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18.諦めた執事
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「部屋は一階にございます」
諦め顔になったジェームズが白状するとメリッサが慌てふためいてジェームズを叱りつけた。
「ジェームズ、黙りなさい!」
メリッサが喚いたがチャールズは気にも留めずジェームズに問いただした。
「何故一階に? まぁいい、連れて行きなさい」
震える手で冷や汗を拭いているジェームズを先頭にチャールズとロクサーナが続いた。
階段を降りホールから厨房の前を通り過ぎ、鍵の掛かった部屋の前で立ち止まった。
「此方でございます」
「何だこれは」
チャールズの呟きが聞こえて来たが、ジェームズが黙って脇によけたのでロクサーナは鍵を開けた。
「倉庫ではないか・・子供用のベッド?」
ジェームズは入り口を入った直ぐのところで立ち竦み、部屋の中を歩き回るチャールズを目で追っている。
「子供用のベッドとチェストがひとつ。木箱の向こうには低いテーブルとクッション・・。これは、学園の教科書か?
つまり、ここがロクサーナの王宮並の豪奢な部屋か?」
振り返ったチャールズは無表情で無言のロクサーナを見つめた後ジェームズを凝視した。
「答えろ、ここがロクサーナの部屋か? いつからここに、そして何故ロクサーナは部屋に鍵をつけていた?」
「よっ4歳の時からここに住んでおられます。鍵、鍵は盗難騒ぎの後からです」
チャールズの威圧にジェームズは壁に縋りようやく立っている。
「・・盗難騒ぎ?」
「メリッサ様のぶっブローチがこの部屋から出てきたと。
その直ぐ後ロクサーナが・・様が鍵を」
「何があった」
チャールズがロクサーナに尋ねた、
「部屋に戻ろうとしたらブローチが私の部屋から出て来たとメイドが叫んでおりましたの。
2度と迷子の貴重品が私の部屋に来ないよう工夫いたしました」
黙り込んで部屋を見回していたチャールズはチェストを開けて中を確認した。
「着替えは何処に片付けている? アクセサリーや靴は? 王妃様から贈られたものは?」
「チェストの中に入っている物以外には持っておりませんが?」
肩をすくめたロクサーナは他人を見るような冷たい目でチャールズを一瞥した。
「・・ジェームズ、ついてこい」
部屋の中を何度も見直していたチャールズがロクサーナの手を捕まえて大股で二階への階段を上がって行った。
乱暴な手つきで2階の部屋を端から開け放って行く。ドアが大きな音を立てて壁にぶつかるがチャールズは気にも留めず中を確認しては次の部屋に移動する。
チャールズは豪奢な部屋を見つけた時だけ立ち止まりジェームズに問いただした。
「ここは?」
「奥様の部屋でございます」
「ここは?」
「ステラ様の部屋でございます」
チャールズは全ての部屋を確認しジェームズに向き合った。
「つまりメリッサの私室とステラの私室がそれぞれ3つ、ロクサーナの部屋はあの倉庫。それで間違いないか?」
「・・はっはい、間違いございません」
「恐らくロクサーナ専属の執事も侍女もメイドも御者もいない。合っているな?」
「はい、その通りでございます」
「その他に隠していることは?」
「食事は厨房でとっておられます」
「料理長!!」
チャールズの怒鳴り声に下から様子をこっそり伺っていた料理長が恐る恐る上がってきた。
「ロクサーナの食事は厨房か?」
「さっ左様でございます。奥様の指示で皆様の残り物だけを厨房で出すようにと。
躾のためだと仰られて、断ればクビだと」
「ジェームズ他には、まだあるだろう?」
「・・王妃様からの贈り物についてや、パーティーや招待の手紙など知られないようにと」
「ロクサーナは本当に知らなかったと言う事か・・」
チャールズが強く握りしめているロクサーナの左手首が赤く腫れて痛んできた、
「あの、痛いので離して頂けませんか?」
慌てて手を離し執務室に戻って行ったチャールズとジェームズの後ろをロクサーナは興味津々でついて行った。
執務室に入るとソファに座り込んで目を泣き腫らしているメリッサの前に、怒りで顔を真っ赤に染めたチャールズが立ち塞がっていた。
諦め顔になったジェームズが白状するとメリッサが慌てふためいてジェームズを叱りつけた。
「ジェームズ、黙りなさい!」
メリッサが喚いたがチャールズは気にも留めずジェームズに問いただした。
「何故一階に? まぁいい、連れて行きなさい」
震える手で冷や汗を拭いているジェームズを先頭にチャールズとロクサーナが続いた。
階段を降りホールから厨房の前を通り過ぎ、鍵の掛かった部屋の前で立ち止まった。
「此方でございます」
「何だこれは」
チャールズの呟きが聞こえて来たが、ジェームズが黙って脇によけたのでロクサーナは鍵を開けた。
「倉庫ではないか・・子供用のベッド?」
ジェームズは入り口を入った直ぐのところで立ち竦み、部屋の中を歩き回るチャールズを目で追っている。
「子供用のベッドとチェストがひとつ。木箱の向こうには低いテーブルとクッション・・。これは、学園の教科書か?
