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19.酸欠か? 落ちてきはじめたクズ達
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「いや~、実にくだらない茶番を聞かせてもらったよ。明日の夕刻まで待つ必要はないので我々の返事を聞いておいてもらおうか。
まずひとり目⋯⋯さっきの台本で最大の被害者になる予定のアーシェの意見から聞いてみようかな?」
呑気そうな仮面を脱ぎ捨てたケインが細めた目でケレイブ子爵を睥睨しながらアーシェに話しかけた。
「義妹予定の女性が最愛なら2人が結婚すればいいんじゃないかな? 我が国では再婚した親同士の連れ子が結婚するのは認められていたはずだよね。正直言ってデイビッドの引取先が見つかってホッとしてる⋯⋯ごめん、大喜びの間違いだった」
「な、なんだと! 散々ヤキモチ焼いて嫌がらせしときながら今更誤魔化そうったってそうはいかねえんだよ!」
「え~! 嫌がらせなんてしてないよ? 暴言・暴力・窃盗だっけ? 私は一切やってないから法廷で会おうね。ちゃんと証拠集めてこないと大恥をかく事になるから頑張ってね~。
あとひとつ⋯⋯デイビッドが誰と何をしようとヤキモチを焼く可能性はゼロ! だって、デイビッドって昔からすっごい我儘で自分勝手だったじゃん。だから、めんどくさいなぁやだなぁって思いながら仕方なく遊んでたもん。ザック兄様がいたから頑張れたってのもあったし。
婚約しなさいって言われてからはもっと我儘が酷くなってほとんど下僕扱いだったよね~。領地経営とかの勉強は放り出してるから暇があるはずなのに学園の成績は下から数えた方が早い。それなのに顔を合わせるたびに『お前はバカだから』って言い続けてた。
アレ買えコレ買えって言うのを断ったら『お前みたいなブスを貰ってやるのに』って言うしねえ。
ウザくてムカつく人としか思ったことなくて当然じゃん。家同士の繋がりがあるから仕方ないとしか思ってない相手にヤキモチはないわ~、マジあり得ない。
ヤキモチを焼いてもらえると思われてたってだけで鳥肌が立つ⋯⋯それくらい昔から嫌い。だからケレイブ様には大感謝! 引き取ってくれてありがとう、返品は不可だって事だけは忘れないでね⋯⋯ライルおじさまが引き取ってくれるかどうかも分かんないから頑張ってね~。
大事な事なんでもう一度⋯⋯返品不可だから義妹予定の方は最後までお世話宜しくね~」
絶句したデイビッドが硬直しているとキャサリンがアーシェに向かって冷ややかな笑みを浮かべた。
「負け犬の遠吠えって超かっこ悪~い。アンタんちが没落するのを救ってあげるって言ってんのに、なに偉そうな事言ってんの? 犯罪者とかその娘とかは娼館行きでボロボロになるのが定番だからさぁ、アンタみたいなブスでも買ってくれる店知ってるし~、うちが送り届けてあげるわ~。
『ザック兄様がいたから』だってぇ、超ウケる~。これから平民になる者同士仲良くしたら良いじゃん! デイビッドがふたつの伯爵家を継いでアタシが夫人として社交界に行ってる間メソメソ泣き暮らせば?」
「ザック兄様がなんで平民になるの?」
「使用人達が『托卵』だって言ってたし、アンタんちがずっとデイビッドの家から金を支援されたことも聞いたしね~。だからデイビッドに教えてあげたの。デイビッドだけがふたつの家を継ぐ資格があるんだって」
「お話中申し訳ないけれどそこのお嬢さんのそれは無駄話ばかりみたいだし⋯⋯わたくしの番にしていただけるかしら?」
退屈そうに扇子を揺らしていたリリベルがピシリと音を立ててテーブルを叩いた。
「今まで多くの無礼な貴族に会ってきましたけれどこれ程下劣で低脳な方にお会いしたのは初めてですわ! 人様の家のお茶会に強引に割り込んでおきながら根拠のない噂で固めた妄想を吐き散らし、その挙句脅しをかけてくるなど怖気が走るとはこの事ですわね。
わたくしが会社役員として働いていないかどうかお調べになられましたの? 専用の部屋がどのように使われているのか調査なさいまして!?
