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8.次の作戦は
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ロクサーナの次の目標は鍵を準備する事。
今のところまだ何もおきていないがこれから先どんどん被害が出てくるはず。
何しろ旧ロクサーナはこの頃から泥棒扱いされはじめたから。
メリッサやステラの物がなくなりロクサーナの部屋から出てくる、ロクサーナの部屋に掃除に来たメイドがたまたまなくなったはずの銀器やちょっとした置物を見つける。
(鍵かぁ、高そう。しかも一文なしだし)
もう少し大きくなれば仕事を探す事も出来るかもしれないが、7歳では自由に屋敷から出ることもできない。
旧ロクサーナも仲が良かった庭師に相談してみた。
「鍵は高級品だからなあ、簡単には手に入らねえなあ」
「いくらくらい?」
「うーん、金貨2枚ってとこかな」
(ふむ、暫くは時間があるはずだからバイトができるようになる方法でも探すかな)
そして思いついたのが、チョキチョキ・・チクチク・・。
ロクサーナは有り余る暇な時間を使ってコツコツと黙々とひたすら作り続けた。
チョキチョキ・・チクチク・・。
ポラセリア王国は夏は暑いが冬になると極端に寒くなる所謂亜寒帯と呼ばれる地域。
北方には針葉樹が林立し、痩せた土で春小麦・ライ麦・カブ・ジャガイモ・蕎麦などを栽培。南方では放牧や酪農を行っている。
ロクサーナは冬に向けてキルトの作成に励んでいる。ミシンもアイロンもない手作業なので製作は遅々として進まないが、
(元手芸部の根性を思い知れ!)
自分に発破を掛けながら日々頑張っていたが、材料が圧倒的に足りない事に悩み溜息をついた。
(仕方ない、あそこへ行くか)
握りしめた両手に冷や汗をかきながらロクサーナは執務室のドアをノックした。
「お父さま、おねがいがあってまいりました」
いつもと同じく顔も上げず声も発しない父親にロクサーナは震える声で要件を告げた。
「しっしきんていきょうをおねがいします」
チャールズのペンが止まり顔を上げてロクサーナを見た。
「資金提供?」
「あっ、おこずかいのおねがいです」
言葉のチョイスを間違えたと慌てふためくロクサーナをチャールズが凝視した。
「必要な物があればメリッサに言いなさい」
「あー、それはちょっとせんりゃくてきなもんだいが」
「ほう」
「ひみつなのです。そう、女の子にはいろいろとひみつがありますから」
「何に使う?」
「たいしたものではないのでお気になさらず」
「父親として気になるのは当然だが?」
「いえいえ、お父さまはそのようなこと気にかけるかたでは。
あっ、いや。おいそがしいですものね」
テヘッと笑って誤魔化したロクサーナだがチャールズの顔が少し険悪になっている。
(ヤバい、まさかこの人が興味を持つとは・・やっぱりお金絡みだとねえ)
「おべんきょうのためにはりと糸をかいたいとおもうのです」
(これならどうだ?)
「なのにメリッサには言えないと」
「ないしょでれんしゅうしたいのです」
黙り込んでロクサーナを見つめていたチャールズが引き出しから数枚の金貨を出してロクサーナに渡してくれた。
「買い物に行く時は必ずお前専属の侍女かメイドを連れて行くように」
「はい、もちろんです。ありがとうございます」
専属の侍女もメイドもいないけどねー、と思いながら意気揚々と部屋に戻ったロクサーナ。
(針と糸・・刺繍の練習か? メリッサがロクサーナはやる気がなくて困ると不満を言っていたが、少しはやる気になったのか?
