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第四章
38.エレーナ、爆速
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「アメリア様とニール様の言動が原因でないと言うならば、誰にも罪はない。虐待ではなくビルワーツ侯爵家の流儀なだけならば、それを甘んじて受け入れようとしないわたくしに非があります。
侯爵家としては虐待でないとジョーンズが言うならば、アメリア様のご幼少の頃の話を聞いて学ばなくてはなりませんね。アメリア様も亡きご両親からあのようにして育てられたのでしょうから、教えを乞わねば侯爵家令嬢としての知識不足となります。
虫は大きかったのか、生きていたのか。その食べ方はどうやったのか。スープを飲んだ後お腹を壊した時、庭の雑草の中から薬草になる草を探したのは適切だったのか。
踏み潰されたパンに埋まっている砂や小石の上手な避け方をお聞きしなければ。明らかな腐敗臭で食べられなかった時、我儘だと言って叩かれてるのをどうやって回避したのか。
血のついたチュニックの適切な洗い方や、頭の上に乗せられた図鑑が5冊を超えてもカーテシーを続けられる方法を。何時間も続くお茶会の練習で、お茶を飲み続けなくてはいけない時、お花摘みに行かずに耐える方法もお聞きしたく思います。家庭教師が昼食を取る間、正しい姿勢を保って立ち続けるコツもご存知なのでしょう。鞭で何度も叩かれ肌が裂けようとも決して身じろぎせず、表情も変えずにいる方法は、急いでお教えいだければ助かります。
わたくしの考える虐待と侯爵家の流儀の違いを学ばなくてはなりませんから」
「まさか、使用人達がそこまでしていたなんて⋯⋯それらは全て使用人や家庭教師が勝手にやった事で、アメリア様に非はございません。私達は何も知らな「愚かな事しか口にできないならば、その口をしっかりと閉じていなさい! 先程、使用人の行動は当主の言動で決まると言ったのを聞き漏らしたのですか!? 低俗な使用人達を雇い入れたのは当主、使用人を監督・指導するべきは当主。正しい使用人であれば当主の行いの先を読み、真摯に仕えるでしょうが、低俗・悪質な使用人は当主の言動から手を抜く理由を探し、己の言動を正当化する為に策を練る。
元は優秀な執事だったのですから、その程度の基本を知らないとは言わせません。宰相となってからは、より多くの部下を把握をしなくてはならず『雇った後は知らぬ存ぜぬ』が通用しないことなど、百も承知でしょう?」
その基本を忘れているから注意勧告したにも関わらず、アメリアの馬具に傷を付けられるような隙ができ、周辺国が同盟を結んでいるのも知らず、易々とセルビアスの間者を見逃している⋯⋯でも、それをジョーンズに話すのは『自分の仕事ではない』とエレーナは口を噤んだ。
(それを口に出せば公国の問題に関わらざるを得なくなる。今ならまだ、ミセス・メイベルに丸投げできる可能性が残っているもの。ジョーンズの言動次第ではエリオット陛下が手助けしてくれるでしょうが、今のところその可能性は潰れてるわね。
それどころか、同盟も危ないはず)
「アメリア様もわたくしと同じように、そのまま放置されてお育ちになられたのでしょう⋯⋯わたくしが虐待だと勘違いしているのならば、ビルワーツ侯爵家の流儀を話して聞かせなさい」
「わたくしと同じようにって⋯⋯つまり、エレーナ様がアメリア様と同じだと? それは自惚れと言うものです⋯⋯令嬢がお一人しかお産まれにはなっていないのは同じではありますが、それだけではありませんか!(アメリア様には価値があるが、エレーナになんかカケラも価値はないんだ!)」
「わたくしはアルムヘイルの王子と近い年頃に産まれた為に、アメリア様に疎まれました。本気だったかどうかは分かりませんが⋯⋯アルムヘイルのエドワード王子との婚約話が出たら、首を絞めると仰られたそうですの。
アメリア様も同じようにアルムヘイルの王子と近い年頃でお産まれになられましたから、お母様から疎まれたのでしょう?」
「セレナ様は我が子を疎むような方では⋯⋯⋯⋯あ! そ、それは⋯⋯アメリア様もセレナ様も我が子を疎んでなどおられません!
