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ギルドへ
8.ワンド
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トレントの討伐報酬は、かなりの金額になった。
「凄い大金です」
「少しだけ残して、後はインベントリに入れとけ。スリに狙われるぞ」
ミリアが青褪めた。
ノアとエラ、ミリアの3人は大通りを歩いている。
「いっぱい買い物できそうだね。服を買った後、武器と防具も」
冒険者用の服を見にきた。
「ないね、アメリアちっちゃすぎてサイズが」
「うっ」
「普通の服を売ってるとこに行くか。動きやすけりゃ何でも良いしな」
エラの見立てで、半袖シャツ・短パン・ハイソックス・皮のブーツをそれぞれ3着ずつ購入した。
ノア達がいつも行っている防具屋に着いた。
「よう、ノアじゃねぇか。久しぶりだな」
「今日はこいつの防具を揃えに来た」
「ほう、とうとうエラも冒険者になんのか?」
「そっちじゃない、こいつだ」
ノアがミリアを指差した。
「おい、巫山戯てんのか? ウチには子供のおもちゃは置いてねぇよ」
「こいつは13歳で、冒険者登録してある」
「まじか。他の奴の言うことだったら信じねぇとこだが」
店主はミリアをジロジロ見ている。
「適当に見て回るよ。後でサイズ調整を頼む」
店主がケラケラと笑いながら、
「おう、気合入れてちっちゃくしてやるよ」
胸当てと指先の空いた籠手、肘当てと膝当てを選びサイズ調整を頼む。
「これ程小さくするのは、前にドワーフが来た時以来だな」
ノアが苦笑いして、
「そこまでじゃないだろ」
防水と衝撃を軽減する効果のついたマントを選んだ。色は、ライトブルー。
「こいつのサイズは自分で直せるか?」
「はい、大丈夫です」
「ならこのまま持って帰るか。防具は明日の朝取りに来るから、宜しくな」
「マジか、徹夜だぜ」
防具屋を出た所で、ノアが立ち止まる。
「アメリア、普段杖とかは使ってないのか?」
「はい、持ってないし必要だと思わなかったので」
「まぁな、あれだけ正確に魔法打てりゃ必要ない気もするが、ちょっと見ていくか」
武器屋でもさっきと同じやりとりが繰り広げられた。
(そんなにちっちゃいかなぁ)
「取り敢えずどれか試してみるか。気になるのがあったら、裏で試し打ち出来るからな」
ゆっくりと杖を見て回った。
(ワンドが1番軽そう。ロッドは慣れるまで取り扱いが大変そうだし、スタッフは重すぎて無理そう)
いくつかのワンドは箱に入っているが、店の隅に無造作に壺に放り込まれたワンドがあった。その中の真っ黒い杖が気になって、鑑定してみた。
【鑑定】
種類:ワンド
材質:不死鳥の羽根とアカシア
「ノアさん、これが良いです」
横から店主が声をかけた。
「そいつはやめときな。黒くて見栄えがいいだけのハンパもんだ。仕入れるときには掘り出しもんだと思ったんだがなぁ」
「アメリア?」
「これがいいです」
「取り敢えず、裏で試してみるか」
杖を持ち、小さな灯りを灯してみる。徐々大きくしてみたが、いつもより格段に魔法が扱いやすい。
「鑑定したのか?」
「はい、不死鳥の羽根とアカシアで出来てます」
「そいつは凄いな」
店に戻って、値段を聞いた。
「ん? そいつならただでくれてやるよ。何度か売れたが、使えねぇって毎回戻ってきやがる。もう、仕入れ値分は稼いだしな」
「本当に良いのか? 後で返せとか言わないか?」
「言わねぇよ。気に入ったんなら持ってけよ。冒険者になった祝いにな」
早速どこかで試してみよう。
「凄い大金です」
「少しだけ残して、後はインベントリに入れとけ。スリに狙われるぞ」
ミリアが青褪めた。
ノアとエラ、ミリアの3人は大通りを歩いている。
「いっぱい買い物できそうだね。服を買った後、武器と防具も」
冒険者用の服を見にきた。
「ないね、アメリアちっちゃすぎてサイズが」
「うっ」
「普通の服を売ってるとこに行くか。動きやすけりゃ何でも良いしな」
エラの見立てで、半袖シャツ・短パン・ハイソックス・皮のブーツをそれぞれ3着ずつ購入した。
ノア達がいつも行っている防具屋に着いた。
「よう、ノアじゃねぇか。久しぶりだな」
「今日はこいつの防具を揃えに来た」
「ほう、とうとうエラも冒険者になんのか?」
「そっちじゃない、こいつだ」
ノアがミリアを指差した。
「おい、巫山戯てんのか? ウチには子供のおもちゃは置いてねぇよ」
「こいつは13歳で、冒険者登録してある」
「まじか。他の奴の言うことだったら信じねぇとこだが」
店主はミリアをジロジロ見ている。
「適当に見て回るよ。後でサイズ調整を頼む」
店主がケラケラと笑いながら、
「おう、気合入れてちっちゃくしてやるよ」
胸当てと指先の空いた籠手、肘当てと膝当てを選びサイズ調整を頼む。
「これ程小さくするのは、前にドワーフが来た時以来だな」
ノアが苦笑いして、
「そこまでじゃないだろ」
防水と衝撃を軽減する効果のついたマントを選んだ。色は、ライトブルー。
「こいつのサイズは自分で直せるか?」
「はい、大丈夫です」
「ならこのまま持って帰るか。防具は明日の朝取りに来るから、宜しくな」
「マジか、徹夜だぜ」
防具屋を出た所で、ノアが立ち止まる。
「アメリア、普段杖とかは使ってないのか?」
「はい、持ってないし必要だと思わなかったので」
「まぁな、あれだけ正確に魔法打てりゃ必要ない気もするが、ちょっと見ていくか」
武器屋でもさっきと同じやりとりが繰り広げられた。
(そんなにちっちゃいかなぁ)
「取り敢えずどれか試してみるか。気になるのがあったら、裏で試し打ち出来るからな」
ゆっくりと杖を見て回った。
(ワンドが1番軽そう。ロッドは慣れるまで取り扱いが大変そうだし、スタッフは重すぎて無理そう)
いくつかのワンドは箱に入っているが、店の隅に無造作に壺に放り込まれたワンドがあった。その中の真っ黒い杖が気になって、鑑定してみた。
【鑑定】
種類:ワンド
材質:不死鳥の羽根とアカシア
「ノアさん、これが良いです」
横から店主が声をかけた。
「そいつはやめときな。黒くて見栄えがいいだけのハンパもんだ。仕入れるときには掘り出しもんだと思ったんだがなぁ」
「アメリア?」
「これがいいです」
「取り敢えず、裏で試してみるか」
杖を持ち、小さな灯りを灯してみる。徐々大きくしてみたが、いつもより格段に魔法が扱いやすい。
「鑑定したのか?」
「はい、不死鳥の羽根とアカシアで出来てます」
「そいつは凄いな」
店に戻って、値段を聞いた。
「ん? そいつならただでくれてやるよ。何度か売れたが、使えねぇって毎回戻ってきやがる。もう、仕入れ値分は稼いだしな」
「本当に良いのか? 後で返せとか言わないか?」
「言わねぇよ。気に入ったんなら持ってけよ。冒険者になった祝いにな」
早速どこかで試してみよう。
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