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オークリー&カルム

10.バリケード撤去

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「ニール、ニール・フォルス!
出てこい、このバリケードの山は何だ」

 ニールの予言通り、当日のうちに侯爵が騎乗で駆けつけた。

 管理局や船員が作ったバリケードを掻い潜り、局長達を蹴散らして一目散にニールの所にやってきた。

「おっさん、久しぶりだな。ちょいと老けたか?」
「老けてもおらんし腹も出ておらん」

「ほー、腹を気にしてるのか」

「何の用で態々呼び出した?」
「こいつを見ろよ。
あんたが放り出してる間に面白い事が起きてるぜ」

 ダーリントン侯爵はニールを不審げに見ながら、机の上に放り出された帳簿を確認した。

 局長が宿に駆け込んできて汗をかき息を切らしながら、
「ご領主様、突然どうされましたか?」

 さっきまでとは打って変わって冷ややかな声の侯爵が、
「局長、この港で何が起きている?」

「船長達が暴動を起こしまして、鎮圧しようとしておりました。
ご領主様が心配されるような事は何もございません。
あっという間に治めてご覧に入れます」

「では、これは何だ?」

 侯爵が局長に帳簿を見せつけた。

「は? やっ、それは」

「局長を牢へ。それ以外の管理局の者達も全員集めて話を聞かせてもらおう」

「局長室の絨毯の下に秘密の地下室があったぜ。
昨日の夜は金やら宝石やらがたんまり隠し込んであったよなあ」

「管理局に忍び込むとは、誰かその盗人を捕まえろ!」

「その前におめえ局長の審議だな。盗人猛々しいって言葉知ってるか?」


 侯爵が局長達と出て行った。

「さてと、おいお前らバリケード全部壊して片付けてこい」

「まさか、局の奴らが作った分もですか?」

「それは向こうの奴らに片付けさせろ。
残りの金が欲しけりゃ働けって言っとけ」

 レオ以外の全員の男達が出て行った。

「さて、後はジジイが全部始末するだろうから酒でも飲んで待ってりゃ良い」

「ニール、侯爵の秘密って?」

「それをレオにバラしたら、次から使いにくくなんだろうが。
俺しか知らねえから効果絶大ってやつだからな。
それよりもだ、お嬢アンタに真面目な話がある」

「?」

「俺の嫁になんねえか?」

 マーサとセオが、
「「まさかの、デジャブ?」」

「えーっと、ニールは私の事が好きって事ですの?」
「そう言うこったな。どうだ?」

「うーん、今はそれどころじゃないと言うか。他にやりたい事がありますの」

「俺とじゃできねえ?」

「そうでもありませんわ。
腕の良い船長さんは探してますのよ。
そうよねセオ?」

「また俺に振りますか、堪忍してください。
第一、結婚相手と商売の話は別でしょう?」

「そう言えばそうね。だったら・・そうだ、勝負しませんこと?」
「?」
「ニールが勝ったら結婚する。
私が勝ったら船長さんとして雇われる。
どうかしら?」

「リディア様!」「お嬢様!」


「よっしゃ、その賭け乗った」
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