つまり、ここがロクサーナの王宮並の豪奢な部屋か?」
振り返ったチャールズは無表情で無言のロクサーナを見つめた後ジェームズを凝視した。
「答えろ、ここがロクサーナの部屋か? いつからここに、そして何故ロクサーナは部屋に鍵をつけていた?」
「よっ4歳の時からここに住んでおられます。鍵、鍵は盗難騒ぎの後からです」
チャールズの威圧にジェームズは壁に縋りようやく立っている。
「・・盗難騒ぎ?」
「メリッサ様のぶっブローチがこの部屋から出てきたと。
その直ぐ後ロクサーナが・・様が鍵を」
「何があった」
チャールズがロクサーナに尋ねた、
「部屋に戻ろうとしたらブローチが私の部屋から出て来たとメイドが叫んでおりましたの。
2度と迷子の貴重品が私の部屋に来ないよう工夫いたしました」
黙り込んで部屋を見回していたチャールズはチェストを開けて中を確認した。
「着替えは何処に片付けている? アクセサリーや靴は? 王妃様から贈られたものは?」
「チェストの中に入っている物以外には持っておりませんが?」
肩をすくめたロクサーナは他人を見るような冷たい目でチャールズを一瞥した。
「・・ジェームズ、ついてこい」
部屋の中を何度も見直していたチャールズがロクサーナの手を捕まえて大股で二階への階段を上がって行った。
乱暴な手つきで2階の部屋を端から開け放って行く。ドアが大きな音を立てて壁にぶつかるがチャールズは気にも留めず中を確認しては次の部屋に移動する。
チャールズは豪奢な部屋を見つけた時だけ立ち止まりジェームズに問いただした。
「ここは?」
「奥様の部屋でございます」
「ここは?」
「ステラ様の部屋でございます」
チャールズは全ての部屋を確認しジェームズに向き合った。
「つまりメリッサの私室とステラの私室がそれぞれ3つ、ロクサーナの部屋はあの倉庫。それで間違いないか?」
「・・はっはい、間違いございません」
「恐らくロクサーナ専属の執事も侍女もメイドも御者もいない。合っているな?」
「はい、その通りでございます」
「その他に隠していることは?」
「食事は厨房でとっておられます」
「料理長!!」
チャールズの怒鳴り声に下から様子をこっそり伺っていた料理長が恐る恐る上がってきた。
「ロクサーナの食事は厨房か?」
「さっ左様でございます。奥様の指示で皆様の残り物だけを厨房で出すようにと。
躾のためだと仰られて、断ればクビだと」
「ジェームズ他には、まだあるだろう?」
「・・王妃様からの贈り物についてや、パーティーや招待の手紙など知られないようにと」
「ロクサーナは本当に知らなかったと言う事か・・」
チャールズが強く握りしめているロクサーナの左手首が赤く腫れて痛んできた、
「あの、痛いので離して頂けませんか?」
慌てて手を離し執務室に戻って行ったチャールズとジェームズの後ろをロクサーナは興味津々でついて行った。
執務室に入るとソファに座り込んで目を泣き腫らしているメリッサの前に、怒りで顔を真っ赤に染めたチャールズが立ち塞がっていた。
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