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43.全校集会
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全校集会の朝、学園は異常な熱気に包まれていた。
「素敵!!」
「お二人が並ぶとまるで絵画みたい」
「ねえ、もう一人はどなた?」
「見たことないけど格好いいわね」
壇上には既に生徒会役員が集まりリチャード王子の姿も見えた。リチャード王子の横に立っているのはルーク・マクルーガーだろう。背の高いリチャード王子殿下より頭半分以上高く広い肩幅で周りを圧倒している。
「静粛に! これより全校集会をはじめます」
ウルリカのこえで静まりかえった生徒達が居住まいを正した。アリエノールが壇上中央に立つとあちこちから『ほおっ』と溜息が漏れた。はじまりの挨拶の後今年度各役員の秘書の紹介が行われた。
「生徒会長秘書、一年Sクラス、セアラ・レトビア。
書記秘書、一年Sクラス、ローランド・アーカンソー。
会計秘書、一年Sクラス、ケント・タイラー。
広報秘書、一年Aクラス、サミュエル・アイシュタイン。
以上4名が生徒会役員の補佐を行います」
名前を呼ばれるたびに起立した4人の生徒が一斉に頭を下げた。
「副会長は?」
「いないって事はないわよね」
ウルリカの秘書が発表されなかったのでざわつきはじめた生徒達にアリエノールがにっとりと微笑んで話をはじめた。
「皆様の疑問には後程お答えするとして、その前に3月に行われる剣技大会についてご説明します」
アリエノールが場の注目を集めた後、ウルリカが説明をはじめた。
「今回の剣技大会の外部講師は昨年卒業されたリチャード第二王子殿下が担当されます。
既に参加申し込みははじまっておりますが、期限は来週金曜日の昼休み終了まで。
その後はいかなる理由があっても参加不可となります。
練習の開始は翌週の水曜日から。
練習日は毎週月曜日・水曜日・金曜日の放課後。土日は基本自主練習となります。
全ての練習に参加する事が参加条件となります。
参加申し込みした生徒は17日間の訓練後試験を受け、出場者は二次試験の結果で決定します」
滑舌の良いウルリカの説明が終わりリチャードが壇上に立った。
「噂好きの学生達ならもう知っていると思いますが、今回の剣技大会はかなりの激戦になると予想されています。練習日が増えた為学業との両立が大変になると思いますが、大会に出場したいと思う者だけでなく真剣に剣技を習得したい者にも参加して欲しい。
あー。但し中途半端はお断りだから、そんな奴がいたらケツを蹴り上げるからそのつもりでいてくれ。
それに、成績が落ちた奴にもお仕置きな」
真面目な挨拶からはじまり、キラキラと目を輝かせている令嬢と顔を引き攣らせた令息から笑いをとったリチャード王子は堂々と壇上横の席に戻った。
「きゃあ、やっぱり素敵」
「真面目と不真面目がセットって」
「練習見に行くぞ」
「わたくしも!」
「最後に編入生の紹介です。ルーク、前へ」
ぎしりと椅子の音が聞こえるような大男がアリエノールの横に並んだ。
「一年Sクラスに月曜日から編入する予定のルーク・マクルーガーです。ベルスペクト王国は10年ぶりなので宜しく頼みます」
大きな体に似合う無骨な挨拶の後さっさと席に戻ってしまったルークはリチャードから何やら突っ込みを入れられたらしく苦笑いを浮かべながらガシガシと頭を掻いている。
「マクルーガーって辺境伯の?」
「おっきい」
「アリエノール様が潰れちゃいそう」
「ちなみに彼が副会長秘書を努めます。一年生だけど剣技大会にも出場するので、特に上級生の皆さん頑張って下さいね」
応援された上級生が『おー!』と意味不明な雄叫びを上げた。
