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36.手厳しくて愛情深いアリシア
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「途中で投げ出す事は許しません。それで良いのなら早急に準備を致しましょう」
「ありがとうございます。絶対に弱音を吐いたり逃げ出したりしないと約束します」
その日からエリーは準備してもらった昼食を持ち午前中から図書館に行き夕食前にタウンハウスに帰ってくるというスケジュールで帝国の勉強をはじめた。歴史・文化・産業・宮中儀礼以外にも属国やその他の国との関わりについても覚えなくてはならず、夕食後も部屋に篭り本を読み続けた。
必要と思われる本や資料がエリーの部屋に続々と運び込まれ既に本棚2つ分を超えてしまった。
学園が始まる前に寮の部屋に新しく本棚を設置し全ての本を運び入れた。
「まずは言語や宮中儀礼などに詳しい家庭教師を雇います。持って帰る資料や本はその都度連絡を入れるので、お休みには必ずタウンハウスに戻って来なさい」
しっかりと頷いたエリーはハナと共に馬車に乗り込んだ。
走り去って行く馬車を見送りながらアリシアが呟いた。
「さて、わたくしも準備をはじめます。家庭教師との連携は任せましたよ」
「はい、お母様はエリーの養子縁組先ですか?」
「その通りよ。最低でもオーモンド公爵様やモブレー公爵様クラスの実力の持ち主で決して手のひらを返さない方。しかも帝国と友好関係を築いてる方でなくては・・わたくしにとっても今までで一番難しいお仕事になりそうだわ」
「パドラスに入学していて正解でしたね。今のままの成績をキープ出来れば婚約者の資格の一つとして有効ですもの」
「エリーの事だから成績が下がるような愚かな事はしないでしょう。わたくしは暫く留守にすることが増えると思うから、エリーが頑張りすぎて身体を壊さないように注意してね」
エリーには学園在学中に最低でも皇太子妃としての勉強の基礎を終わらせる予定だが、皇太子からの連絡が来るタイミングによってはあまり時間がない可能性もある。
「覚えるのに時間がかかるものと最低限必要なものからはじめるようにしましょう。必要ならいくら費用がかかっても構わないから最高の家庭教師をつけてちょうだい。進捗状況によっては別の家庭教師を直ぐに手配してね」
アリシアにはある程度の青写真が出来上がっているのかサイラスの動向に注意するよう言い置いてその日のうちに出発してしまった。
1人残されたマイラは自室に戻り帝国の資料を読みはじめた。
(私が知らないままだと家庭教師の良し悪しは判断できないものね)
学園の寮の前で馬車を降りたエリーとハナは管理室の前のノートに名前を記帳した後階段を登って行った。今までの部屋は2階だったがその部屋には追加の本棚を入れる余裕がないので3階の部屋に移動した。
ドアを開けるとどの部屋も今までより広く高級な家具が置かれていた。厚みのある絨毯が足音を完全に吸収し至る所にランプが置かれている。
(遠慮なく夜遅くまで起きていられそう)
「近いうちにメイドが1人増えるの。ハナの仕事は今まで通りだから宜しくね」
寮に連れてきて良いのはメイドか従者が2名までと決められている。それ以外の家庭教師などは基本禁止されているが今回は特例として語学の教師をメイドとして連れてくる許可を得ている。
「仲良くできるよう頑張ります」
2年の学年末試験の結果によるクラス替えがあり新教室で授業がはじまったが、教室に入るとかなりの生徒が入れ替わり担任教諭も初めて見る人に変わっていた。授業内容も予想以上に高度になり辞書や参考書が欠かせなくなってきた。
学園でのエリーはただひたすら勉強に明け暮れる単調な日々が続いた。授業の合間に予習や復習と課題を済ませ放課後は寮の部屋で帝国の勉強をする。家庭教師からは公用語以外で帝国で頻繁に使用されるランセル語を習っている。
そんな中でも昼食を一緒にと声をかけてくれる友人達との交流に癒されつつ1年半の月日が流れていった。皇太子の婚約者候補は未だ決まらずマイケルからの手紙も届かない。
長期休暇中にアリシアから手紙が届きそれに書かれていた帝国の内部情報をマイラが教えてくれた。
「公にはなっていない話・・少し前に婚約者候補が決まりかけたんだけど、その内の最有力だと言われていた方が事故で酷い怪我をされてしまって辞退されたらしいの」
以前に比べるとオーモンド公爵の傘下が増えベルトラム侯爵達の派閥は縮小気味になってきた。ベルトラム侯爵家はロスアリアの第二王女を皇太子ではなく第二皇子の婚約者にしようと画策していたが上手くいかなかった為事故を画策したのではないかと言われているという。
