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ギルドへ
9.試し打ち
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馬車に乗り、ケルンの丘にやってきた。周りには人影はなく、高い木も近くにはないので見晴らしがいい。
「そいつが、不死鳥の羽根とアカシアで出来ているなら、最強のワンドのひとつだな」
「マジで? そんなに凄いの?」
「ああ。多分今まで買った奴は扱いきれなかったか、杖に嫌われたかだな」
「杖って、本当に人を選ぶんだ。アメリアなら大丈夫って事?」
「アメリア、用心しながら使えよ。そいつは結構気難しそうだ」
ミリアが杖を前に向けて、【ウォーターボール】を放つ。
何も起こらない。
ミリアがもう一度試そうとした時に、杖が鈍く光り始めた。光が収まると巨大な水球が飛び出し、遠くの木にぶつかって木が砕け散った。
「うそぉ」
「こいつは使い所を間違ったら、大惨事になるな」
「既に大惨事だと思う」
もう一度【ウォーターボール】
今回は直ぐに反応して、さっきよりは威力が少し弱い水球が飛び出し、木を撃破した。
アメリアが、走って戻ってくる。頬を赤らめ目を輝かせている。
「アメリア、どうだった?」
「凄いです。普段より威力も狙いも発動までの時間も、とにかく凄いです」
「杖に気に入られたな。アカシアは硬くて丈夫な木だから、一生物だな」
「はい、ずっと大事にします」
「しっかり練習しないと、ヤバそうだけどね」
エラにツッコミを入れられたが、アメリアはニコニコと笑っていた。
冒険者ギルドに戻って、勝手に2階に上がるノアに、ミリアとエラも着いていく。
「よう、帰ったか? ちび助に使えるようなもんはあったか?」
黙ってワンドをギルマスに向ける。
「アメリアちゃん、冗談が過ぎるぜ?」
「ちび助はなしです。今日いろんな所で言われて、お腹いっぱいです」
「すげぇワンド持ってるな。そいつは高かっただろ?」
「タダだ」
「タダで貰いました」
「マジか? 行くとしたら、ガンツのとこだろ?」
「就職祝いだそうだ。ギルドカードを貰いにきた」
「ガンツが後で泣くな、楽しみだぜ。材質は?」
「不死鳥の羽根とアカシア。多分だが杖自体が、気配遮断か認識阻害辺りを使ってたんじゃないかと思う。誰にも使えなかったそうだ」
「そりゃまた、アメリアは益々ヤバくなるな」
むうっと口を尖らせるミリア。
「防具は明日の朝できる。そいつを貰ったら依頼を受けようと思ってる」
「ならパーティー申請しとけよ。お前と一緒ならAランクまでOKだ」
「アメリアのランクは?」
「Fって訳にはいかねぇからなぁ、一応Cランクだ。さっさと実績積んでAランクになってくれ。アメリアならSランクも有りだな」
「早めにランク上げしたいと思ってる。リーダーは俺で、メンバーはアメリアのみ。増やす予定はない。エラ、この内容で書類作っといてくれ」
「パーティー名は?」
「蒼いフェニックス」
いつもと違って調子が狂うなぁと思いつつも、ミリアは母が亡くなってから初めて居心地良く感じていた。
「そいつが、不死鳥の羽根とアカシアで出来ているなら、最強のワンドのひとつだな」
「マジで? そんなに凄いの?」
「ああ。多分今まで買った奴は扱いきれなかったか、杖に嫌われたかだな」
「杖って、本当に人を選ぶんだ。アメリアなら大丈夫って事?」
「アメリア、用心しながら使えよ。そいつは結構気難しそうだ」
ミリアが杖を前に向けて、【ウォーターボール】を放つ。
何も起こらない。
ミリアがもう一度試そうとした時に、杖が鈍く光り始めた。光が収まると巨大な水球が飛び出し、遠くの木にぶつかって木が砕け散った。
「うそぉ」
「こいつは使い所を間違ったら、大惨事になるな」
「既に大惨事だと思う」
もう一度【ウォーターボール】
今回は直ぐに反応して、さっきよりは威力が少し弱い水球が飛び出し、木を撃破した。
アメリアが、走って戻ってくる。頬を赤らめ目を輝かせている。
「アメリア、どうだった?」
「凄いです。普段より威力も狙いも発動までの時間も、とにかく凄いです」
「杖に気に入られたな。アカシアは硬くて丈夫な木だから、一生物だな」
「はい、ずっと大事にします」
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エラにツッコミを入れられたが、アメリアはニコニコと笑っていた。
冒険者ギルドに戻って、勝手に2階に上がるノアに、ミリアとエラも着いていく。
「よう、帰ったか? ちび助に使えるようなもんはあったか?」
黙ってワンドをギルマスに向ける。
「アメリアちゃん、冗談が過ぎるぜ?」
「ちび助はなしです。今日いろんな所で言われて、お腹いっぱいです」
「すげぇワンド持ってるな。そいつは高かっただろ?」
「タダだ」
「タダで貰いました」
「マジか? 行くとしたら、ガンツのとこだろ?」
「就職祝いだそうだ。ギルドカードを貰いにきた」
「ガンツが後で泣くな、楽しみだぜ。材質は?」
「不死鳥の羽根とアカシア。多分だが杖自体が、気配遮断か認識阻害辺りを使ってたんじゃないかと思う。誰にも使えなかったそうだ」
「そりゃまた、アメリアは益々ヤバくなるな」
むうっと口を尖らせるミリア。
「防具は明日の朝できる。そいつを貰ったら依頼を受けようと思ってる」
「ならパーティー申請しとけよ。お前と一緒ならAランクまでOKだ」
「アメリアのランクは?」
「Fって訳にはいかねぇからなぁ、一応Cランクだ。さっさと実績積んでAランクになってくれ。アメリアならSランクも有りだな」
「早めにランク上げしたいと思ってる。リーダーは俺で、メンバーはアメリアのみ。増やす予定はない。エラ、この内容で書類作っといてくれ」
「パーティー名は?」
「蒼いフェニックス」
いつもと違って調子が狂うなぁと思いつつも、ミリアは母が亡くなってから初めて居心地良く感じていた。
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