何よりも⋯⋯わたくしの娘を軽んじ意味もなく貶めた事を死ぬまで後悔させて差し上げますわ。模造品を売り捌いて得た汚れた資産に手をつけることなど二度とできない暮らしへご招待させていただきましょうね!
そこの娘は娼館に詳しいみたいですから是非そこで生涯暮らしていただきましょう。もちろん、その美貌が失われた状態にしてお送りして差し上げますわ。その方が早くボロボロになれそうですものねえ」
「な、なんですって⋯⋯それってどう言う事!? まさか!」
「先程その口から出た言葉通りにして差し上げるだけの事。ご存知の方はほとんどおられないのだけど相手への刑をどういった内容にするか希望を出す方法がありますのよ。もちろんその希望を確実に叶える方法も先代の伯爵夫人から教えていただいておりますの。
楽しみにしておきなさい、ちゃんとご期待に添える結果になるよう刑の種類を指定して差し上げますわ!」
『犯罪者とかその娘とかは娼館行きでボロボロになるのが定番だからさぁ、アンタみたいなブスでも買ってくれる店知ってるし~、うちが送り届けてあげるわ~』
「い、いやぁ! デイビッド、助けて! ア、アタシ⋯⋯アタシの顔をあのおばさんが⋯⋯」
「キャ、キャサリンに手を出したら許さないからな! キャサリンは俺が守ってやるんだ⋯⋯伯爵になって社長にもなって好きなだけ贅沢を! キャサリンの美貌に似合うドレスやアクセサリーに囲まれて王女様のような暮らしをさせてあげるって決めてるんだ! 父上もおじさんももう終わりだ! 全部俺のものだってキャサリンとケレイブ子爵様が教えてくれたんだぞ!」
「やれやれ、ほんの数ヶ月前に会ったばかりの胡散臭い奴らにここまで骨抜きにされるとはなあ」
「ええ、婚約破棄は決まっているから牢の中でふたりを結婚させてあげましょう。ケレイブ子爵が仰っておられたように準成人になったから婚姻できるって。せっかくですもの念願を叶えて差し上げなくてはなりませんわね」
まずひとり目⋯⋯さっきの台本で最大の被害者になる予定のアーシェの意見から聞いてみようかな?」
呑気そうな仮面を脱ぎ捨てたケインが細めた目でケレイブ子爵を睥睨しながらアーシェに話しかけた。
「義妹予定の女性が最愛なら2人が結婚すればいいんじゃないかな? 我が国では再婚した親同士の連れ子が結婚するのは認められていたはずだよね。正直言ってデイビッドの引取先が見つかってホッとしてる⋯⋯ごめん、大喜びの間違いだった」
「な、なんだと! 散々ヤキモチ焼いて嫌がらせしときながら今更誤魔化そうったってそうはいかねえんだよ!」
「え~! 嫌がらせなんてしてないよ? 暴言・暴力・窃盗だっけ? 私は一切やってないから法廷で会おうね。ちゃんと証拠集めてこないと大恥をかく事になるから頑張ってね~。
あとひとつ⋯⋯デイビッドが誰と何をしようとヤキモチを焼く可能性はゼロ! だって、デイビッドって昔からすっごい我儘で自分勝手だったじゃん。だから、めんどくさいなぁやだなぁって思いながら仕方なく遊んでたもん。ザック兄様がいたから頑張れたってのもあったし。
婚約しなさいって言われてからはもっと我儘が酷くなってほとんど下僕扱いだったよね~。領地経営とかの勉強は放り出してるから暇があるはずなのに学園の成績は下から数えた方が早い。それなのに顔を合わせるたびに『お前はバカだから』って言い続けてた。
アレ買えコレ買えって言うのを断ったら『お前みたいなブスを貰ってやるのに』って言うしねえ。
ウザくてムカつく人としか思ったことなくて当然じゃん。家同士の繋がりがあるから仕方ないとしか思ってない相手にヤキモチはないわ~、マジあり得ない。
ヤキモチを焼いてもらえると思われてたってだけで鳥肌が立つ⋯⋯それくらい昔から嫌い。だからケレイブ様には大感謝! 引き取ってくれてありがとう、返品は不可だって事だけは忘れないでね⋯⋯ライルおじさまが引き取ってくれるかどうかも分かんないから頑張ってね~。