全校集会が終わり教室に戻った生徒達はルークの話で盛り上がっていた。学園では毎年剣技大会の代表選手と優勝者を当てる賭けが行われており、ルークの登場で番狂わせが起こりそうだと騒ぎ立てていた。
「辺境伯の弟でしょ? 強いに決まってるわ」
「アリエノール様がわざわざ発表したんだよ、強いに決まってる」
「いくら身体が大きくても二年生のグレイ・ガーラント様には勝てないわ」
「三年生のタイラー・ヒックス様で決まりだよ」
入り口のドアが開きオーシエン先生が入って来ると教室が静まりかえった。
「編入生についてはさっき挨拶があったから知っているな。生徒会役員の秘書も大会の参加者も学業重視でやるように。
それと、再来週は各教科小テストを予定しているから気を抜かず頑張ってくれ。以上だ」
担任が教室を出て行くと顔を引き攣らせていた生徒達がガックリと肩を落とした。
「新学期、はじまったばかりなのに」
「もう無理⋯⋯今度こそ補習が」
週末に引っ越したセアラの部屋はウルリカの隣だった。
一部三階建ての寮は一階に受付と複数の談話室があり購買と広い食堂は渡り廊下で繋がった下位貴族用の寮と併用になっている。二階には伯爵や侯爵令嬢の部屋があり、二階の一部と三階が王族と公爵令嬢の部屋になっている。
王族の部屋はソファとテーブルの他に食事を取れるダイニングテーブルもあり、朝夕の食事はここに運ばれてくる。隣室に学習机やベッドがあり侍女の為の部屋も付いている。
「朝は声をかけさせていただきますのでアリエノール様とわたくしと一緒にお食事をしていただきます。夕食も同様になりますが諸事情でお一人になられる場合にはお部屋に運ばれてくるまでお待ち下さい。
一階の食堂はお使いになられませんよう。
購買に用のある場合は必ず侍女に依頼するか侍女をお連れ下さい」
この部屋に移動してからメアリーアンがセアラの専属でつくことになった。
『専属でメイドをつけるなら是非にってメアリーアンが志願したの。メアリーアンがあんな風に自分の意志を口にするのは珍しいから叶えてあげたいの。
メアリーアンなら護衛としても優秀だから必要だと思ったら学園への行き帰りも頼むと良いわ』
「素敵!!」
「お二人が並ぶとまるで絵画みたい」
「ねえ、もう一人はどなた?」
「見たことないけど格好いいわね」
壇上には既に生徒会役員が集まりリチャード王子の姿も見えた。リチャード王子の横に立っているのはルーク・マクルーガーだろう。背の高いリチャード王子殿下より頭半分以上高く広い肩幅で周りを圧倒している。
「静粛に! これより全校集会をはじめます」
ウルリカのこえで静まりかえった生徒達が居住まいを正した。アリエノールが壇上中央に立つとあちこちから『ほおっ』と溜息が漏れた。はじまりの挨拶の後今年度各役員の秘書の紹介が行われた。
「生徒会長秘書、一年Sクラス、セアラ・レトビア。
書記秘書、一年Sクラス、ローランド・アーカンソー。
会計秘書、一年Sクラス、ケント・タイラー。
広報秘書、一年Aクラス、サミュエル・アイシュタイン。
以上4名が生徒会役員の補佐を行います」
名前を呼ばれるたびに起立した4人の生徒が一斉に頭を下げた。
「副会長は?」
「いないって事はないわよね」
ウルリカの秘書が発表されなかったのでざわつきはじめた生徒達にアリエノールがにっとりと微笑んで話をはじめた。
「皆様の疑問には後程お答えするとして、その前に3月に行われる剣技大会についてご説明します」
アリエノールが場の注目を集めた後、ウルリカが説明をはじめた。
「今回の剣技大会の外部講師は昨年卒業されたリチャード第二王子殿下が担当されます。
既に参加申し込みははじまっておりますが、期限は来週金曜日の昼休み終了まで。
その後はいかなる理由があっても参加不可となります。
練習の開始は翌週の水曜日から。
練習日は毎週月曜日・水曜日・金曜日の放課後。土日は基本自主練習となります。
全ての練習に参加する事が参加条件となります。
