6 / 14
お花畑Part 2
しおりを挟む
( )内、妹の心の声です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「確かにお姉様のおっしゃる通り、成績優秀で人格もとても良いと評判の方ですわ」
「でしょう?」
良かったです。妹が高評価を付けるのはとっても珍しいのです。もしかして初めてかも。
(あくまでも表向きはね。外面がいいだけのような気がしますの)
「お父様を数年前に亡くされて、お母様と二人暮らし。お母様は花屋で働いて居られるのだったと記憶しています」
「女の方がお仕事をされて、一人で一家を支えて居られるのは、とても立派な事ですね。ご苦労も多いことでしょうに」
「だからなのですね。リオンは家で食事の支度とか、お手伝いもされていると仰っておられましたわ」
それにしても妹の情報収集力、かなり怖いです。家族構成等々まで、どうやって調べているのでしょう。
「〝女手ひとつ″ ならですけど」
妹が横目で見つめてきます。ジト目です。多分ですけど私、顔引き攣ってますよね。
「ん? どうやらリディは、他にも何か知っているようだね」
お父様が前のめりになっています。妹の情報収集力は侮れないとご存じですから。
「お姉様、学園の入学金や授業料はかなり高額だと言うのは、ご存知ですか?」
「いいえ? でも、ちゃんと払えているのだと思いますわ。だってリオンも私と一緒に卒業しますもの」
突然の質問にびっくりしてしまいました。
「ウォルター家はあまり資産のあるお家ではございません。どちらかと言えば、金銭的にはかなり困窮されているようです」
そっそこで話を切らないで。一気にスパッと教えてくれないと、心臓のドキドキが酷くなる一方ですわ。
「確かリオン・ウォルターは、サーベント子爵令嬢のエレオノーラ様と御婚約されていた筈です。卒業後は、子爵の元でお仕事をされるお約束をされています。成人したら直ぐ結婚となっていたのではないかと。子爵家に入婿になるお約束で、入学金などは全額支援して頂いていると聞いております」
「嘘でしょう。そんな、ありえませんわ」
「お姉様の交友関係は、全て押さえてありますから。多分間違い無いかと」
やっぱり、妹の情報収集力・・怖すぎです。でも、何故そこまで調べているのでしょうか。
「リディアの話によると、ウォルター君は子爵家から、学費の全額援助を受けている。そして、卒業後は結婚予定の婚約者がいる。それを秘密にしたまま、ミリアムに結婚を申し込んだと言うことかい?」
「そう言うことだと思います。恐らく間違いはないと思いますが、お父様の方でも確認して頂いた方が宜しいかと」
「そうだね。もしこれが事実だとしたら、厄介な問題になるかもしれない。サーベント子爵は、中々の曲者だからね」
「はい、サーベント子爵はベリアス侯爵の子飼い。これをネタにお父様を次の国王になどと言いかねません」
「どっ、どう言うこと? なんでここに王位継承問題が関係してくるの?」
「ベリアス侯爵は、国王対立派の第一人者です。今までにもかなり強引に、お父様を国王にしようと、画策して来られましたの。サーベント子爵はその手先として、頻繁に我が家に探りを入れてきています。お姉様の有責で婚約破棄になったと言い、その責任を取らせる為と称して、お父様に貸しを作るおつもりかもしれません。勿論可能性の一つですが」
(それともう一つ、可能性が無いわけではないわね。それについては少し様子をみましょう)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「確かにお姉様のおっしゃる通り、成績優秀で人格もとても良いと評判の方ですわ」
「でしょう?」
良かったです。妹が高評価を付けるのはとっても珍しいのです。もしかして初めてかも。
(あくまでも表向きはね。外面がいいだけのような気がしますの)
「お父様を数年前に亡くされて、お母様と二人暮らし。お母様は花屋で働いて居られるのだったと記憶しています」
「女の方がお仕事をされて、一人で一家を支えて居られるのは、とても立派な事ですね。ご苦労も多いことでしょうに」
「だからなのですね。リオンは家で食事の支度とか、お手伝いもされていると仰っておられましたわ」
それにしても妹の情報収集力、かなり怖いです。家族構成等々まで、どうやって調べているのでしょう。
「〝女手ひとつ″ ならですけど」
妹が横目で見つめてきます。ジト目です。多分ですけど私、顔引き攣ってますよね。
「ん? どうやらリディは、他にも何か知っているようだね」
お父様が前のめりになっています。妹の情報収集力は侮れないとご存じですから。
「お姉様、学園の入学金や授業料はかなり高額だと言うのは、ご存知ですか?」
「いいえ? でも、ちゃんと払えているのだと思いますわ。だってリオンも私と一緒に卒業しますもの」
突然の質問にびっくりしてしまいました。
「ウォルター家はあまり資産のあるお家ではございません。どちらかと言えば、金銭的にはかなり困窮されているようです」
そっそこで話を切らないで。一気にスパッと教えてくれないと、心臓のドキドキが酷くなる一方ですわ。
「確かリオン・ウォルターは、サーベント子爵令嬢のエレオノーラ様と御婚約されていた筈です。卒業後は、子爵の元でお仕事をされるお約束をされています。成人したら直ぐ結婚となっていたのではないかと。子爵家に入婿になるお約束で、入学金などは全額支援して頂いていると聞いております」
「嘘でしょう。そんな、ありえませんわ」
