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アカデミー、後期
20.退学届
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学長がグレースを拘束した。グレースは暴れて暴言を吐いていた。
「外しなさいよ、あたしが誰だか分かってんの? お父様に言いつけてやるから。ミリア、あんたのせいだからね」
頭痛が治まった教員達は、
「一体何が」
「私は今まで何を」
「何であんな事を」
ライリーはまだ、床に倒れている。身近で、一番強く魅了の魔法をかけられていたからだろう。王宮に伝令鳩が飛ばされた。
学長が小声でミリアに聞いた。
「あなたなら、ライリー殿下を直せる?」
「多分、でも今私が動いて良いんでしょうか?」
「難しい問題ね。取り敢えず殿下を寝かせるところを作らなくては」
簡易ベッドが運び込まれ、ライリーが寝かされた。会議室にいた教員全員に、学長室のポーションが渡された。グレースは手足を拘束され、別室に軟禁されている。
「さて、皆さん。体調がまだ良くないと言う方は、いらっしゃいますか? では、会議を進めても良いですか?」
「学長、さっきのは何だったんでしょうか? 何だか記憶が、混乱していると言うか」
「これはグレース・オルグレンが付けていたブレスレットです。ミード先生は鑑定が使えたはずですね。これの鑑定をお願いしても?」
「はっ、はい。失礼して・・なんと、魅了と呪いの魔道具です。さっきの頭痛は、魅了が解けた影響ですか?」
「ライリー殿下は、一番長い間身近で魅了の魔法をかけられていた為、反動が大きいのでしょう。宮廷魔導士の方なら直せるでしょうから」
「アカデミー内では、実習以外魔法は使えないはずです」
「それは強い攻撃魔法ですね。魅了はどちらかと言えば、状態異常の分類に入るので使えたのだと思います」
「では、皆さんにお聞きします。あなた方はこの一年、ミリア・オルグレンに何をしたのですか?」
「「学長!」」
「私、いえ私たちは魅了魔法で騙されていたんです。ミリア・オルグレンが、常時不正を行っていると信じ込まされていたんです」
「その通りです。今はそれが魅了によるものだと断言できます」
ミリアは立ち上がり、
「学長、もう帰ってよろしいでしょうか?」
「お待ちなさい。腹立たしいとは思いますが、彼らの言い分を聞いてみてはどうかしら?」
「退学届は提出済みです。1年間お世話になりました」
「オルグレンさん、話し合いましょう。魅了にかかっていたなんて知らなかったの」
「俺もだ、もし魅了にかかってなければ、違う対応をしていた」
「どうか、宰相には私達の事は内密に」
「学長、一つお願いがあります」
「いくつでもどうぞ」
「私が帰った後、魅了魔法について講義して頂きたいのですが。では、失礼します」
ドアを出て行くミリア。
「魅了魔法は禁忌の魔法のひとつです。人を思い通りに動かす事が出来る、とても恐ろしい魔法です。但し、“意に反して” と言うのは出来ません」
「どういう事ですか?」
「魅了は、その人の潜在意識を利用するのです。
例えば、誰かに対して羨ましいと思う気持ちがあったとします。
魅了魔法は、それを妬ましい・悔しいと言う感情に拡げてしまう。大本になる負の感情がなければ、それほど影響は大きくないのです」
「つまり、我々は・・」
「魅了に強く影響されていたのならば、それに見合った負の感情が、オルグレンに対してあったのでしょうね」
「そんな」
「外しなさいよ、あたしが誰だか分かってんの? お父様に言いつけてやるから。ミリア、あんたのせいだからね」
頭痛が治まった教員達は、
「一体何が」
「私は今まで何を」
「何であんな事を」
ライリーはまだ、床に倒れている。身近で、一番強く魅了の魔法をかけられていたからだろう。王宮に伝令鳩が飛ばされた。
学長が小声でミリアに聞いた。
「あなたなら、ライリー殿下を直せる?」
「多分、でも今私が動いて良いんでしょうか?」
「難しい問題ね。取り敢えず殿下を寝かせるところを作らなくては」
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「さて、皆さん。体調がまだ良くないと言う方は、いらっしゃいますか? では、会議を進めても良いですか?」
「学長、さっきのは何だったんでしょうか? 何だか記憶が、混乱していると言うか」
「これはグレース・オルグレンが付けていたブレスレットです。ミード先生は鑑定が使えたはずですね。これの鑑定をお願いしても?」
「はっ、はい。失礼して・・なんと、魅了と呪いの魔道具です。さっきの頭痛は、魅了が解けた影響ですか?」
「ライリー殿下は、一番長い間身近で魅了の魔法をかけられていた為、反動が大きいのでしょう。宮廷魔導士の方なら直せるでしょうから」
「アカデミー内では、実習以外魔法は使えないはずです」
「それは強い攻撃魔法ですね。魅了はどちらかと言えば、状態異常の分類に入るので使えたのだと思います」
「では、皆さんにお聞きします。あなた方はこの一年、ミリア・オルグレンに何をしたのですか?」
「「学長!」」
「私、いえ私たちは魅了魔法で騙されていたんです。ミリア・オルグレンが、常時不正を行っていると信じ込まされていたんです」
「その通りです。今はそれが魅了によるものだと断言できます」
ミリアは立ち上がり、
「学長、もう帰ってよろしいでしょうか?」
「お待ちなさい。腹立たしいとは思いますが、彼らの言い分を聞いてみてはどうかしら?」
「退学届は提出済みです。1年間お世話になりました」
「オルグレンさん、話し合いましょう。魅了にかかっていたなんて知らなかったの」
「俺もだ、もし魅了にかかってなければ、違う対応をしていた」
「どうか、宰相には私達の事は内密に」
「学長、一つお願いがあります」
「いくつでもどうぞ」
「私が帰った後、魅了魔法について講義して頂きたいのですが。では、失礼します」
ドアを出て行くミリア。
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「どういう事ですか?」
「魅了は、その人の潜在意識を利用するのです。
例えば、誰かに対して羨ましいと思う気持ちがあったとします。
魅了魔法は、それを妬ましい・悔しいと言う感情に拡げてしまう。大本になる負の感情がなければ、それほど影響は大きくないのです」
「つまり、我々は・・」
「魅了に強く影響されていたのならば、それに見合った負の感情が、オルグレンに対してあったのでしょうね」
「そんな」
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