参加申し込みした生徒は17日間の訓練後試験を受け、出場者は二次試験の結果で決定します」
滑舌の良いウルリカの説明が終わりリチャードが壇上に立った。
「噂好きの学生達ならもう知っていると思いますが、今回の剣技大会はかなりの激戦になると予想されています。練習日が増えた為学業との両立が大変になると思いますが、大会に出場したいと思う者だけでなく真剣に剣技を習得したい者にも参加して欲しい。
あー。但し中途半端はお断りだから、そんな奴がいたらケツを蹴り上げるからそのつもりでいてくれ。
それに、成績が落ちた奴にもお仕置きな」
真面目な挨拶からはじまり、キラキラと目を輝かせている令嬢と顔を引き攣らせた令息から笑いをとったリチャード王子は堂々と壇上横の席に戻った。
「きゃあ、やっぱり素敵」
「真面目と不真面目がセットって」
「練習見に行くぞ」
「わたくしも!」
「最後に編入生の紹介です。ルーク、前へ」
ぎしりと椅子の音が聞こえるような大男がアリエノールの横に並んだ。
「一年Sクラスに月曜日から編入する予定のルーク・マクルーガーです。ベルスペクト王国は10年ぶりなので宜しく頼みます」
大きな体に似合う無骨な挨拶の後さっさと席に戻ってしまったルークはリチャードから何やら突っ込みを入れられたらしく苦笑いを浮かべながらガシガシと頭を掻いている。
「マクルーガーって辺境伯の?」
「おっきい」
「アリエノール様が潰れちゃいそう」
「ちなみに彼が副会長秘書を努めます。一年生だけど剣技大会にも出場するので、特に上級生の皆さん頑張って下さいね」
応援された上級生が『おー!』と意味不明な雄叫びを上げた。
全校集会が終わり教室に戻った生徒達はルークの話で盛り上がっていた。学園では毎年剣技大会の代表選手と優勝者を当てる賭けが行われており、ルークの登場で番狂わせが起こりそうだと騒ぎ立てていた。
「辺境伯の弟でしょ? 強いに決まってるわ」
「アリエノール様がわざわざ発表したんだよ、強いに決まってる」
「いくら身体が大きくても二年生のグレイ・ガーラント様には勝てないわ」
「三年生のタイラー・ヒックス様で決まりだよ」
入り口のドアが開きオーシエン先生が入って来ると教室が静まりかえった。
「編入生についてはさっき挨拶があったから知っているな。生徒会役員の秘書も大会の参加者も学業重視でやるように。
それと、再来週は各教科小テストを予定しているから気を抜かず頑張ってくれ。以上だ」
担任が教室を出て行くと顔を引き攣らせていた生徒達がガックリと肩を落とした。
「新学期、はじまったばかりなのに」
「もう無理⋯⋯今度こそ補習が」
週末に引っ越したセアラの部屋はウルリカの隣だった。
一部三階建ての寮は一階に受付と複数の談話室があり購買と広い食堂は渡り廊下で繋がった下位貴族用の寮と併用になっている。二階には伯爵や侯爵令嬢の部屋があり、二階の一部と三階が王族と公爵令嬢の部屋になっている。
王族の部屋はソファとテーブルの他に食事を取れるダイニングテーブルもあり、朝夕の食事はここに運ばれてくる。隣室に学習机やベッドがあり侍女の為の部屋も付いている。
「朝は声をかけさせていただきますのでアリエノール様とわたくしと一緒にお食事をしていただきます。夕食も同様になりますが諸事情でお一人になられる場合にはお部屋に運ばれてくるまでお待ち下さい。
一階の食堂はお使いになられませんよう。
購買に用のある場合は必ず侍女に依頼するか侍女をお連れ下さい」
この部屋に移動してからメアリーアンがセアラの専属でつくことになった。
『専属でメイドをつけるなら是非にってメアリーアンが志願したの。メアリーアンがあんな風に自分の意志を口にするのは珍しいから叶えてあげたいの。
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