それなら殿下との婚約話を進めても良いかもしれんな。
王妃様から再三の催促が来ていることだしな)
ふふふっとニヤけた笑いを浮かべながら金貨でお手玉をしているロクサーナはチャールズの思惑に気付いていなかった。
(ラッキーだけど針と糸買うのに金貨6枚? 金銭感覚おかしすぎ)
今のところまだ何もおきていないがこれから先どんどん被害が出てくるはず。
何しろ旧ロクサーナはこの頃から泥棒扱いされはじめたから。
メリッサやステラの物がなくなりロクサーナの部屋から出てくる、ロクサーナの部屋に掃除に来たメイドがたまたまなくなったはずの銀器やちょっとした置物を見つける。
(鍵かぁ、高そう。しかも一文なしだし)
もう少し大きくなれば仕事を探す事も出来るかもしれないが、7歳では自由に屋敷から出ることもできない。
旧ロクサーナも仲が良かった庭師に相談してみた。
「鍵は高級品だからなあ、簡単には手に入らねえなあ」
「いくらくらい?」
「うーん、金貨2枚ってとこかな」
(ふむ、暫くは時間があるはずだからバイトができるようになる方法でも探すかな)
そして思いついたのが、チョキチョキ・・チクチク・・。
ロクサーナは有り余る暇な時間を使ってコツコツと黙々とひたすら作り続けた。
チョキチョキ・・チクチク・・。
ポラセリア王国は夏は暑いが冬になると極端に寒くなる所謂亜寒帯と呼ばれる地域。
北方には針葉樹が林立し、痩せた土で春小麦・ライ麦・カブ・ジャガイモ・蕎麦などを栽培。南方では放牧や酪農を行っている。
ロクサーナは冬に向けてキルトの作成に励んでいる。ミシンもアイロンもない手作業なので製作は遅々として進まないが、
(元手芸部の根性を思い知れ!)
自分に発破を掛けながら日々頑張っていたが、材料が圧倒的に足りない事に悩み溜息をついた。
(仕方ない、あそこへ行くか)
握りしめた両手に冷や汗をかきながらロクサーナは執務室のドアをノックした。
「お父さま、おねがいがあってまいりました」
いつもと同じく顔も上げず声も発しない父親にロクサーナは震える声で要件を告げた。
「しっしきんていきょうをおねがいします」
チャールズのペンが止まり顔を上げてロクサーナを見た。
「資金提供?」
「あっ、おこずかいのおねがいです」
言葉のチョイスを間違えたと慌てふためくロクサーナをチャールズが凝視した。
「必要な物があればメリッサに言いなさい」
「あー、それはちょっとせんりゃくてきなもんだいが」
「ほう」
「ひみつなのです。そう、女の子にはいろいろとひみつがありますから」
「何に使う?」
「たいしたものではないのでお気になさらず」
「父親として気になるのは当然だが?」
「いえいえ、お父さまはそのようなこと気にかけるかたでは。
あっ、いや。おいそがしいですものね」
テヘッと笑って誤魔化したロクサーナだがチャールズの顔が少し険悪になっている。
(ヤバい、まさかこの人が興味を持つとは・・やっぱりお金絡みだとねえ)
「おべんきょうのためにはりと糸をかいたいとおもうのです」
(これならどうだ?)
「なのにメリッサには言えないと」
「ないしょでれんしゅうしたいのです」
黙り込んでロクサーナを見つめていたチャールズが引き出しから数枚の金貨を出してロクサーナに渡してくれた。
「買い物に行く時は必ずお前専属の侍女かメイドを連れて行くように」
「はい、もちろんです。ありがとうございます」
専属の侍女もメイドもいないけどねー、と思いながら意気揚々と部屋に戻ったロクサーナ。
(針と糸・・刺繍の練習か? メリッサがロクサーナはやる気がなくて困ると不満を言っていたが、少しはやる気になったのか?
それなら殿下との婚約話を進めても良いかもしれんな。
王妃様から再三の催促が来ていることだしな)
ふふふっとニヤけた笑いを浮かべながら金貨でお手玉をしているロクサーナはチャールズの思惑に気付いていなかった。
(ラッキーだけど針と糸買うのに金貨6枚? 金銭感覚おかしすぎ)
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