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74.みんなでチョコレートになってね
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「で、ワッツの性癖とか好みなんですけどハリーがドンピシャらしくて、そのせいで長年狙われ続けて色々酷い目にあってきたんです。もうわかっていただけたと思うんですけど⋯⋯ここにいる5人は全員それに当てはまるので『偽装工作要員』ってわけです」
「性癖?」「好み?」
「えーっと、ワッツは男なのに?」
「さっき話した『ワッツ公爵家の悪魔』が獲物として狙うのは訓練された兵士みたいな感じで見た目も良くて細マッチョの金髪翠眼男性限定なんです。
獲物を思い通りにするのに邪魔になると何でもかんでも殺⋯⋯壊しちゃいますし、獲物に確定した人も最終的には同じ運命を辿ります。怪我とかなく帰れるよう死ぬ気で頑張って下さいね」
にっこりと笑ったメリッサに『死ぬ気でって⋯⋯例えが悪すぎ』と呟いたのは誰だったのか⋯⋯。
「つまり⋯⋯さっきのチョコレートの意味ってまさか」
「ワッツに目移りしてもらうためですね。一番の好物があっても他にも気になるのがあるとなかなか決めきれなくて手がとまるじゃないですか。そうなれば危険が分散されますからみなさんには逃げながら目に留まってもらおうと思ってます」
「精神異常者の前にラッピングされて並べられる生贄の気分⋯⋯四面楚歌って言葉がこれ程ぴったりな状況ってない気がするんだけどマジでやるんですか?」
ロジャーが頭をガシガシと掻いてケニスを見つめた。
「この浜から本土までを使って毎年大人向けの遠泳大会をやってたらしいです。途中に大きな潮の流れがあるのでそこさえ乗り切れば楽勝と聞いています」
にっこりと笑ったケニスが海の向こうに見える本土を指差した。
「お見送りする暇はないんで気をつけてお帰りく⋯⋯」
「帰らないから! 最後まで手伝いますからね」
テーブルを力強く叩いたロジャーが立ち上がると、ガチャガチャと食器が音を立てカップの中身が溢れた。
「あ、ぐうっ! いったい」
「ロジャー様、『カナヅチ』ですもんねぇ」
「顔が濡れたって毎朝大騒ぎだしな」
勢いをつけすぎたロジャーが膝をぶつけたらしいがエリオットとデクスターは気にした様子もなく雇い主をディスりながら顔を見合わせて笑っていた。
赤い顔で椅子に座ったロジャーが膝をさすりながら『そうじゃねえもん』と呟いてそっぽを向いた。
(初めて会った時と別人みたい⋯⋯どれが本当のロジャー・マルティンなんだろう。その名前だって偽名かもだしね)
「今日のモーニング・グローの朝刊の一面全部を使って彼らの犯罪が掲載されてます⋯⋯ (多分成功してるはずだから確定って事で)」
マシュー・ホッグスと言う名の新聞記者と協力してモーニング・グローの一面全部を差し替えた話をするとロジャー達が何回目か分からない『ポカ~ン』の顔になった。
「朝刊の⋯⋯それ犯罪じゃ」
「顧問弁護士に確認したんですけど法的には問題ないそうです」
メリッサ達が原稿の差し替えを行えば罪に問われるがマシュー・ホッグスはモーニング・グローの正式な社員で、ここのところ閑職に押しやられてはいるが一応役職も持っている。独断で差し替えをしたことで減俸かヒラ落ちの可能性が一番高く、最も重くてもクビにするのが関の山で罪に問う事はできないらしい。
「ただ、内容がアレなんで今日の出社はドーソン弁護士同伴にしてもらいました。うち一番の護衛もつけてますし」
「ドーソンってまさか『拝辞のドーソン』だったり?」
「はい、長年モートン商会の顧問弁護士をしてくださってるんで今回も快く引き受けてくださいました」
最強執事のライルと国王の依頼さえ公の場で平然と断る『拝辞のドーソン』がいればなんの心配もいらないだろう。司法からはドーソンが守り刺客からはライルが守り抜き、反プレステア教を掲げる隣国に住処や記者としての仕事も準備してある。
「もの凄い高待遇⋯⋯完璧の守りだよね」
ロジャーの顔には『この場所とは違って羨ましい』と書かれていた。
「もしこの島で何かあれば続編にプラスしてホッグスさんが出してくれる事になってますから、結構な抑止力になるはずです」
一面の差し替えはメイルーン達への抑止力だけでなくメリッサ達の作戦が失敗した時の為にも絶対に成功させなければならなかった。
