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第一章 はじまり
7.コーヒーと船
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「マーサ、コーヒーをいれてくれるかしら?」
ルーカスが慌てて立ち上がる。
「コーヒーなら私が。マーサの入れるコーヒーは胃にくるので」
マーサがルーカスを横目で睨んだ。
「まあ、それ程じゃありませんよ。ちょっと濃いかな? って位です」
イーサンがセオに小声で、
「結構だよな。俺、この間眠れなくなったもん」
「お嬢様、イーサンが徹夜できるくらいにいっぱい仕事を振ってほしいみたいですよ」
「うわ、マジ。それだけは勘弁して」
この頃のコーヒーは、煮出して作るターキッシュ・コーヒー。
マーサは料理は得意だが、コーヒーを淹れるのは苦手らしい。
ルーカスが、5人分のコーヒーを持って帰ってきた。
「造船業者は結構強気でした。ガレー船による、定期航路開設の話が出ているせいだと思います。
それと今はコグ船よりハルク船の方が良いかもしれません」
イーサンが驚いて、
「えっ? ハルク船ってただ浮かんでるだけってイメージがあるけど?」
「以前はね。最近では厚板の重ね貼りを使って強度を上げる事で、コグ船より積載量も上がってます。
価格はコグ船より低価格で、製造できる船大工もハルク船の方が多いです」
「サイズとしてはどっちがいいのかしら?」
「ロレンヌ川は所々、川幅の狭いところがあるので今のコグ船は難しいと思います。
最近のコグ船はかなり大型化してきてました」
「依頼したらどのくらいで納入出来そう?」
「一艘で2ヶ月。旧型タイプを補強した物ならかなり早いです」
リディアは、ルーカスの出した資料を見ながら考え込んでいる。
「セオ? 貴族の方はどうだった?」
「これが話に乗ってきそうな貴族の一覧表です。主な特産品も記入してあります」
「結構いるわね」
「はい、思った以上でしたね。
ロレンヌ川の近くに領地がある貴族から、螺馬で川までの輸送に1週間程度の貴族に限定してみました」
「この間話を聞いたブルック伯爵とダーリントン侯爵も入ってるわ」
「あと、特産品に鉱物資源は入れませんでした。物量によっては重量オーバーになりかねないので」
「そうね、それが良さそう」
イーサンがコーヒーを飲み、幸せそうにしている。
「ルーカスはクソ真面目な堅物だけど、コーヒー淹れるのは上手いよな」
「堅物とコーヒーは関係ないぞ?」
「イメージってやつよ。堅物は、コーヒーより紅茶な感じがする」
「それ、物凄い偏見だと思うぞ。紅茶好きが聞いたら怒りそうだ」
「だってほら。足を組んで紅茶のカップを持って、眼鏡をクイっと」
イーサンがルーカスの真似をした。
リディアとマーサが、顔を見合わせて笑った。
リディアが突っ込みを入れた。
「イーサン、滅茶滅茶似てる」
ルーカスがイーサンを睨み、全員が爆笑した。
ルーカスが慌てて立ち上がる。
「コーヒーなら私が。マーサの入れるコーヒーは胃にくるので」
マーサがルーカスを横目で睨んだ。
「まあ、それ程じゃありませんよ。ちょっと濃いかな? って位です」
イーサンがセオに小声で、
「結構だよな。俺、この間眠れなくなったもん」
「お嬢様、イーサンが徹夜できるくらいにいっぱい仕事を振ってほしいみたいですよ」
「うわ、マジ。それだけは勘弁して」
この頃のコーヒーは、煮出して作るターキッシュ・コーヒー。
マーサは料理は得意だが、コーヒーを淹れるのは苦手らしい。
ルーカスが、5人分のコーヒーを持って帰ってきた。
「造船業者は結構強気でした。ガレー船による、定期航路開設の話が出ているせいだと思います。
それと今はコグ船よりハルク船の方が良いかもしれません」
イーサンが驚いて、
「えっ? ハルク船ってただ浮かんでるだけってイメージがあるけど?」
「以前はね。最近では厚板の重ね貼りを使って強度を上げる事で、コグ船より積載量も上がってます。
価格はコグ船より低価格で、製造できる船大工もハルク船の方が多いです」
「サイズとしてはどっちがいいのかしら?」
「ロレンヌ川は所々、川幅の狭いところがあるので今のコグ船は難しいと思います。
最近のコグ船はかなり大型化してきてました」
「依頼したらどのくらいで納入出来そう?」
「一艘で2ヶ月。旧型タイプを補強した物ならかなり早いです」
リディアは、ルーカスの出した資料を見ながら考え込んでいる。
「セオ? 貴族の方はどうだった?」
「これが話に乗ってきそうな貴族の一覧表です。主な特産品も記入してあります」
「結構いるわね」
「はい、思った以上でしたね。
ロレンヌ川の近くに領地がある貴族から、螺馬で川までの輸送に1週間程度の貴族に限定してみました」
「この間話を聞いたブルック伯爵とダーリントン侯爵も入ってるわ」
「あと、特産品に鉱物資源は入れませんでした。物量によっては重量オーバーになりかねないので」
「そうね、それが良さそう」
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「ルーカスはクソ真面目な堅物だけど、コーヒー淹れるのは上手いよな」
「堅物とコーヒーは関係ないぞ?」
「イメージってやつよ。堅物は、コーヒーより紅茶な感じがする」
「それ、物凄い偏見だと思うぞ。紅茶好きが聞いたら怒りそうだ」
「だってほら。足を組んで紅茶のカップを持って、眼鏡をクイっと」
イーサンがルーカスの真似をした。
リディアとマーサが、顔を見合わせて笑った。
リディアが突っ込みを入れた。
「イーサン、滅茶滅茶似てる」
ルーカスがイーサンを睨み、全員が爆笑した。
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