ただ、アメリア様はアルムヘイルの王子との婚約破棄で、ご苦労なされたからなのです。しかも先代当主ご夫妻のご不幸の原因となったあの国に、強い拒否感をお持ちで⋯⋯。あのような非道をする国を憎むのは仕方ない事ですから。
エレーナ様の場合とは全く違っております!」
「先代当主様のご不幸の経緯は痛ましく、見ず知らずのわたくしでさえ衝撃を受けました。アメリア様達のご心痛は計り知れない事でしょう。
でも、婚約破棄に関しては先代当主様もご苦労なさっておられます。先代当主様の妹リディア様もアルムヘイルの王子と婚約破棄なさっておられますから」
「あぁぁ⋯⋯⋯⋯確かにそうでした。私はすっかり⋯⋯」
ジョーンズの顔にはっきりと『忘れていた』と書かれている。先代当主様の妹リディアはオーレリアに移住し幸せに暮らしているらしいが、仲の良かった王子と婚約破棄させられた後、婚約破棄になった元凶や帝国から非道な扱いを受けた。
「あの当時、先代当主様はかなりご苦労をされました。アメリア様の言動は正しいとジョーンズが言うのですから、先代当主ご夫妻があのような思いをされた後にお産まれになられたアメリア様に対して、複雑な思いを持たれたのかと思いましたの。
だから、アメリア様とわたくしは同じ。顔を見ることさえ嫌がられ、放置されていたのだろうと考えたのです。だって、ビルワーツ侯爵家としてはそのような扱いが妥当だと言うのですから」
アメリアが両親から過分なほどの愛情を注がれて育てられた事は、誰もが知っている。アメリアのみを見つめアメリア絶対主義に陥っているジョーンズの曇った眼には、アメリアに都合の悪い事は映らないのかもしれないが。
アメリアにとって婚約破棄自体がそれほど心を痛めるものではなかったのは、歴史書にはっきりと書かれていた。優秀な頭脳を持つアメリアは、策を巡らし追い詰めるのを楽しみ、それを影に日向に支えていたのが両親。
(ジョーンズは狂信者とでも言うべきかしら。優秀な執事だった頃の面影はカケラも見えないわ)
「今現在、ジョーンズはビルワーツ侯爵家の過去に最も詳しく、長い間アメリア様のお側に仕えている者のひとり。アメリア様の言動が過去に照らし合わせて鑑みても『正しい』とジョーンズが言うなら、ビルワーツ侯爵家代々のやり方と言うことでしょう。
幼児の存在さえ無視して、経歴書の内容だけでしか情報を知らない使用人に丸投げするのが、ビルワーツ侯爵家の養育方法なのですね。わたくしはそれを知らず、虐待にあたると思っていましたの」
侯爵家の執事として仕えていた日々が走馬灯のように頭の中をよぎっていった。時に厳しく時に優しく、勇猛果敢で知略にも優れていた先代当主の元で、使用人達は誇りを胸に真摯に仕えていた。
屋敷内には笑顔が溢れ、当主夫妻は結婚前から亡くなるまで信頼と愛情に結ばれていた。
一人娘に少し甘すぎる父親はアメリアの自主性を尊び、令嬢の枠を超えた冒険でさえ許してしまう。悪戯や冒険好きなところがよく似ていた。二人がヒソヒソと話しはじめると『必ず何かしでかす』と言うのが侯爵家の認識で、それを楽しみにしていた。
その二人の手綱を握り、状況を見据えてアメリアの行き過ぎた暴走に釘を刺す母親は、常にアメリアの前を歩いていた。貴族令嬢として、当主夫人としてアメリアを無言で導きながら、本当の優しさや責任について教え諭していた。『お母様はわたくしの目標だけど、ハードルが高過ぎるわ』と笑っていたアメリアの顔が忘れられない。
ジョーンズはあれほど仲の良い家族を他には知らない。その幸せを守りたいと心から願い、力の限りで仕えていた⋯⋯あの日まで。
先代当主の代わりにアメリアを守らなくては。アメリアの心の傷を癒す方法を考えなくては。以前のように笑顔で暮らせる世界を作って差し上げなくては。アメリア様に涙は似合わないのだから⋯⋯。
ここまで追い詰められて、ジョーンズは初めて気付いた。
(先代当主夫妻がおられた頃を恋い慕っていたのは私自身でもあったんだ。盲目的にアメリア様の事だけを考えていたのは、レイモンド様やセレナ様の最後を忘れたくて。先代当主様にお仕えしていた頃の、私の世界に残されたのがアメリア様だけだったから、その存在だけに縋って心を支えていた⋯⋯。
アメリア様が仰っておられたアレは、私自身の気持ちでもあったんだな)
『わたくしの家族はお父様とお母様だけ。勿論、侯爵家に仕えていたあなた達もわたくしの大切な家族。あの頃が一番幸せだったから、他には何もいらないの』
『お父様達が守っておられたものを守り抜くのがわたくしの使命なの。それ以外の事は⋯⋯』
『お父様はいつも仰っておられたの⋯⋯』
『お母様がお好きだったのは⋯⋯』
(アメリア様も私達も時を止めたままだった⋯⋯)
侯爵家としては虐待でないとジョーンズが言うならば、アメリア様のご幼少の頃の話を聞いて学ばなくてはなりませんね。アメリア様も亡きご両親からあのようにして育てられたのでしょうから、教えを乞わねば侯爵家令嬢としての知識不足となります。
虫は大きかったのか、生きていたのか。その食べ方はどうやったのか。スープを飲んだ後お腹を壊した時、庭の雑草の中から薬草になる草を探したのは適切だったのか。
踏み潰されたパンに埋まっている砂や小石の上手な避け方をお聞きしなければ。明らかな腐敗臭で食べられなかった時、我儘だと言って叩かれてるのをどうやって回避したのか。
血のついたチュニックの適切な洗い方や、頭の上に乗せられた図鑑が5冊を超えてもカーテシーを続けられる方法を。何時間も続くお茶会の練習で、お茶を飲み続けなくてはいけない時、お花摘みに行かずに耐える方法もお聞きしたく思います。家庭教師が昼食を取る間、正しい姿勢を保って立ち続けるコツもご存知なのでしょう。鞭で何度も叩かれ肌が裂けようとも決して身じろぎせず、表情も変えずにいる方法は、急いでお教えいだければ助かります。
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「まさか、使用人達がそこまでしていたなんて⋯⋯それらは全て使用人や家庭教師が勝手にやった事で、アメリア様に非はございません。私達は何も知らな「愚かな事しか口にできないならば、その口をしっかりと閉じていなさい! 先程、使用人の行動は当主の言動で決まると言ったのを聞き漏らしたのですか!? 低俗な使用人達を雇い入れたのは当主、使用人を監督・指導するべきは当主。正しい使用人であれば当主の行いの先を読み、真摯に仕えるでしょうが、低俗・悪質な使用人は当主の言動から手を抜く理由を探し、己の言動を正当化する為に策を練る。
元は優秀な執事だったのですから、その程度の基本を知らないとは言わせません。宰相となってからは、より多くの部下を把握をしなくてはならず『雇った後は知らぬ存ぜぬ』が通用しないことなど、百も承知でしょう?」
その基本を忘れているから注意勧告したにも関わらず、アメリアの馬具に傷を付けられるような隙ができ、周辺国が同盟を結んでいるのも知らず、易々とセルビアスの間者を見逃している⋯⋯でも、それをジョーンズに話すのは『自分の仕事ではない』とエレーナは口を噤んだ。
(それを口に出せば公国の問題に関わらざるを得なくなる。今ならまだ、ミセス・メイベルに丸投げできる可能性が残っているもの。ジョーンズの言動次第ではエリオット陛下が手助けしてくれるでしょうが、今のところその可能性は潰れてるわね。
それどころか、同盟も危ないはず)
「アメリア様もわたくしと同じように、そのまま放置されてお育ちになられたのでしょう⋯⋯わたくしが虐待だと勘違いしているのならば、ビルワーツ侯爵家の流儀を話して聞かせなさい」
「わたくしと同じようにって⋯⋯つまり、エレーナ様がアメリア様と同じだと? それは自惚れと言うものです⋯⋯令嬢がお一人しかお産まれにはなっていないのは同じではありますが、それだけではありませんか!(アメリア様には価値があるが、エレーナになんかカケラも価値はないんだ!)」
「わたくしはアルムヘイルの王子と近い年頃に産まれた為に、アメリア様に疎まれました。本気だったかどうかは分かりませんが⋯⋯アルムヘイルのエドワード王子との婚約話が出たら、首を絞めると仰られたそうですの。
アメリア様も同じようにアルムヘイルの王子と近い年頃でお産まれになられましたから、お母様から疎まれたのでしょう?」
「セレナ様は我が子を疎むような方では⋯⋯⋯⋯あ! そ、それは⋯⋯アメリア様もセレナ様も我が子を疎んでなどおられません!
ただ、アメリア様はアルムヘイルの王子との婚約破棄で、ご苦労なされたからなのです。しかも先代当主ご夫妻のご不幸の原因となったあの国に、強い拒否感をお持ちで⋯⋯。あのような非道をする国を憎むのは仕方ない事ですから。
エレーナ様の場合とは全く違っております!」
「先代当主様のご不幸の経緯は痛ましく、見ず知らずのわたくしでさえ衝撃を受けました。アメリア様達のご心痛は計り知れない事でしょう。
でも、婚約破棄に関しては先代当主様もご苦労なさっておられます。先代当主様の妹リディア様もアルムヘイルの王子と婚約破棄なさっておられますから」
「あぁぁ⋯⋯⋯⋯確かにそうでした。私はすっかり⋯⋯」
ジョーンズの顔にはっきりと『忘れていた』と書かれている。先代当主様の妹リディアはオーレリアに移住し幸せに暮らしているらしいが、仲の良かった王子と婚約破棄させられた後、婚約破棄になった元凶や帝国から非道な扱いを受けた。
「あの当時、先代当主様はかなりご苦労をされました。アメリア様の言動は正しいとジョーンズが言うのですから、先代当主ご夫妻があのような思いをされた後にお産まれになられたアメリア様に対して、複雑な思いを持たれたのかと思いましたの。
だから、アメリア様とわたくしは同じ。顔を見ることさえ嫌がられ、放置されていたのだろうと考えたのです。だって、ビルワーツ侯爵家としてはそのような扱いが妥当だと言うのですから」
アメリアが両親から過分なほどの愛情を注がれて育てられた事は、誰もが知っている。アメリアのみを見つめアメリア絶対主義に陥っているジョーンズの曇った眼には、アメリアに都合の悪い事は映らないのかもしれないが。
アメリアにとって婚約破棄自体がそれほど心を痛めるものではなかったのは、歴史書にはっきりと書かれていた。優秀な頭脳を持つアメリアは、策を巡らし追い詰めるのを楽しみ、それを影に日向に支えていたのが両親。
(ジョーンズは狂信者とでも言うべきかしら。優秀な執事だった頃の面影はカケラも見えないわ)
「今現在、ジョーンズはビルワーツ侯爵家の過去に最も詳しく、長い間アメリア様のお側に仕えている者のひとり。アメリア様の言動が過去に照らし合わせて鑑みても『正しい』とジョーンズが言うなら、ビルワーツ侯爵家代々のやり方と言うことでしょう。
幼児の存在さえ無視して、経歴書の内容だけでしか情報を知らない使用人に丸投げするのが、ビルワーツ侯爵家の養育方法なのですね。わたくしはそれを知らず、虐待にあたると思っていましたの」
侯爵家の執事として仕えていた日々が走馬灯のように頭の中をよぎっていった。時に厳しく時に優しく、勇猛果敢で知略にも優れていた先代当主の元で、使用人達は誇りを胸に真摯に仕えていた。
屋敷内には笑顔が溢れ、当主夫妻は結婚前から亡くなるまで信頼と愛情に結ばれていた。
一人娘に少し甘すぎる父親はアメリアの自主性を尊び、令嬢の枠を超えた冒険でさえ許してしまう。悪戯や冒険好きなところがよく似ていた。二人がヒソヒソと話しはじめると『必ず何かしでかす』と言うのが侯爵家の認識で、それを楽しみにしていた。
その二人の手綱を握り、状況を見据えてアメリアの行き過ぎた暴走に釘を刺す母親は、常にアメリアの前を歩いていた。貴族令嬢として、当主夫人としてアメリアを無言で導きながら、本当の優しさや責任について教え諭していた。『お母様はわたくしの目標だけど、ハードルが高過ぎるわ』と笑っていたアメリアの顔が忘れられない。
ジョーンズはあれほど仲の良い家族を他には知らない。その幸せを守りたいと心から願い、力の限りで仕えていた⋯⋯あの日まで。
先代当主の代わりにアメリアを守らなくては。アメリアの心の傷を癒す方法を考えなくては。以前のように笑顔で暮らせる世界を作って差し上げなくては。アメリア様に涙は似合わないのだから⋯⋯。
ここまで追い詰められて、ジョーンズは初めて気付いた。
(先代当主夫妻がおられた頃を恋い慕っていたのは私自身でもあったんだ。盲目的にアメリア様の事だけを考えていたのは、レイモンド様やセレナ様の最後を忘れたくて。先代当主様にお仕えしていた頃の、私の世界に残されたのがアメリア様だけだったから、その存在だけに縋って心を支えていた⋯⋯。
アメリア様が仰っておられたアレは、私自身の気持ちでもあったんだな)
『わたくしの家族はお父様とお母様だけ。勿論、侯爵家に仕えていたあなた達もわたくしの大切な家族。あの頃が一番幸せだったから、他には何もいらないの』
『お父様達が守っておられたものを守り抜くのがわたくしの使命なの。それ以外の事は⋯⋯』
『お父様はいつも仰っておられたの⋯⋯』
『お母様がお好きだったのは⋯⋯』
(アメリア様も私達も時を止めたままだった⋯⋯)
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