教会や国が全力で事件を隠蔽しても大衆の記憶までは操作できない。モーニング・グローの新聞はこの国最大の顧客を持ち辺境の地まで届けられている。
その情報はあっという間に他国にも届き反プレステア教を掲げる国は大喜びするかもしれない。
(メイルーンの為にサマネス枢機卿が派手に騒いでるから枢機卿潰しの格好の題材とかって思うはずだもん)
「メイルーン司教の紹介文には『サマネス枢機卿が実子として公言しているジョージ・メイルーン司教』と入れておいたんで(差し替えができてれば)利用できると思いますよ?」
(ロジャー達に少しは役得がないと申し訳ないもんね⋯⋯ランクル子爵領についても入れといたし)
「じゃあ、差し替えは王都だけじゃないってこと?」
「勿論! ケニスの仕事に抜かりはありませんからね」
差し替えの原稿が途中でストップした印刷会社にはマシュー・ホッグス次長の正式な書類を持った人が差し替えの原稿を届けるようにケニスが手配した。
新聞を読んだ教会・国・貴族が慌てて対処しても必ずどこかから内容は公になる。
「それに、ここにも助っ人が来てくれることになってるんです。このあ⋯⋯」
メリッサが話しかけた時大きな声で不満を言う声が聞こえてきた。
「ヤバい! もうそんな時間!?」
慌てて立ち上がりメリッサ達がテーブルを片付けはじめると、洋服と帽子を掴んだロジャーが木箱の陰に飛び込んだ。
「⋯⋯んだよこれ! 雑草だらけじゃないか」
「ふう、こんなに歩かされるなんて信じられん」
「俺のコートに草の染みが! 新品なんだから後で責任取れよ」
話の様子からすると文句を言っているのはモブ三人衆だろう。
無人島なんだから仕方ないと言い返すステファンの声も聞こえてきた。
(メイルーンとワッツの声がしないのは話す気がないのか機嫌が悪いのか?)
メインのメンバーはルーカスを入れて7人で戦闘要員は合計で20人、半数を乗せた船が先に出発し少し間を空けて出発する2艘目にはルーカスが乗り込むことになっている。
(上手くいけば良いんだけど⋯⋯)
砂浜に着いたのは当初の予定通りの第一陣でメイルーン達6人と8人の戦闘要員。
(メイルーンと三人衆がそれぞれ2人ずつ乗せたって感じかな。父さん⋯⋯頑張ってね)
「なあ、もう一個の船が追いかけてる気配なかったんだけど?」
「トラブルとか言ってやがったよな、ったくこれだから平民は嫌いなんだよ! 約束ひとつ守れねえとかバカなのか!?」
「性癖?」「好み?」
「えーっと、ワッツは男なのに?」
「さっき話した『ワッツ公爵家の悪魔』が獲物として狙うのは訓練された兵士みたいな感じで見た目も良くて細マッチョの金髪翠眼男性限定なんです。
獲物を思い通りにするのに邪魔になると何でもかんでも殺⋯⋯壊しちゃいますし、獲物に確定した人も最終的には同じ運命を辿ります。怪我とかなく帰れるよう死ぬ気で頑張って下さいね」
にっこりと笑ったメリッサに『死ぬ気でって⋯⋯例えが悪すぎ』と呟いたのは誰だったのか⋯⋯。
「つまり⋯⋯さっきのチョコレートの意味ってまさか」
「ワッツに目移りしてもらうためですね。一番の好物があっても他にも気になるのがあるとなかなか決めきれなくて手がとまるじゃないですか。そうなれば危険が分散されますからみなさんには逃げながら目に留まってもらおうと思ってます」
「精神異常者の前にラッピングされて並べられる生贄の気分⋯⋯四面楚歌って言葉がこれ程ぴったりな状況ってない気がするんだけどマジでやるんですか?」
ロジャーが頭をガシガシと掻いてケニスを見つめた。
「この浜から本土までを使って毎年大人向けの遠泳大会をやってたらしいです。途中に大きな潮の流れがあるのでそこさえ乗り切れば楽勝と聞いています」
にっこりと笑ったケニスが海の向こうに見える本土を指差した。
「お見送りする暇はないんで気をつけてお帰りく⋯⋯」
「帰らないから! 最後まで手伝いますからね」
テーブルを力強く叩いたロジャーが立ち上がると、ガチャガチャと食器が音を立てカップの中身が溢れた。
「あ、ぐうっ! いったい」
「ロジャー様、『カナヅチ』ですもんねぇ」
「顔が濡れたって毎朝大騒ぎだしな」
勢いをつけすぎたロジャーが膝をぶつけたらしいがエリオットとデクスターは気にした様子もなく雇い主をディスりながら顔を見合わせて笑っていた。
赤い顔で椅子に座ったロジャーが膝をさすりながら『そうじゃねえもん』と呟いてそっぽを向いた。
(初めて会った時と別人みたい⋯⋯どれが本当のロジャー・マルティンなんだろう。その名前だって偽名かもだしね)
「今日のモーニング・グローの朝刊の一面全部を使って彼らの犯罪が掲載されてます⋯⋯ (多分成功してるはずだから確定って事で)」
マシュー・ホッグスと言う名の新聞記者と協力してモーニング・グローの一面全部を差し替えた話をするとロジャー達が何回目か分からない『ポカ~ン』の顔になった。
「朝刊の⋯⋯それ犯罪じゃ」
「顧問弁護士に確認したんですけど法的には問題ないそうです」
メリッサ達が原稿の差し替えを行えば罪に問われるがマシュー・ホッグスはモーニング・グローの正式な社員で、ここのところ閑職に押しやられてはいるが一応役職も持っている。独断で差し替えをしたことで減俸かヒラ落ちの可能性が一番高く、最も重くてもクビにするのが関の山で罪に問う事はできないらしい。
「ただ、内容がアレなんで今日の出社はドーソン弁護士同伴にしてもらいました。うち一番の護衛もつけてますし」
「ドーソンってまさか『拝辞のドーソン』だったり?」
「はい、長年モートン商会の顧問弁護士をしてくださってるんで今回も快く引き受けてくださいました」
最強執事のライルと国王の依頼さえ公の場で平然と断る『拝辞のドーソン』がいればなんの心配もいらないだろう。司法からはドーソンが守り刺客からはライルが守り抜き、反プレステア教を掲げる隣国に住処や記者としての仕事も準備してある。
「もの凄い高待遇⋯⋯完璧の守りだよね」
ロジャーの顔には『この場所とは違って羨ましい』と書かれていた。
「もしこの島で何かあれば続編にプラスしてホッグスさんが出してくれる事になってますから、結構な抑止力になるはずです」
一面の差し替えはメイルーン達への抑止力だけでなくメリッサ達の作戦が失敗した時の為にも絶対に成功させなければならなかった。
教会や国が全力で事件を隠蔽しても大衆の記憶までは操作できない。モーニング・グローの新聞はこの国最大の顧客を持ち辺境の地まで届けられている。
その情報はあっという間に他国にも届き反プレステア教を掲げる国は大喜びするかもしれない。
(メイルーンの為にサマネス枢機卿が派手に騒いでるから枢機卿潰しの格好の題材とかって思うはずだもん)
「メイルーン司教の紹介文には『サマネス枢機卿が実子として公言しているジョージ・メイルーン司教』と入れておいたんで(差し替えができてれば)利用できると思いますよ?」
(ロジャー達に少しは役得がないと申し訳ないもんね⋯⋯ランクル子爵領についても入れといたし)
「じゃあ、差し替えは王都だけじゃないってこと?」
「勿論! ケニスの仕事に抜かりはありませんからね」
差し替えの原稿が途中でストップした印刷会社にはマシュー・ホッグス次長の正式な書類を持った人が差し替えの原稿を届けるようにケニスが手配した。
新聞を読んだ教会・国・貴族が慌てて対処しても必ずどこかから内容は公になる。
「それに、ここにも助っ人が来てくれることになってるんです。このあ⋯⋯」
メリッサが話しかけた時大きな声で不満を言う声が聞こえてきた。
「ヤバい! もうそんな時間!?」
慌てて立ち上がりメリッサ達がテーブルを片付けはじめると、洋服と帽子を掴んだロジャーが木箱の陰に飛び込んだ。
「⋯⋯んだよこれ! 雑草だらけじゃないか」
「ふう、こんなに歩かされるなんて信じられん」
「俺のコートに草の染みが! 新品なんだから後で責任取れよ」
話の様子からすると文句を言っているのはモブ三人衆だろう。
無人島なんだから仕方ないと言い返すステファンの声も聞こえてきた。
(メイルーンとワッツの声がしないのは話す気がないのか機嫌が悪いのか?)
メインのメンバーはルーカスを入れて7人で戦闘要員は合計で20人、半数を乗せた船が先に出発し少し間を空けて出発する2艘目にはルーカスが乗り込むことになっている。
(上手くいけば良いんだけど⋯⋯)
砂浜に着いたのは当初の予定通りの第一陣でメイルーン達6人と8人の戦闘要員。
(メイルーンと三人衆がそれぞれ2人ずつ乗せたって感じかな。父さん⋯⋯頑張ってね)
「なあ、もう一個の船が追いかけてる気配なかったんだけど?」
「トラブルとか言ってやがったよな、ったくこれだから平民は嫌いなんだよ! 約束ひとつ守れねえとかバカなのか!?」
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