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32.二転三転
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「ロクサーナ・モートン、貴様の罪は明白。リチャード王子殿下との婚約を破棄し毒杯を「ロクサーナのネックレスを盗みリチャード殿下に渡したメイドを捕らえておりますが、それでも審議なしで断罪されるおつもりでしょうか?」」
宰相の言葉を途中で遮ったチャールズが大声で詰問した。
「どう言う事だ?」
「リチャード殿下に渡しただと?」
「見苦しいぞ、モートン侯爵。娘可愛さにそのような事を申すか?」
「宰相殿、お言葉を返すようですが。事実しか申しておりません。
盗んだメイドがリチャード殿下にネックレスを渡した際、側近候補のアーノルド・ロジャー・サミュエルの3名も同席していたそうですがご確認いただけますかな」
「ぼっ僕は知らない」
「俺だって」
「神に誓います。何も知りません」
「えー、私は君達から聞いたけど?」
まだ赤く腫れた手を包帯で巻いたリアムが出てきた。
「君達4人の口からハッキリと聞いたよ。ステラ嬢と結婚する為に、メリッサとステラと君達の6人で結託して計画したって」
リアムは真実を混ぜながら4人にカマをかけた。
「そっそれは。・・僕は見てただけだ」
「なんでお前がいるんだよ、国に帰るからバレないって!」
「リチャード殿下とステラがやったんです、僕は関係ない!」
「おっお前ら、お前らだって乗り気だったじゃないか!」
リチャードと側近候補達が青褪め慌てふためいて口を滑らせた。
「私は関係ないわ。ロクサーナがやったのよ!」
「家でも学園でも盗みを働いた事がありますの。この子の手癖の悪さには散々泣かされて参りました。
姉のステラは心優しい娘ですから何度悲しい思いをさせたか数え切れませんの」
大広間の端にいたステラとメリッサが飛び出してきて大声で叫んだ。
(メリッサの台詞・・確かあの時とおんなじ)
大広間にいた者たちは静まり返り事の行方を見守っていた。
「陛下、王宮に殆ど参内していなかったロクサーナが宝物庫に侵入するなど不可能だとは思われませんか?」
王妃の声が沈黙を破って響き渡った。
「母上、ロクサーナは王子妃教育で何度も王宮に来ていました。その時にやったんです!」
「ロクサーナが王宮に来た時から退出するまでの全ての日時の記録がわたくしの影から上がっています。その間にロクサーナが一人で行動した事は一回もありません」
「だっだったら誰かに頼んで「ならばロクサーナのネックレスが落ちていたのはおかしな話でしょう?」」
リチャードの言葉を王妃が遮った。
「王宮で好き勝手に歩き回っていたのはロクサーナではなくステラです。国庫から支給される王子妃の婚約者への支出も全てステラに贈られた物ばかり。わたくしが気付いてないと思っていたのかしら?」
「・・母上、それは」
「わたくしが以前ロクサーナに贈ったアクセサリーをステラが身につけてパーティーに出ていた事も。
メリッサが『ステラが次期王妃だ』と触れ回ってあちこちで便宜を図らせていた事も全て報告が上がっています」
王妃と大広間の人達から冷ややかな目で見られたリチャードが俯き黙り込んだ。
陛下は王妃を憎々しげな顔で睨みつけ宣言した。
「ロクサーナ・モートンに対する窃盗容疑は・・取り下げじゃ、審議の必要はない。
但し、この場を騒がせた事の責任を取り奴隷落ちし罪を償え!」
「奴隷となる前に婚約は破棄という事で宜しいでしょうか?」
「当然であろう! 貴様など王家には相応しくないわ」
「賜りました。それでは奴隷落ちとなる前に資産譲渡のご報告をさせて頂きます」
「お前の資産の話なぞ誰も聞きたいわけが無かろう。余の時間を無駄にすると申すか」
「左様でございますか。
アニー商会商会長のロクサーナ・モートンの資産についてですのでご興味がおありかと。
大変失礼を致しました」
「待て! 今なんと申した?」
宰相の言葉を途中で遮ったチャールズが大声で詰問した。
「どう言う事だ?」
「リチャード殿下に渡しただと?」
「見苦しいぞ、モートン侯爵。娘可愛さにそのような事を申すか?」
「宰相殿、お言葉を返すようですが。事実しか申しておりません。
盗んだメイドがリチャード殿下にネックレスを渡した際、側近候補のアーノルド・ロジャー・サミュエルの3名も同席していたそうですがご確認いただけますかな」
「ぼっ僕は知らない」
「俺だって」
「神に誓います。何も知りません」
「えー、私は君達から聞いたけど?」
まだ赤く腫れた手を包帯で巻いたリアムが出てきた。
「君達4人の口からハッキリと聞いたよ。ステラ嬢と結婚する為に、メリッサとステラと君達の6人で結託して計画したって」
リアムは真実を混ぜながら4人にカマをかけた。
「そっそれは。・・僕は見てただけだ」
「なんでお前がいるんだよ、国に帰るからバレないって!」
「リチャード殿下とステラがやったんです、僕は関係ない!」
「おっお前ら、お前らだって乗り気だったじゃないか!」
リチャードと側近候補達が青褪め慌てふためいて口を滑らせた。
「私は関係ないわ。ロクサーナがやったのよ!」
「家でも学園でも盗みを働いた事がありますの。この子の手癖の悪さには散々泣かされて参りました。
姉のステラは心優しい娘ですから何度悲しい思いをさせたか数え切れませんの」
大広間の端にいたステラとメリッサが飛び出してきて大声で叫んだ。
(メリッサの台詞・・確かあの時とおんなじ)
大広間にいた者たちは静まり返り事の行方を見守っていた。
「陛下、王宮に殆ど参内していなかったロクサーナが宝物庫に侵入するなど不可能だとは思われませんか?」
王妃の声が沈黙を破って響き渡った。
「母上、ロクサーナは王子妃教育で何度も王宮に来ていました。その時にやったんです!」
「ロクサーナが王宮に来た時から退出するまでの全ての日時の記録がわたくしの影から上がっています。その間にロクサーナが一人で行動した事は一回もありません」
「だっだったら誰かに頼んで「ならばロクサーナのネックレスが落ちていたのはおかしな話でしょう?」」
リチャードの言葉を王妃が遮った。
「王宮で好き勝手に歩き回っていたのはロクサーナではなくステラです。国庫から支給される王子妃の婚約者への支出も全てステラに贈られた物ばかり。わたくしが気付いてないと思っていたのかしら?」
「・・母上、それは」
「わたくしが以前ロクサーナに贈ったアクセサリーをステラが身につけてパーティーに出ていた事も。
メリッサが『ステラが次期王妃だ』と触れ回ってあちこちで便宜を図らせていた事も全て報告が上がっています」
王妃と大広間の人達から冷ややかな目で見られたリチャードが俯き黙り込んだ。
陛下は王妃を憎々しげな顔で睨みつけ宣言した。
「ロクサーナ・モートンに対する窃盗容疑は・・取り下げじゃ、審議の必要はない。
但し、この場を騒がせた事の責任を取り奴隷落ちし罪を償え!」
「奴隷となる前に婚約は破棄という事で宜しいでしょうか?」
「当然であろう! 貴様など王家には相応しくないわ」
「賜りました。それでは奴隷落ちとなる前に資産譲渡のご報告をさせて頂きます」
「お前の資産の話なぞ誰も聞きたいわけが無かろう。余の時間を無駄にすると申すか」
「左様でございますか。
アニー商会商会長のロクサーナ・モートンの資産についてですのでご興味がおありかと。
大変失礼を致しました」
「待て! 今なんと申した?」
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