3 / 93
3.王都への道
しおりを挟む
お礼を言って歩き出したセアラは爽やかで温かみの感じられる香りが風に運ばれてくる花畑に向かった。馬車道からなだらかな坂になっていたのでこれほど広い花畑だと思っていなかったセアラの目の前には辺りを覆い尽くすほどの薄紫のラベンダーが春の日差しに煌めいていた。
見たこともない程広大な花畑と遠くに連なる山のコントラストにセアラは今までいた世界はとても狭かったのだと気付かされた。
(悩んで怯えてばかりではいられないわ。これまで見たことのない世界は一杯あるんだもの。その中にはきっと⋯⋯)
ここまで来れば王都には後2日で着くという。
生まれて初めての野宿や馬車の旅で不安一杯だったセアラだが姉御肌で気さくなジニーやリドリー達のお陰でとても順調にここまで来れた。
『女と見りゃちょっかい出してくる奴もいるからね、今回の護衛や商団の奴らがどんな奴かわかるまであたしのそばから離れちゃダメだよ』
怖い思いも嫌な思いもなかったが初めての体験と馬車の乗り心地の悪さと将来への不安で心も身体もいっぱいだったセアラは花畑を見ながら漸くこれから先を考えられるようになった。
(レトビア公爵家か⋯⋯。何が待ってるのか分からないし今までは良い印象がないけど私に利用価値があるのなら真面な対応をしてくださるかしら。そうであればいいんだけど⋯⋯)
レトビア公爵には祖父の葬儀の時を含めて何度か会ったことがあるセアラはレトビア公爵の顔を思い出して顔を顰めた。
田舎暮らしのセアラは貴族自体ほんの数人しか会ったことがないがその中でもレトビア公爵が一番の苦手だった。国の中枢にいる高位貴族だからなのか建国の立役者だと尊敬を集めている家系だからなのか、慇懃無礼な態度で常にこちらを値踏みしているような視線が嫌で極力会わないようにしていた。
(いずれ養女にする為にって狙っておられたのかも。でなければ殆ど関わりがないはずの田舎の貧乏貴族家に態々お越しになるのが不思議だったもの)
その後順調に旅を続けた一行は王都へと辿り着き、王都の入り口でジニー達や護衛と別れガーダル商会の荷馬車に乗り移った。ジニーは『暫くは王都にいる』と言いながら夫の商会の住所を書いたメモをセアラに手渡してくれ、他の旅の仲間達も『またな』と言いながら手を振ってくれた。
セアラの乗った荷馬車がガタゴトと動きはじめ幌の隙間から町並みを覗いていたセアラは大勢の人や馬車が行き交う様に目を丸くした。
舗装された石畳を悠々と歩く女性達は洒落た日傘と籐の籠を持ち、帽子をかぶりステッキを持った男性達がせかせかと先を急ぐように歩いている。道を横切る人に慌てた辻馬車が警笛を鳴らし、野良犬を追い払う怒鳴り声が聞こえた。小綺麗な服装の人達の間を薄汚れた子供が走り抜け花籠を抱えた女の子が転びかけたのが見えた。
ホプキンス領では見たことのない3階や4階建ての建物の1階には様々な店が並び満面の笑みを浮かべた店員が呼び込みの声をかけている。
(こんなに沢山の人初めて見たわ。人の多さはホプキンス領のお祭りの時みたいだけどこんなに洒落た服装の人はいないわね。それにしてもさっきの子供は随分と汚れた格好だった)
セアラが今いるのは王都の平民街の大通り。ホプキンス領では見かけない裕福そうで着飾った人達と花売りの少女や走り抜けた少年のような貧しそうな身なりの子達がごく当たり前のように暮らしている事にセアラは違和感を感じずにいられなかった。
(貧富の差はどこにでもあるけどやっぱり王都だとスラムとかって本当にあるのかも)
セアラの乗った荷馬車が大通りを進んだ公園近くで停まった。荷物を持ってセアラが馬車を降りるとリドリーが少し寂しげな顔でセアラを見下ろした。
「王都に着いたら宿屋に一泊して身支度を整えてからレトビア公爵家を訪ねるって聞いてますんで。手続きとか手伝いますよ」
「ありがとう。宿に泊まるのは初めてだから助かるわ」
荷物を抱えたリドリーと一緒にセアラは宿の手続きを済ませて2階の部屋に上がった。ベッドと椅子が一つあるきりの狭い部屋だがきちんと掃除がされているのを見てセアラはほっと息をついた。
「まあ、部屋は狭いけど知り合いがやってる宿なんで安心だと思います。さっき声をかけておいたから湯を持ってきてくれるはずだし」
「清潔だし一晩だけだもの十分だわ。ここまでありがとうございました。リドリーさん達のおかげで無事に王都につけたわ」
リドリーはレトビアの呪いの事も今回の王都行きの理由も知っているらしく旅の間中セアラに何か言いたげな顔をしていた。
「あの、もしもだけど⋯⋯その、もしもなんか困ったことがあったらいつでもうちに声をかけて下さいよ。俺がいなくてもわかるように店のやつにもこの宿の奴にも言っとくんで。セアラさんは俺んちの⋯⋯その⋯⋯いや、何も問題なんて起こらねえとは思うけど」