大事な事なんでもう一度⋯⋯返品不可だから義妹予定の方は最後までお世話宜しくね~」
絶句したデイビッドが硬直しているとキャサリンがアーシェに向かって冷ややかな笑みを浮かべた。
「負け犬の遠吠えって超かっこ悪~い。アンタんちが没落するのを救ってあげるって言ってんのに、なに偉そうな事言ってんの? 犯罪者とかその娘とかは娼館行きでボロボロになるのが定番だからさぁ、アンタみたいなブスでも買ってくれる店知ってるし~、うちが送り届けてあげるわ~。
『ザック兄様がいたから』だってぇ、超ウケる~。これから平民になる者同士仲良くしたら良いじゃん! デイビッドがふたつの伯爵家を継いでアタシが夫人として社交界に行ってる間メソメソ泣き暮らせば?」
「ザック兄様がなんで平民になるの?」
「使用人達が『托卵』だって言ってたし、アンタんちがずっとデイビッドの家から金を支援されたことも聞いたしね~。だからデイビッドに教えてあげたの。デイビッドだけがふたつの家を継ぐ資格があるんだって」
「お話中申し訳ないけれどそこのお嬢さんのそれは無駄話ばかりみたいだし⋯⋯わたくしの番にしていただけるかしら?」
退屈そうに扇子を揺らしていたリリベルがピシリと音を立ててテーブルを叩いた。
「今まで多くの無礼な貴族に会ってきましたけれどこれ程下劣で低脳な方にお会いしたのは初めてですわ! 人様の家のお茶会に強引に割り込んでおきながら根拠のない噂で固めた妄想を吐き散らし、その挙句脅しをかけてくるなど怖気が走るとはこの事ですわね。
わたくしが会社役員として働いていないかどうかお調べになられましたの? 専用の部屋がどのように使われているのか調査なさいまして!?
何よりも⋯⋯わたくしの娘を軽んじ意味もなく貶めた事を死ぬまで後悔させて差し上げますわ。模造品を売り捌いて得た汚れた資産に手をつけることなど二度とできない暮らしへご招待させていただきましょうね!
そこの娘は娼館に詳しいみたいですから是非そこで生涯暮らしていただきましょう。もちろん、その美貌が失われた状態にしてお送りして差し上げますわ。その方が早くボロボロになれそうですものねえ」
「な、なんですって⋯⋯それってどう言う事!? まさか!」
「先程その口から出た言葉通りにして差し上げるだけの事。ご存知の方はほとんどおられないのだけど相手への刑をどういった内容にするか希望を出す方法がありますのよ。もちろんその希望を確実に叶える方法も先代の伯爵夫人から教えていただいておりますの。
楽しみにしておきなさい、ちゃんとご期待に添える結果になるよう刑の種類を指定して差し上げますわ!」
『犯罪者とかその娘とかは娼館行きでボロボロになるのが定番だからさぁ、アンタみたいなブスでも買ってくれる店知ってるし~、うちが送り届けてあげるわ~』
「い、いやぁ! デイビッド、助けて! ア、アタシ⋯⋯アタシの顔をあのおばさんが⋯⋯」
「キャ、キャサリンに手を出したら許さないからな! キャサリンは俺が守ってやるんだ⋯⋯伯爵になって社長にもなって好きなだけ贅沢を! キャサリンの美貌に似合うドレスやアクセサリーに囲まれて王女様のような暮らしをさせてあげるって決めてるんだ! 父上もおじさんももう終わりだ! 全部俺のものだってキャサリンとケレイブ子爵様が教えてくれたんだぞ!」
「やれやれ、ほんの数ヶ月前に会ったばかりの胡散臭い奴らにここまで骨抜きにされるとはなあ」
「ええ、婚約破棄は決まっているから牢の中でふたりを結婚させてあげましょう。ケレイブ子爵が仰っておられたように準成人になったから婚姻できるって。せっかくですもの念願を叶えて差し上げなくてはなりませんわね」
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