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第二章

10.グロリアの判断基準が不安じゃけど、応援しとるけんね

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 学園から帰り部屋に戻ったグロリアは制服のままベッドにダイブした。

(ふ~、強烈な一日だったなあ。そうだ!)

 ポーチからグリちゃんを出したグロリアは部屋に防音した。

「ねえ、今日の4人って元神族だよね」

【5人おったよ、生徒4人とエイルで5人】

「やっぱりかぁ。エイルさんってお薬の神だよね、おんなじ名前だから『え?』って思ったもん」


【エイル・リュヴィヤの名前はそのままエイル。
アース神族でワルキューレじゃったけど、最良の医者って言われとったね。治療もじゃけど薬草の知識もダントツじゃけん教えてもろうたらええよ】

「そんな神様が何で学園の教師をしてるの?」

【うーん。ようわからんけどヘルの友達じゃけん、元神言うても敵にはならんと思うで? グロリアの事を話に聞いたりはしとると思うけん、あの凶悪で過激なヘルが珍しく大事にしとるグロリアになんかするとは思えんのよね。
あの娘っ子はフレイヤとその彼氏達のせいで男嫌いにはなってしもうたけど根はいい娘っ子じゃし、手助けしてくれるんじゃないかと思うで】

「ヘルの友達? なら信用できそうだね、良かった~」



【一番の曲者はティウ・T・マーウォルスじゃ思うよ。奴は片腕をヴァンにパクってされたテュールじゃけんねえ。
軍神・天空神・司法神・最古の主神。
ようけ並んどるじゃろ。そのくせオーディンに嵌められてから大人しくしとるけん、ロキは気に入らんみたいじゃね。
ヴァンと会うたらどうなるんかちょっと楽しみじゃ思わん?】

「ヴァンはツンデレさんだから喜んでプンプンしそうじゃないかなあ。元々は仲が良かったんだし、和解できたら最高だよね」



【リーグ・H・ウイルドがヘイムダルじゃ言うのは知っとるよね、んで光の神って言われとった。
グロリアの予想通りホヴズの所有者じゃけえ、あの剣を返したらルーン魔術の事をかなり思い出すんじゃないかねえ。
頭がええけん味方になったらすっごい助かるかもじゃけど、面倒くさい性格しとるし⋯⋯微妙なんよね~】

「やっぱり? なんかそんな気がしたんだ。返す時ボコボコにされそうで怖いんだよなあ。ねえ、どうしたら良いと思う?」

【そ、それはワシに聞かれてもなあ。ワシもヘイムダルは超こわいもん。
あ、ロキとヘイムダルはあんまり仲がようないと思うんよ。イタズラ小僧のロキとクソ真面目なヘイムダルじゃけん、仕方ないんかもしれんけどね】

「あー、そんな感じする。正反対って本当は合うって言うんだけどねえ。凸と凹ってやつ」



【フロディ・F・ガムラはフレイで豊穣の神。フレイヤの双子の兄ちゃんじゃったせいでずーっと女性恐怖症のままじゃけん。まあ、妖精にならずに済んだのもフレイヤのお陰⋯⋯ゲフンゲフン。
ああ見えてすごい力持ちじゃし、放置プレイでも大丈夫な子なんよ】

「妖精? そう言えば妖精界と行き来できるんだよね、凄いなぁ」

【う、うん。そうとも言う⋯⋯かな?】

「セティから何か連絡来てない?」

【うーん、特には聞いとらんねぇ。4年も経っとるのに仲良く遊び呆けとるみたいじゃね。ロキもフレイヤも怖いって気が合う仲間みたいになっとるってフギンが呆れとった】

「そっか、セティと仲良しなら悪い子じゃないのかも」

【どうかねぇ。セティはあんな子じゃろ? 元神ならええ子のはずって先入観持っとるけんね。フレイに頼られたらどっちに転ぶかわからん気がするんよ】

「確かに。セティは善良すぎて完全に信用できないってとこあるよね。元神に対してだけは騙されやすそうとか絆されそうとかって」



【アルゲス・T・ユピテールは元雷神のトールで、ロキと仲が良かったんよ。特徴は⋯⋯剣よりハンマーが好きで、頭痛持ちの女装趣味】

「ええ! あのアルが女装趣味⋯⋯人は見かけによらないってホントだね。でも、ロキと仲が良いなら信用できるね」

【グロリアの判断基準がなあ、ちいと心配じゃけど⋯⋯まあ、グロリアじゃし】




【ついでに⋯⋯いずれ編入とかしてくると思うけん、教えといたげるね。スルト・S・ミュルクヴィって覚えとる?】

「うん、魔導塔の監視してたスルトちゃんだね! 会ったのはパーティーの時の一回こっきりだけど、しっかり覚えてる」

【スルトはすんごいでかい身体で癇癪持ちの男の子じゃったじゃろ? 何かって言うたら火魔法バンバン打ちまくるし⋯⋯。
強力な火魔法と剣術を使う巨人族で、ロキの仲間。
フェンリルを最高の師匠だと崇めとるのと、ヘルに一目惚れをしとるのが面倒な子なんよ。悪い子じゃないんじゃけどね】

「スルトちゃんだと思ってたから、女子トークしたくて楽しみにしてたんだ。そしたらすっごい大きな男の人で、ビックリしちゃった。スルトってラグナロクで世界を燃やし尽くしたって聞いてなんか納得だった。口を開かなければ結構迫力あるんだもん。
それにしてもやっぱりヘルってモテるんだね~」

【ヘルは『フレイヤと関係を持った男なんて反吐が出る!』って言いよるけん、まぁ無理なんじゃないかねえ。それに長いこと会っとらん仲の悪い奥ちゃんがおるし】

「あ、そうだった。確か⋯⋯シー、シンモラさん! ヘルがその気じゃなくて良かったよ~、二股・不倫は最低だもん」

(まだ初日なのに⋯⋯本当に濃かった。やってけるのか不安しかないんだけど?)



 翌朝のホームルームで午後の予定が発表された。

「授業は時間割り通りなんだけど、午後の剣術の授業内容が変更になりました。本来は座学だったんだけど、簡単な実力テストになります。
ただ、これは単なる確認だから成績には関係ないから、安心して臨んで大丈夫だからね。
質問のある人は?」

 男子生徒にしては小柄なクロット・ワッサンが手を上げた。

「ワッサンね、どうぞ」

「あの、昨日カフェテラスで見たんですけど。バトルをするって言ってたからそれが今日の授業に影響してるのかなって」

「⋯⋯そうね、カフェテラスの大勢の前での話だったから知ってて当然ね。確かに、授業での実力テストに合わせてバトルが行われることになっています。ただ、2人とも入学したばかりの1年生だから木刀を使って行うし、希望があれば防具も準備してあります。
授業中に行うことにしたのはあまり大騒ぎにしたくないから。
他に質問は? チチェスターね、どうぞ」



「観覧はできますか?」

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