後ろ髪を引かれながら帰って行ったリドリーと入れ違いにお湯が運び込まれセアラは久しぶりにゆっくりと風呂に入った。ジニーがくれた石鹸で身体と頭を洗い終わる頃には旅の疲れから眠くなってきたが、宿の使用人が届けてくれたレトビア公爵家からの手紙を見てすっかり目が覚めてしまった。
見たこともない程広大な花畑と遠くに連なる山のコントラストにセアラは今までいた世界はとても狭かったのだと気付かされた。
(悩んで怯えてばかりではいられないわ。これまで見たことのない世界は一杯あるんだもの。その中にはきっと⋯⋯)
ここまで来れば王都には後2日で着くという。
生まれて初めての野宿や馬車の旅で不安一杯だったセアラだが姉御肌で気さくなジニーやリドリー達のお陰でとても順調にここまで来れた。
『女と見りゃちょっかい出してくる奴もいるからね、今回の護衛や商団の奴らがどんな奴かわかるまであたしのそばから離れちゃダメだよ』
怖い思いも嫌な思いもなかったが初めての体験と馬車の乗り心地の悪さと将来への不安で心も身体もいっぱいだったセアラは花畑を見ながら漸くこれから先を考えられるようになった。
(レトビア公爵家か⋯⋯。何が待ってるのか分からないし今までは良い印象がないけど私に利用価値があるのなら真面な対応をしてくださるかしら。そうであればいいんだけど⋯⋯)
レトビア公爵には祖父の葬儀の時を含めて何度か会ったことがあるセアラはレトビア公爵の顔を思い出して顔を顰めた。
田舎暮らしのセアラは貴族自体ほんの数人しか会ったことがないがその中でもレトビア公爵が一番の苦手だった。国の中枢にいる高位貴族だからなのか建国の立役者だと尊敬を集めている家系だからなのか、慇懃無礼な態度で常にこちらを値踏みしているような視線が嫌で極力会わないようにしていた。
(いずれ養女にする為にって狙っておられたのかも。でなければ殆ど関わりがないはずの田舎の貧乏貴族家に態々お越しになるのが不思議だったもの)
その後順調に旅を続けた一行は王都へと辿り着き、王都の入り口でジニー達や護衛と別れガーダル商会の荷馬車に乗り移った。ジニーは『暫くは王都にいる』と言いながら夫の商会の住所を書いたメモをセアラに手渡してくれ、他の旅の仲間達も『またな』と言いながら手を振ってくれた。
セアラの乗った荷馬車がガタゴトと動きはじめ幌の隙間から町並みを覗いていたセアラは大勢の人や馬車が行き交う様に目を丸くした。
舗装された石畳を悠々と歩く女性達は洒落た日傘と籐の籠を持ち、帽子をかぶりステッキを持った男性達がせかせかと先を急ぐように歩いている。道を横切る人に慌てた辻馬車が警笛を鳴らし、野良犬を追い払う怒鳴り声が聞こえた。小綺麗な服装の人達の間を薄汚れた子供が走り抜け花籠を抱えた女の子が転びかけたのが見えた。
ホプキンス領では見たことのない3階や4階建ての建物の1階には様々な店が並び満面の笑みを浮かべた店員が呼び込みの声をかけている。
(こんなに沢山の人初めて見たわ。人の多さはホプキンス領のお祭りの時みたいだけどこんなに洒落た服装の人はいないわね。それにしてもさっきの子供は随分と汚れた格好だった)
セアラが今いるのは王都の平民街の大通り。ホプキンス領では見かけない裕福そうで着飾った人達と花売りの少女や走り抜けた少年のような貧しそうな身なりの子達がごく当たり前のように暮らしている事にセアラは違和感を感じずにいられなかった。
(貧富の差はどこにでもあるけどやっぱり王都だとスラムとかって本当にあるのかも)
セアラの乗った荷馬車が大通りを進んだ公園近くで停まった。荷物を持ってセアラが馬車を降りるとリドリーが少し寂しげな顔でセアラを見下ろした。
「王都に着いたら宿屋に一泊して身支度を整えてからレトビア公爵家を訪ねるって聞いてますんで。手続きとか手伝いますよ」
「ありがとう。宿に泊まるのは初めてだから助かるわ」
荷物を抱えたリドリーと一緒にセアラは宿の手続きを済ませて2階の部屋に上がった。ベッドと椅子が一つあるきりの狭い部屋だがきちんと掃除がされているのを見てセアラはほっと息をついた。
「まあ、部屋は狭いけど知り合いがやってる宿なんで安心だと思います。さっき声をかけておいたから湯を持ってきてくれるはずだし」
「清潔だし一晩だけだもの十分だわ。ここまでありがとうございました。リドリーさん達のおかげで無事に王都につけたわ」
リドリーはレトビアの呪いの事も今回の王都行きの理由も知っているらしく旅の間中セアラに何か言いたげな顔をしていた。