(お馬鹿サイラスがやらかした話は秘密ね)
「ありがとうございます。絶対に弱音を吐いたり逃げ出したりしないと約束します」
その日からエリーは準備してもらった昼食を持ち午前中から図書館に行き夕食前にタウンハウスに帰ってくるというスケジュールで帝国の勉強をはじめた。歴史・文化・産業・宮中儀礼以外にも属国やその他の国との関わりについても覚えなくてはならず、夕食後も部屋に篭り本を読み続けた。
必要と思われる本や資料がエリーの部屋に続々と運び込まれ既に本棚2つ分を超えてしまった。
学園が始まる前に寮の部屋に新しく本棚を設置し全ての本を運び入れた。
「まずは言語や宮中儀礼などに詳しい家庭教師を雇います。持って帰る資料や本はその都度連絡を入れるので、お休みには必ずタウンハウスに戻って来なさい」
しっかりと頷いたエリーはハナと共に馬車に乗り込んだ。
走り去って行く馬車を見送りながらアリシアが呟いた。
「さて、わたくしも準備をはじめます。家庭教師との連携は任せましたよ」
「はい、お母様はエリーの養子縁組先ですか?」
「その通りよ。最低でもオーモンド公爵様やモブレー公爵様クラスの実力の持ち主で決して手のひらを返さない方。しかも帝国と友好関係を築いてる方でなくては・・わたくしにとっても今までで一番難しいお仕事になりそうだわ」
「パドラスに入学していて正解でしたね。今のままの成績をキープ出来れば婚約者の資格の一つとして有効ですもの」
「エリーの事だから成績が下がるような愚かな事はしないでしょう。わたくしは暫く留守にすることが増えると思うから、エリーが頑張りすぎて身体を壊さないように注意してね」
エリーには学園在学中に最低でも皇太子妃としての勉強の基礎を終わらせる予定だが、皇太子からの連絡が来るタイミングによってはあまり時間がない可能性もある。
「覚えるのに時間がかかるものと最低限必要なものからはじめるようにしましょう。必要ならいくら費用がかかっても構わないから最高の家庭教師をつけてちょうだい。進捗状況によっては別の家庭教師を直ぐに手配してね」
アリシアにはある程度の青写真が出来上がっているのかサイラスの動向に注意するよう言い置いてその日のうちに出発してしまった。
1人残されたマイラは自室に戻り帝国の資料を読みはじめた。
(私が知らないままだと家庭教師の良し悪しは判断できないものね)
学園の寮の前で馬車を降りたエリーとハナは管理室の前のノートに名前を記帳した後階段を登って行った。今までの部屋は2階だったがその部屋には追加の本棚を入れる余裕がないので3階の部屋に移動した。
ドアを開けるとどの部屋も今までより広く高級な家具が置かれていた。厚みのある絨毯が足音を完全に吸収し至る所にランプが置かれている。
(遠慮なく夜遅くまで起きていられそう)
「近いうちにメイドが1人増えるの。ハナの仕事は今まで通りだから宜しくね」
寮に連れてきて良いのはメイドか従者が2名までと決められている。それ以外の家庭教師などは基本禁止されているが今回は特例として語学の教師をメイドとして連れてくる許可を得ている。
「仲良くできるよう頑張ります」
2年の学年末試験の結果によるクラス替えがあり新教室で授業がはじまったが、教室に入るとかなりの生徒が入れ替わり担任教諭も初めて見る人に変わっていた。授業内容も予想以上に高度になり辞書や参考書が欠かせなくなってきた。
学園でのエリーはただひたすら勉強に明け暮れる単調な日々が続いた。授業の合間に予習や復習と課題を済ませ放課後は寮の部屋で帝国の勉強をする。家庭教師からは公用語以外で帝国で頻繁に使用されるランセル語を習っている。
そんな中でも昼食を一緒にと声をかけてくれる友人達との交流に癒されつつ1年半の月日が流れていった。皇太子の婚約者候補は未だ決まらずマイケルからの手紙も届かない。
長期休暇中にアリシアから手紙が届きそれに書かれていた帝国の内部情報をマイラが教えてくれた。
「公にはなっていない話・・少し前に婚約者候補が決まりかけたんだけど、その内の最有力だと言われていた方が事故で酷い怪我をされてしまって辞退されたらしいの」
以前に比べるとオーモンド公爵の傘下が増えベルトラム侯爵達の派閥は縮小気味になってきた。ベルトラム侯爵家はロスアリアの第二王女を皇太子ではなく第二皇子の婚約者にしようと画策していたが上手くいかなかった為事故を画策したのではないかと言われているという。
(お馬鹿サイラスがやらかした話は秘密ね)
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