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第二章
32.魔法と魔導具頼りの弊害
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「ねえ、マルデルと愉快な仲間達。魔導具に頼り切ってるこの国の人は掛け算もできない人が多いって知ってる? 下手したら足し算や引き算も怪しいんだって。
魔導具なしでは計算できないからお釣りを誤魔化されても分からないし、領地経営で不正をされても気付かない事がある。
魔法と魔導具に寄りかかりすぎてるから、人本来の力が失われてる事に気付いてさえいない。魔法と魔導具は人が使う為にあるはずなのに、人の方が使われている事にさえ気づいていないの」
「それがどうしたって言うのよ! この世界は魔法で成り立ってるの! だからアンタみたいな『役立たず』以外には全然問題ないじゃん」
「そのせいで馬鹿げた魔導具を作った奴がいたのよねぇ。魔法が使いたいなら他人から魔力を奪えばいいなんて、頭のおかしい奴しか思いつかないでしょ?
人体の構造も理解してないくせに、魔導具で他人の体の中を弄るなんて間違いなく悪魔の実験ってやつよね。
その魔導具を使って廃人になった人とか寝たきりになった人なんかがかなりの数出たって知ってる?
史上最低最悪の悪魔が考えた愚かで馬鹿げた道具としか言えないよね」
「な、なんですって⋯⋯アレはこの世界を救うんだから。魔力を有効活用してやるんだから、土下座してこのアタシの靴でも舐めてりゃ良いのよ!」
「なんと言うことだ! あの魔導具は君の考案だったのか」
「そうよぉ、凄いでしょう? アレのおかげで以前よりもーっと沢山の魔法が使えるようになったんだもの。こんな女よりアタシを崇めるべきだって分かったでしょ?
ごめんなさいって謝るなら、今ならまだ下僕くらいにはしてあげても良いわよ~」
「あの魔導具のせいでどれほど多くの人が苦しみ悲しんでいるか⋯⋯それを凄いなどと言えるのは狂人のみ! マーウォルス達はそれを知っていながら下僕のように付き従っているのかね!?」
「廃人になったのは下民達なのだから、別に構わんだろう? 我々のための尊い犠牲だな」
「おう、戦って国を守る俺らの役に立てるんだ。生命を差し出すくらい当然じゃね?」
「新しい技術に犠牲はつきもの。産まれただけで何の役に立たん奴等の最高の活用法だろうな」
「僕達の為に頑張ったんだから、次は下民よりもう少し真面な人間になれると思うよ。まあ、教会は暇じゃないからさぁそんな人達の為に祈ったりしないけどね~」
「そうよ別に良いじゃん。役に立てて喜んでんじゃない? そうだ! いいこと考えた。このクラブであの魔導具の研究の続きをさせたげる。で、アタシが部長になって開発の管理とか発表とかしたげる。
あのジジイなんかよりティウやリーグの方がよっぽど良いじゃん。
そうしたら数をどうのなんてショボい事やるよりよっぽど目立つしお金にもなるんだから。実験にはそのクズ女の魔力を使えばやりたい放題だし⋯⋯ティウ、そうしようよ。その間にリーグがルーン魔術を思い出せば怖いもんなしになるじゃん」
(アルは雷⋯⋯リーグは風と土と無属性魔法で、フロディは多分今は精霊魔法を使えないから水魔法の気がするし空間魔法はほっといていいよね⋯⋯空間魔法?)
クソッタレ5人衆が勝手な事を言っている間にグロリアは着々と鑑定を済ませていった。
「偉そうに言ってるけど仕組みなんてかけらもわかってないくせに。考案したんじゃなくて精々誰かの知恵をパクったか、誰かから教えられたかのどっちかでしょう?」
「だからなんなのよ! 水道だって魔導具だってアタシの名前で発表されてるんだから!」
「水の浄化方法どころか浄化の意味もわかんないのに? 魔力どころか魔法が何かも分かってないのに? 先見の力がなくなったんじゃない、カンニングさせてくれる人がいなくなっただけじゃん」
「な! ならアンタには分かるって言うの!?」
「私の事を私自身より知ってるつもりかと思ったけど? だから、シェラード教授と私を関わらせないように画策したんじゃなかったっけ。リンド先生に変えたかったんでしょ?」
図星だったマルデルはギリッと奥歯を噛み締めた。
「煩い煩い煩い! この世界はアタシの為に準備されたんだから⋯⋯ここにアタシ達のアルヘイムを作り直すの。
愛と美の女神の足元に跪く男達、平伏して羨望の眼差しを向ける女達。全てが黄金に輝きアタシを照らし続ける」
マルデルの目が突然宙を彷徨いはじめた。
「セイズはすぐそこまできてる⋯⋯何度も何度も夢に⋯⋯妖艶で淫卑な宴がはじまるから、はじめはあいつの為に歌ってあげるわ」
マルデルはゆっくりと体を揺らしながら宙を見上げて怪しく微笑み両手を自身の身体に這わせた。
「あの、ネックレスを取り戻すの⋯⋯あれはアタシとあいつの大切な絆、二人を繋ぐ鍵だから。
悪戯好きで気紛れで⋯⋯天邪鬼なあいつがアタシの元に帰ってくる」
(それってまさか⋯⋯)
「⋯⋯マルデルがセイズの呪歌を思い出せば世界を手に入れられるんだ。僕もサイズマズルになれる!」
陶然とした顔でマルデルを見つめるティウとアル、フロディは膝をつきマルデルに向かって祈りを捧げはじめた。
「もう直ぐセイズの呪歌をアタシは思い出すわ! そしてこの世界をこの手に」
マルデルの目に強い光が戻りキッパリと宣言すると、部員の中で資料を漁っていたリーグも右手を胸に当て頭を垂れた。
「マルデルに永遠の忠誠を! ルーン魔術の力はマルデルの為に」
「そこのクズ女は贖罪の為に転生させた。だから、ニブルヘイムに落ちるよりもっと苦しまなくちゃ⋯⋯。セイズの儀式の生贄になる為に、大切に大切に虐め抜かなくちゃ⋯⋯。
魔力を抜かれて剣で刺されて、死に逃げ込む直前が一番いい貢物だから。
未来永劫⋯⋯永遠に苦しませてあげる」
「まるで、マルデルが転生させたみたいな言い方ね」
「ふふ、同じ事よ⋯⋯誰だってアタシの言いなりになるもの」
胸を押さえたマルデルの手がぼんやりと光り、ティウ達の目に邪悪な光が灯った。
「そんな事をペラペラ喋っていいの? 観客がいっぱい聞いてるんだけど?」
「アタシに従わないならアルに殺させるだけ。それが嫌なら教会の地下でフロディに飼育させるわ。リーグがルーン魔術で奴隷にしてくれるから。そう、エインヘイヤルみたいに⋯⋯。
邪魔な記憶ならティウに消させる!!」
「まさに悪魔⋯⋯悪魔以下だな」
オリー教授の呟きが部屋に響いた。
「許さない⋯⋯アタシは愛と美の女神! アル、アタシを馬鹿にしたコイツらを⋯⋯クソの役にも立たない人間なんか全員殺してしまえ!!」
(脳筋のアルなら雷を使いたがる可能性が高い、となるとリーグは風属性にするはずだけど⋯⋯この狭い空間で風を巻き起こせば大事なマルデルに当たるかもと考えるはず)
雷属性が水属性に強く土属性に弱いのは何故なのか⋯⋯。雷属性の魔法は屋外に強く屋内に弱いのは何故か⋯⋯。
(全種類行使できるティウが一番のネックだけど、面白い事思いついちゃった⋯⋯レッツエクスペリメント、成功するか失敗するか⋯⋯恐怖の肝試し大会開催だね!)
マルデルが自分に酔っている間に計画を練り上げたグロリアが気合いを入れた。
(こんな事になるとは思わなかったけど⋯⋯何も話さなくて良かった。何もできない人間だと思い込んでるコイツらには必ず隙ができるはず。複数対一人、元神族対人間なら⋯⋯それくらいのハンデ、貰っても構わないんじゃね?)
魔導具なしでは計算できないからお釣りを誤魔化されても分からないし、領地経営で不正をされても気付かない事がある。
魔法と魔導具に寄りかかりすぎてるから、人本来の力が失われてる事に気付いてさえいない。魔法と魔導具は人が使う為にあるはずなのに、人の方が使われている事にさえ気づいていないの」
「それがどうしたって言うのよ! この世界は魔法で成り立ってるの! だからアンタみたいな『役立たず』以外には全然問題ないじゃん」
「そのせいで馬鹿げた魔導具を作った奴がいたのよねぇ。魔法が使いたいなら他人から魔力を奪えばいいなんて、頭のおかしい奴しか思いつかないでしょ?
人体の構造も理解してないくせに、魔導具で他人の体の中を弄るなんて間違いなく悪魔の実験ってやつよね。
その魔導具を使って廃人になった人とか寝たきりになった人なんかがかなりの数出たって知ってる?
史上最低最悪の悪魔が考えた愚かで馬鹿げた道具としか言えないよね」
「な、なんですって⋯⋯アレはこの世界を救うんだから。魔力を有効活用してやるんだから、土下座してこのアタシの靴でも舐めてりゃ良いのよ!」
「なんと言うことだ! あの魔導具は君の考案だったのか」
「そうよぉ、凄いでしょう? アレのおかげで以前よりもーっと沢山の魔法が使えるようになったんだもの。こんな女よりアタシを崇めるべきだって分かったでしょ?
ごめんなさいって謝るなら、今ならまだ下僕くらいにはしてあげても良いわよ~」
「あの魔導具のせいでどれほど多くの人が苦しみ悲しんでいるか⋯⋯それを凄いなどと言えるのは狂人のみ! マーウォルス達はそれを知っていながら下僕のように付き従っているのかね!?」
「廃人になったのは下民達なのだから、別に構わんだろう? 我々のための尊い犠牲だな」
「おう、戦って国を守る俺らの役に立てるんだ。生命を差し出すくらい当然じゃね?」
「新しい技術に犠牲はつきもの。産まれただけで何の役に立たん奴等の最高の活用法だろうな」
「僕達の為に頑張ったんだから、次は下民よりもう少し真面な人間になれると思うよ。まあ、教会は暇じゃないからさぁそんな人達の為に祈ったりしないけどね~」
「そうよ別に良いじゃん。役に立てて喜んでんじゃない? そうだ! いいこと考えた。このクラブであの魔導具の研究の続きをさせたげる。で、アタシが部長になって開発の管理とか発表とかしたげる。
あのジジイなんかよりティウやリーグの方がよっぽど良いじゃん。
そうしたら数をどうのなんてショボい事やるよりよっぽど目立つしお金にもなるんだから。実験にはそのクズ女の魔力を使えばやりたい放題だし⋯⋯ティウ、そうしようよ。その間にリーグがルーン魔術を思い出せば怖いもんなしになるじゃん」
(アルは雷⋯⋯リーグは風と土と無属性魔法で、フロディは多分今は精霊魔法を使えないから水魔法の気がするし空間魔法はほっといていいよね⋯⋯空間魔法?)
クソッタレ5人衆が勝手な事を言っている間にグロリアは着々と鑑定を済ませていった。
「偉そうに言ってるけど仕組みなんてかけらもわかってないくせに。考案したんじゃなくて精々誰かの知恵をパクったか、誰かから教えられたかのどっちかでしょう?」
「だからなんなのよ! 水道だって魔導具だってアタシの名前で発表されてるんだから!」
「水の浄化方法どころか浄化の意味もわかんないのに? 魔力どころか魔法が何かも分かってないのに? 先見の力がなくなったんじゃない、カンニングさせてくれる人がいなくなっただけじゃん」
「な! ならアンタには分かるって言うの!?」
「私の事を私自身より知ってるつもりかと思ったけど? だから、シェラード教授と私を関わらせないように画策したんじゃなかったっけ。リンド先生に変えたかったんでしょ?」
図星だったマルデルはギリッと奥歯を噛み締めた。
「煩い煩い煩い! この世界はアタシの為に準備されたんだから⋯⋯ここにアタシ達のアルヘイムを作り直すの。
愛と美の女神の足元に跪く男達、平伏して羨望の眼差しを向ける女達。全てが黄金に輝きアタシを照らし続ける」
マルデルの目が突然宙を彷徨いはじめた。
「セイズはすぐそこまできてる⋯⋯何度も何度も夢に⋯⋯妖艶で淫卑な宴がはじまるから、はじめはあいつの為に歌ってあげるわ」
マルデルはゆっくりと体を揺らしながら宙を見上げて怪しく微笑み両手を自身の身体に這わせた。
「あの、ネックレスを取り戻すの⋯⋯あれはアタシとあいつの大切な絆、二人を繋ぐ鍵だから。
悪戯好きで気紛れで⋯⋯天邪鬼なあいつがアタシの元に帰ってくる」
(それってまさか⋯⋯)
「⋯⋯マルデルがセイズの呪歌を思い出せば世界を手に入れられるんだ。僕もサイズマズルになれる!」
陶然とした顔でマルデルを見つめるティウとアル、フロディは膝をつきマルデルに向かって祈りを捧げはじめた。
「もう直ぐセイズの呪歌をアタシは思い出すわ! そしてこの世界をこの手に」
マルデルの目に強い光が戻りキッパリと宣言すると、部員の中で資料を漁っていたリーグも右手を胸に当て頭を垂れた。
「マルデルに永遠の忠誠を! ルーン魔術の力はマルデルの為に」
「そこのクズ女は贖罪の為に転生させた。だから、ニブルヘイムに落ちるよりもっと苦しまなくちゃ⋯⋯。セイズの儀式の生贄になる為に、大切に大切に虐め抜かなくちゃ⋯⋯。
魔力を抜かれて剣で刺されて、死に逃げ込む直前が一番いい貢物だから。
未来永劫⋯⋯永遠に苦しませてあげる」
「まるで、マルデルが転生させたみたいな言い方ね」
「ふふ、同じ事よ⋯⋯誰だってアタシの言いなりになるもの」
胸を押さえたマルデルの手がぼんやりと光り、ティウ達の目に邪悪な光が灯った。
「そんな事をペラペラ喋っていいの? 観客がいっぱい聞いてるんだけど?」
「アタシに従わないならアルに殺させるだけ。それが嫌なら教会の地下でフロディに飼育させるわ。リーグがルーン魔術で奴隷にしてくれるから。そう、エインヘイヤルみたいに⋯⋯。
邪魔な記憶ならティウに消させる!!」
「まさに悪魔⋯⋯悪魔以下だな」
オリー教授の呟きが部屋に響いた。
「許さない⋯⋯アタシは愛と美の女神! アル、アタシを馬鹿にしたコイツらを⋯⋯クソの役にも立たない人間なんか全員殺してしまえ!!」
(脳筋のアルなら雷を使いたがる可能性が高い、となるとリーグは風属性にするはずだけど⋯⋯この狭い空間で風を巻き起こせば大事なマルデルに当たるかもと考えるはず)
雷属性が水属性に強く土属性に弱いのは何故なのか⋯⋯。雷属性の魔法は屋外に強く屋内に弱いのは何故か⋯⋯。
(全種類行使できるティウが一番のネックだけど、面白い事思いついちゃった⋯⋯レッツエクスペリメント、成功するか失敗するか⋯⋯恐怖の肝試し大会開催だね!)
マルデルが自分に酔っている間に計画を練り上げたグロリアが気合いを入れた。
(こんな事になるとは思わなかったけど⋯⋯何も話さなくて良かった。何もできない人間だと思い込んでるコイツらには必ず隙ができるはず。複数対一人、元神族対人間なら⋯⋯それくらいのハンデ、貰っても構わないんじゃね?)
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