ですから、子供達さえ引き取ることができればわたくしのことはお忘れになられるのではないでしょうか」
社交界には見目麗しい令嬢が多くいらっしゃいますし、あれほどの方であれば引く手数多ですから。隣に堂々と立つなど想像もできません。
ドレスもコルセットも踵の高い靴も不要な暮らしをしてきたわたくしでは隣で躓いて恥をかくだけの気がします。
「白い結婚で婚姻が無効になったと言っても直ぐに誰かと婚約や婚姻するわけにはいかんのだし⋯⋯しばらく様子見というのはどうだ?」
「⋯⋯そう⋯⋯ですね」
結婚などお断りして仕事としてお受けする方が話が早い気がするのですが、人の意見を聞くと決めたばかりです。
となると、次にお会いした時にはちょっぴり提案するくらいにしておけば良いのでしょうか?
「で、仕事の候補を絞ったと言っていたが?」
「はい、孤児院の職員か通いのメイドはどうかなぁと思っておりますの。
今回子供達と接していて孤児院の子供達が社会に出るお手伝いができたら良いなと思いましたし、メイドはある程度仕事もわかるのでわたくしでもなんとかなりそうだと」
「⋯⋯そうか。グレッグとチェイスのことが落ち着くまでにゆっくりと考えれば良い。メイドと言うのはともかくとして、あの子達にとっても大勢の子供と触れ合うのは良い刺激になるだろう」
「はい、今は知らない大人を怖がっているのですが、とても順応性の高い頭の良い子達だと思いますの。ここでしばらく暮らして落ち着いてきたら、一緒に孤児院に行ってみても良いんじゃないかと思っております」
「それにセルゲイに相談するのも手だぞ。彼は子供も孫もいるからな」
「はい、そうしてみます」
「さて、私は仕事に戻るとしよう。コナー氏から聞いた話も伝えなくてはいけないから⋯⋯それはまた夜にでも」
「お忙しいのに、ありがとうございました」
お父様が席を立ち執務室に行かれたので、わたくしは子供達に会いに行きましょう。
話をしながら食事をしておりましたから時間がかかってしまいましたが、こんなに長くお父様とお話ししたのは初めてかもしれません。
楽しい時の時間はあっという間に過ぎると言うのは本当ですね。
子供部屋に使う部屋は2階の客間です。広いベッドやソファとコーヒテーブルなどが準備されている我が家の『特別室』です。
隣の部屋は衣装部屋になっていて誰がきても大丈夫なように衣装が取り揃えられています。このふた部屋がわたくしが連れてきた方達の部屋になります。
「リィ!」
ご機嫌な天使が飛びついてきました。まだまだ痩せていますが、一番変わったのはこのプニプニのほっぺ。
極上の癒し機能付きです。
「お腹は空いてなさそうね。何してたのか教えてくれるかしら?」
「メイサ、ちゅみき、してた」
やっぱり覚えが早いです。天才です。あと一歩で4歳児の文章ですね。
「積み木ならわたくしも仲間に入れてくれるかしら?」
「リィ、しゅる?」
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