「お姉様の交友関係は、全て押さえてありますから。多分間違い無いかと」
やっぱり、妹の情報収集力・・怖すぎです。でも、何故そこまで調べているのでしょうか。
「リディアの話によると、ウォルター君は子爵家から、学費の全額援助を受けている。そして、卒業後は結婚予定の婚約者がいる。それを秘密にしたまま、ミリアムに結婚を申し込んだと言うことかい?」
「そう言うことだと思います。恐らく間違いはないと思いますが、お父様の方でも確認して頂いた方が宜しいかと」
「そうだね。もしこれが事実だとしたら、厄介な問題になるかもしれない。サーベント子爵は、中々の曲者だからね」
「はい、サーベント子爵はベリアス侯爵の子飼い。これをネタにお父様を次の国王になどと言いかねません」
「どっ、どう言うこと? なんでここに王位継承問題が関係してくるの?」
「ベリアス侯爵は、国王対立派の第一人者です。今までにもかなり強引に、お父様を国王にしようと、画策して来られましたの。サーベント子爵はその手先として、頻繁に我が家に探りを入れてきています。お姉様の有責で婚約破棄になったと言い、その責任を取らせる為と称して、お父様に貸しを作るおつもりかもしれません。勿論可能性の一つですが」
(それともう一つ、可能性が無いわけではないわね。それについては少し様子をみましょう)
23
お気に入りに追加
157
あなたにおすすめの小説
愛されるよりも、恐れられた方が安全です。
和泉鷹央
恋愛
下級貴族の最下位、騎士の娘だったロゼッタに人生の転機が訪れたのは八歳の時だ。
はるかに縁遠い伯爵家の養女になり、ロゼッタの人生は一変した。
華やかな社交界、有力貴族の子弟子女の集まる学院に入れたのも、伯爵家の威光があったからだった。
持って生まれた緋色の瞳を美しいと褒め称えられ、気に入られた相手は王族に連なる公爵令息アンソニー。
二人の恋は学院卒業と同時に結婚へと踏み切るかと思われたが……度重なる王位継承者の病死により、アンソニーが時期王位継承者に選ばれた時、冷たい別離の道へと舵は切られてしまう。
そして、王太子になった彼の口からでた言葉は、婚約破棄のそれだった。
他の投稿サイトでも掲載しています。
なんたか変な人が…
あくの
恋愛
短編です。
夫の愛人と名乗る女性がやってきました。
この国の貴族男性は妻以外に愛人を持つのは良くあること。家庭は政治も絡む。だから、外に愛する人を、と。
我が伯爵家は私が当主で夫はただの配偶者なのですが何か話が変なのです…
【完結】こんな所で言う事!?まぁいいですけどね。私はあなたに気持ちはありませんもの。
まりぃべる
恋愛
私はアイリーン=トゥブァルクと申します。お父様は辺境伯爵を賜っておりますわ。
私には、14歳の時に決められた、婚約者がおりますの。
お相手は、ガブリエル=ドミニク伯爵令息。彼も同じ歳ですわ。
けれど、彼に言われましたの。
「泥臭いお前とはこれ以上一緒に居たくない。婚約破棄だ!俺は、伯爵令息だぞ!ソニア男爵令嬢と結婚する!」
そうですか。男に二言はありませんね?
読んでいただけたら嬉しいです。
婚約破棄?はい喜んで!私、結婚するので!
うさぎ鈴
恋愛
婚約破棄?はい喜んで!丁度結婚するから都合いいし?そして少女は一匹の竜とともに精霊王の森へ向かう。それまでに明らかになる真実とは?短編なので一話で終わります。また、小説家になろうでも投稿しています。
双子の妹が私になりすまし、王子と結ばれようとしています
しきど
恋愛
私達は、顔が同じ双子の聖女です。
ある日私は王子様から縁談を持ちかけられるのですが、それを妬んだ妹は私になりすます計画を立て、代わりに王子と結ばれようとします。
「残念でしたわね、お姉さま」
妹は笑います。けれども運命というものは、彼女に呆れるような罰を与えたのでした。
魔法が使えなかった令嬢は、婚約破棄によって魔法が使えるようになりました
天宮有
恋愛
魔力のある人は15歳になって魔法学園に入学し、16歳までに魔法が使えるようになるらしい。
伯爵令嬢の私ルーナは魔力を期待されて、侯爵令息ラドンは私を婚約者にする。
私は16歳になっても魔法が使えず、ラドンに婚約破棄言い渡されてしまう。
その後――ラドンの婚約破棄した後の行動による怒りによって、私は魔法が使えるようになっていた。
陰謀は、婚約破棄のその後で
秋津冴
恋愛
王国における辺境の盾として国境を守る、グレイスター辺境伯アレクセイ。
いつも眠たそうにしている彼のことを、人は昼行灯とか怠け者とか田舎者と呼ぶ。
しかし、この王国は彼のおかげで平穏を保てるのだと中央の貴族たちは知らなかった。
いつものように、王都への定例報告に赴いたアレクセイ。
彼は、王宮の端でとんでもないことを耳にしてしまう。
それは、王太子ラスティオルによる、婚約破棄宣言。
相手は、この国が崇めている女神の聖女マルゴットだった。
一連の騒動を見届けたアレクセイは、このままでは聖女が謀殺されてしまうと予測する。
いつもの彼ならば関わりたくないとさっさと辺境に戻るのだが、今回は話しが違った。
聖女マルゴットは彼にとって一目惚れした相手だったのだ。
無能と蔑まれていた辺境伯が、聖女を助けるために陰謀を企てる――。
他の投稿サイトにも別名義で掲載しております。
この話は「本日は、絶好の婚約破棄日和です。」と「王太子妃教育を受けた私が、婚約破棄相手に復讐を果たすまで。」の二話の合間を描いた作品になります。
宜しくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる