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お茶会しますPart2
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「ウォルターさん、どうぞ遠慮なくおっしゃってくださいな。実は両親も私も、わざわざ姉のお友達にお会いする理由がわからなくて、困惑しておりますの」
「はい、あの、実は先日ミリアム様と結婚の約束をいたしました。それで今日、こちらにお呼びいただいたのだと思っていたのですが」
とっても居心地の悪い空気が流れています。リオンは私に何か言って欲しいようです。はっきり聞いてはダメなのでしょうか? 妹のほうをちらっと見てみましたが、気づかないふりでお茶を飲んでいます。
質問した相手を無視するって、お行儀が悪くありませんの?
「既にミリアム様から、お話を聞いておられると思っておりました」
話しましたとも。喜び勇んで報告して、撃沈いたしましたのよ。今も針の筵に座っているような気分です。
リオンはかなり不機嫌な様子です。お父様もお母さまも気づかない振りでおられます。リディは今度は暢気にお茶菓子を選んでいます。
「それは申し訳ないことをしたね。だが、貴族の結婚について確認させてもらえるかな。貴族の結婚というのは、まず初めに本人またはその代理人が相手の家を訪ね、親や後見人に結婚の了承を貰う。そこで初めて、当人同士で結婚の話が持たれるものなんだ。ウォルター君はおそらく知っていると思うがね」
「それは、あの。先走って申し訳ありませんでした。では今日改めて、ミリアム様への結婚の申し込みをさせていただけないでしょうか?」
「うーん、誤解を招く言い方になるかもしれないが、ウォルター君にはミリアムに結婚を申し込む資格はあるのかね?」
「たっ確かに私は平民で、ミリアム様は王女様です。ですが、私たちは真実の愛に結ばれているのです」
リオンがきっぱりと宣言してくれました。でも何でしょう? あんまり嬉しくありませんわ。だって、ヒロインとか言われて馬鹿にされてしまうのは嫌ですもの。
「ふふっ、真実の愛って最近色々なところで聞くのですが、私にはよくわかりませんの。お姉様もわかっていらっしゃるようには見えませんし、ウォルターさん詳しくご説明いただけません?お二人はどのようにして愛? を育まれたのかしら」
「それは、同じクラスで授業を受けていたので、その合間の休み時間とかお昼休憩とか。後、放課後などの時間にです」
「その時間をどのようにお使いになられましたの?」
「勿論、色々なことを話しました。そしてお互いが、かけがえのない大切な相手だと気づいたのです」
えーっと、そんなに沢山お話ししたでしょうか? お昼休憩とか放課後? たまにご一緒することはありましたけど。そう言えば、それほど沢山のお話をした覚えがありませんわ。愛を育んだとか・・何のことでしょう。
もしかして私、とっても大きな勘違いをしていたかもしれませんわ。どこで真実の愛を見つけたのでしたかしら?
今までの事をあれこれと考えている内に、リディアVSリオンがはじまっていました。
展開が早すぎて、ついていけなくなりそうですわ。
「ウォルターさんは、今日ここにいらっしゃる前、私の名前をご存じでした?」
「えっ? あの」
「私の年齢は? 我が家が何人家族かご存じ? お姉様が可愛がっておられる愛犬の名前は?」
「・・・・・・・・」
「どれもご存じないのですか?不思議ですね。お姉様は家族をとても大事にしておられますの。特にあんなに大切にしている愛犬の名前をご存じないとか、ありえませんわ」
「以前お聞きしたのは覚えています。ただ、度忘れと言うか、その」
「本当に? 愛犬の名前をお聞きになられたことがおありですの?」
「当然です。愛する人が教えてくれたことなら、勿論覚えていますとも。ただ今日はちょっと緊張していて」
「ウォルターさんは、嘘つきさんですか? お姉様は犬を飼ったことがございませんのよ。私が犬アレルギーなので」
リオン、惨敗です。リディには勝てません。
「お父様やお母様の前でこのような嘘をおっしゃる方ですから、他にも色々おありなのかもしれませんわね」
「はい、あの、実は先日ミリアム様と結婚の約束をいたしました。それで今日、こちらにお呼びいただいたのだと思っていたのですが」
とっても居心地の悪い空気が流れています。リオンは私に何か言って欲しいようです。はっきり聞いてはダメなのでしょうか? 妹のほうをちらっと見てみましたが、気づかないふりでお茶を飲んでいます。
質問した相手を無視するって、お行儀が悪くありませんの?
「既にミリアム様から、お話を聞いておられると思っておりました」
話しましたとも。喜び勇んで報告して、撃沈いたしましたのよ。今も針の筵に座っているような気分です。
リオンはかなり不機嫌な様子です。お父様もお母さまも気づかない振りでおられます。リディは今度は暢気にお茶菓子を選んでいます。
「それは申し訳ないことをしたね。だが、貴族の結婚について確認させてもらえるかな。貴族の結婚というのは、まず初めに本人またはその代理人が相手の家を訪ね、親や後見人に結婚の了承を貰う。そこで初めて、当人同士で結婚の話が持たれるものなんだ。ウォルター君はおそらく知っていると思うがね」
「それは、あの。先走って申し訳ありませんでした。では今日改めて、ミリアム様への結婚の申し込みをさせていただけないでしょうか?」
「うーん、誤解を招く言い方になるかもしれないが、ウォルター君にはミリアムに結婚を申し込む資格はあるのかね?」
「たっ確かに私は平民で、ミリアム様は王女様です。ですが、私たちは真実の愛に結ばれているのです」
リオンがきっぱりと宣言してくれました。でも何でしょう? あんまり嬉しくありませんわ。だって、ヒロインとか言われて馬鹿にされてしまうのは嫌ですもの。
「ふふっ、真実の愛って最近色々なところで聞くのですが、私にはよくわかりませんの。お姉様もわかっていらっしゃるようには見えませんし、ウォルターさん詳しくご説明いただけません?お二人はどのようにして愛? を育まれたのかしら」
「それは、同じクラスで授業を受けていたので、その合間の休み時間とかお昼休憩とか。後、放課後などの時間にです」
「その時間をどのようにお使いになられましたの?」
「勿論、色々なことを話しました。そしてお互いが、かけがえのない大切な相手だと気づいたのです」
えーっと、そんなに沢山お話ししたでしょうか? お昼休憩とか放課後? たまにご一緒することはありましたけど。そう言えば、それほど沢山のお話をした覚えがありませんわ。愛を育んだとか・・何のことでしょう。
もしかして私、とっても大きな勘違いをしていたかもしれませんわ。どこで真実の愛を見つけたのでしたかしら?
今までの事をあれこれと考えている内に、リディアVSリオンがはじまっていました。
展開が早すぎて、ついていけなくなりそうですわ。
「ウォルターさんは、今日ここにいらっしゃる前、私の名前をご存じでした?」
「えっ? あの」
「私の年齢は? 我が家が何人家族かご存じ? お姉様が可愛がっておられる愛犬の名前は?」
「・・・・・・・・」
「どれもご存じないのですか?不思議ですね。お姉様は家族をとても大事にしておられますの。特にあんなに大切にしている愛犬の名前をご存じないとか、ありえませんわ」
「以前お聞きしたのは覚えています。ただ、度忘れと言うか、その」
「本当に? 愛犬の名前をお聞きになられたことがおありですの?」
「当然です。愛する人が教えてくれたことなら、勿論覚えていますとも。ただ今日はちょっと緊張していて」
「ウォルターさんは、嘘つきさんですか? お姉様は犬を飼ったことがございませんのよ。私が犬アレルギーなので」
リオン、惨敗です。リディには勝てません。
「お父様やお母様の前でこのような嘘をおっしゃる方ですから、他にも色々おありなのかもしれませんわね」
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