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44.アリシア仕込み
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「エリーはパドラス付属学園の5年生に進級が決まっています。貴方達とは違うのよ」
「そんな学校聞いたことないわ。お兄様知ってる?」
フレディは首をブンブンと横に振りサイラスとエドナも首を傾げている。
「パドラスは世界最高峰って言われてる大学で附属学園はその大学に入る為にと世界中の研究者達が集まる優秀な学校で生半可な成績じゃ入学も進級も出来ない」
放心状態で使い物にならなくなっているミゲルを横目に見ながら王弟殿下が説明した。
「しかもね、エリーは成績優秀者が集められるSクラスに入学当初からずっと在籍してるのよ」
「なっ何で? エリーなんて私と一緒に勉強してただけじゃん」
「エリーはわたくしの元にいた時もしっかり勉強していましたし、サイラスが連れて帰ってからもわたくしが送った参考書で勉強していました。自分の課題さえエリーに押し付けていたミリーと差があるのは当然です」
「なっなら、私だってお祖母様から参考書貰えたらそこに行けたんじゃん」
「今からでもお勉強しますか? ロンダール学園でさえ寄付金なしでは進級出来なかったミリーに出来るなら」
「えっ? わた、私はオーエンと結婚するから自主退学しただけだもん。それに結婚するから学校には行けないし」
「無駄な話はこれくらいにして話を進めましょう。まず、伯爵家への援助金は打ち切りとします。元々援助金ではなく伯爵家への融資として契約したものですから返済の義務があります。帰ったら早々に返済計画を立てる事」
「そんな、親子で借金とか」
「貴方は私の子供ではありませんし、私の事業も資産も伯爵家とは無関係です」
「おっお祖母様、僕は・・僕は良いんですよね」
「何を言っているのかしら、先程から言っている通りフレディがわたくしの事業や資産に関わる可能性はありません。フレディのご両親と相談なさい。
そしてミリー、貴方も同様です」
「エリーは? エリーがいいなら私だって」
「そうだよ、僕だって!」
「エリーは孫と言うよりも一人の人間として気に入ってるの。勤勉・優秀・誠実。どれも貴方達にはない資質だわ。
話が逸れてしまったけどわたくしの用事はこれでおしまい。漏れはないかしら?」
横に立っていたマイラに話を振るとマイラはしばらく考えた後首を横に振った。
「大丈夫だと思いますわ。漏れがあっても微調整できるのでは?」
「あの、婚約の件はどうなったんすか? 殿下がやばいっす」
床に膝をつき小声でぶつぶつと呟いているミゲルは頭を抱え、来た時より一回りも二回りも小さく見えた。
「再起不能ってやつかしら」
「殿下と公爵もヤバいっちゃヤバいが」
暫くミゲルを眺めていたが様子は変わらない、エリーはアリシアを見やったが肩をすくめられてしまった。マイラは口元を隠し笑いを堪えている。大きく溜息をついたエリーはミゲルに声をかけた。
「ミゲル皇太子殿下。今後どうされたいですか?」
「僕、私はエリーと。違う、エリーしか妃にしたくないんだ。ずっとエリーに会いたかった。本当はもっと早く迎えに行きたかったし手紙も書けたのに」
今回はエリーの頼みでサイラスの所へ結婚の申込みに行ったミゲル。ミリー達への仕返しの手伝いができで良かったとホッとしていたら・・。
俯いたままだったミゲルが顔を上げると目の縁が真っ赤になっている。
「ほんとにごめん」
「だったら一度申し込んでみられます? まだ何もお聞きしてませんし」
「僕の妃になって下さい。二度と寂しい思いはさせないから一緒に灯台を見に行ってガレオン船に乗ろう」
ミゲルは二人の約束をちゃんと覚えていた。
「私はあと2年学園に通わなくてはいけません。その間にお手紙を書いたり時間の合う時はお会いしたりからやり直しと言うのはどうですか?」
「うん、是非。今度は手紙も書くし時間を作って会いに行く。婚約者になってくれる?」
「お互いに婚約者候補と言うのは如何ですか?」
「?」
「私は皇太子様の婚約者候補で、ミゲル様は私の婚約者候補。どちらも対等でどちらからも辞退できます。婚約者でも良いですけど条件は同じです。立場の違いはあっても婚約破棄できる権利は同等」
「ぶっ!」
「シリル、お前良いとこで笑うんじゃねえ」
「だってぇミゲルったら完全に尻に敷かれてるんだもん」
「そうだね。是非そうしたい。必ずエリーに認められる男になる」
「凄えな、アリシア様仕込みか?」
モブレー公爵が呟き全員が吹き出した。
「巫山戯るな、エリーの勝手にはさせんぞ! エリーと結婚したいなら婚約破棄の慰謝料を払え! そうしたら結婚させてやる」
ヤケクソになったサイラスが叫んだ。
「どの婚約のことを言ってるのかしら?」
再びアリシアの冷たい声が響いた。
「そんな学校聞いたことないわ。お兄様知ってる?」
フレディは首をブンブンと横に振りサイラスとエドナも首を傾げている。
「パドラスは世界最高峰って言われてる大学で附属学園はその大学に入る為にと世界中の研究者達が集まる優秀な学校で生半可な成績じゃ入学も進級も出来ない」
放心状態で使い物にならなくなっているミゲルを横目に見ながら王弟殿下が説明した。
「しかもね、エリーは成績優秀者が集められるSクラスに入学当初からずっと在籍してるのよ」
「なっ何で? エリーなんて私と一緒に勉強してただけじゃん」
「エリーはわたくしの元にいた時もしっかり勉強していましたし、サイラスが連れて帰ってからもわたくしが送った参考書で勉強していました。自分の課題さえエリーに押し付けていたミリーと差があるのは当然です」
「なっなら、私だってお祖母様から参考書貰えたらそこに行けたんじゃん」
「今からでもお勉強しますか? ロンダール学園でさえ寄付金なしでは進級出来なかったミリーに出来るなら」
「えっ? わた、私はオーエンと結婚するから自主退学しただけだもん。それに結婚するから学校には行けないし」
「無駄な話はこれくらいにして話を進めましょう。まず、伯爵家への援助金は打ち切りとします。元々援助金ではなく伯爵家への融資として契約したものですから返済の義務があります。帰ったら早々に返済計画を立てる事」
「そんな、親子で借金とか」
「貴方は私の子供ではありませんし、私の事業も資産も伯爵家とは無関係です」
「おっお祖母様、僕は・・僕は良いんですよね」
「何を言っているのかしら、先程から言っている通りフレディがわたくしの事業や資産に関わる可能性はありません。フレディのご両親と相談なさい。
そしてミリー、貴方も同様です」
「エリーは? エリーがいいなら私だって」
「そうだよ、僕だって!」
「エリーは孫と言うよりも一人の人間として気に入ってるの。勤勉・優秀・誠実。どれも貴方達にはない資質だわ。
話が逸れてしまったけどわたくしの用事はこれでおしまい。漏れはないかしら?」
横に立っていたマイラに話を振るとマイラはしばらく考えた後首を横に振った。
「大丈夫だと思いますわ。漏れがあっても微調整できるのでは?」
「あの、婚約の件はどうなったんすか? 殿下がやばいっす」
床に膝をつき小声でぶつぶつと呟いているミゲルは頭を抱え、来た時より一回りも二回りも小さく見えた。
「再起不能ってやつかしら」
「殿下と公爵もヤバいっちゃヤバいが」
暫くミゲルを眺めていたが様子は変わらない、エリーはアリシアを見やったが肩をすくめられてしまった。マイラは口元を隠し笑いを堪えている。大きく溜息をついたエリーはミゲルに声をかけた。
「ミゲル皇太子殿下。今後どうされたいですか?」
「僕、私はエリーと。違う、エリーしか妃にしたくないんだ。ずっとエリーに会いたかった。本当はもっと早く迎えに行きたかったし手紙も書けたのに」
今回はエリーの頼みでサイラスの所へ結婚の申込みに行ったミゲル。ミリー達への仕返しの手伝いができで良かったとホッとしていたら・・。
俯いたままだったミゲルが顔を上げると目の縁が真っ赤になっている。
「ほんとにごめん」
「だったら一度申し込んでみられます? まだ何もお聞きしてませんし」
「僕の妃になって下さい。二度と寂しい思いはさせないから一緒に灯台を見に行ってガレオン船に乗ろう」
ミゲルは二人の約束をちゃんと覚えていた。
「私はあと2年学園に通わなくてはいけません。その間にお手紙を書いたり時間の合う時はお会いしたりからやり直しと言うのはどうですか?」
「うん、是非。今度は手紙も書くし時間を作って会いに行く。婚約者になってくれる?」
「お互いに婚約者候補と言うのは如何ですか?」
「?」
「私は皇太子様の婚約者候補で、ミゲル様は私の婚約者候補。どちらも対等でどちらからも辞退できます。婚約者でも良いですけど条件は同じです。立場の違いはあっても婚約破棄できる権利は同等」
「ぶっ!」
「シリル、お前良いとこで笑うんじゃねえ」
「だってぇミゲルったら完全に尻に敷かれてるんだもん」
「そうだね。是非そうしたい。必ずエリーに認められる男になる」
「凄えな、アリシア様仕込みか?」
モブレー公爵が呟き全員が吹き出した。
「巫山戯るな、エリーの勝手にはさせんぞ! エリーと結婚したいなら婚約破棄の慰謝料を払え! そうしたら結婚させてやる」
ヤケクソになったサイラスが叫んだ。
「どの婚約のことを言ってるのかしら?」
再びアリシアの冷たい声が響いた。
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