「あの、もしもだけど⋯⋯その、もしもなんか困ったことがあったらいつでもうちに声をかけて下さいよ。俺がいなくてもわかるように店のやつにもこの宿の奴にも言っとくんで。セアラさんは俺んちの⋯⋯その⋯⋯いや、何も問題なんて起こらねえとは思うけど」
後ろ髪を引かれながら帰って行ったリドリーと入れ違いにお湯が運び込まれセアラは久しぶりにゆっくりと風呂に入った。ジニーがくれた石鹸で身体と頭を洗い終わる頃には旅の疲れから眠くなってきたが、宿の使用人が届けてくれたレトビア公爵家からの手紙を見てすっかり目が覚めてしまった。
6
お気に入りに追加
717
あなたにおすすめの小説
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
悪役令嬢より取り巻き令嬢の方が問題あると思います
蓮
恋愛
両親と死別し、孤児院暮らしの平民だったシャーリーはクリフォード男爵家の養女として引き取られた。丁度その頃市井では男爵家など貴族に引き取られた少女が王子や公爵令息など、高貴な身分の男性と恋に落ちて幸せになる小説が流行っていた。シャーリーは自分もそうなるのではないかとつい夢見てしまう。しかし、夜会でコンプトン侯爵令嬢ベアトリスと出会う。シャーリーはベアトリスにマナーや所作など色々と注意されてしまう。シャーリーは彼女を小説に出て来る悪役令嬢みたいだと思った。しかし、それが違うということにシャーリーはすぐに気付く。ベアトリスはシャーリーが嘲笑の的にならないようマナーや所作を教えてくれていたのだ。
(あれ? ベアトリス様って実はもしかして良い人?)
シャーリーはそう思い、ベアトリスと交流を深めることにしてみた。
しかしそんな中、シャーリーはあるベアトリスの取り巻きであるチェスター伯爵令嬢カレンからネチネチと嫌味を言われるようになる。カレンは平民だったシャーリーを気に入らないらしい。更に、他の令嬢への嫌がらせの罪をベアトリスに着せて彼女を社交界から追放しようともしていた。彼女はベアトリスも気に入らないらしい。それに気付いたシャーリーは怒り狂う。
「私に色々良くしてくださったベアトリス様に冤罪をかけようとするなんて許せない!」
シャーリーは仲良くなったテヴァルー子爵令息ヴィンセント、ベアトリスの婚約者であるモールバラ公爵令息アイザック、ベアトリスの弟であるキースと共に、ベアトリスを救う計画を立て始めた。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ジャンルは恋愛メインではありませんが、アルファポリスでは当てはまるジャンルが恋愛しかありませんでした。
王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
身勝手な理由で婚約者を殺そうとした男は、地獄に落ちました【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「おい、アドレーラ。死んだか?」
私の婚約者であるルーパート様は、私を井戸の底へと突き落としてから、そう問いかけてきました。……ルーパート様は、長い間、私を虐待していた事実が明るみになるのを恐れ、私を殺し、すべてを隠ぺいしようとしたのです。
井戸に落ちたショックで、私は正気を失い、実家に戻ることになりました。心も体も元には戻らず、ただ、涙を流し続ける悲しい日々。そんなある日のこと、私の幼馴染であるランディスが、私の体に残っていた『虐待の痕跡』に気がつき、ルーパート様を厳しく問い詰めました。
ルーパート様は知らぬ存ぜぬを貫くだけでしたが、ランディスは虐待があったという確信を持ち、決定的な証拠をつかむため、特殊な方法を使う決意をしたのです。
そして、すべてが白日の下にさらされた時。
ルーパート様は、とてつもなく恐ろしい目にあうことになるのでした……
忘れられた妻
毛蟹葵葉
恋愛
結婚初夜、チネロは夫になったセインに抱かれることはなかった。
セインは彼女に積もり積もった怒りをぶつけた。
「浅ましいお前の母のわがままで、私は愛する者を伴侶にできなかった。それを止めなかったお前は罪人だ。顔を見るだけで吐き気がする」
セインは婚約者だった時とは別人のような冷たい目で、チネロを睨みつけて吐き捨てた。
「3年間、白い結婚が認められたらお前を自由にしてやる。私の妻になったのだから飢えない程度には生活の面倒は見てやるが、それ以上は求めるな」
セインはそれだけ言い残してチネロの前からいなくなった。
そして、チネロは、誰もいない別邸へと連れて行かれた。
三人称の練習で書いています。違和感があるかもしれません
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる