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54.レオは一緒に出かけたい
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ソフィーは服で隠れている場所の全てが傷だらけで真新しい傷からは血が流れ手当てのされていない古い傷は赤く腫れ熱を持っていた。
(こんなのただの拷問じゃねえか! 近衛の奴等ただじゃおかん! 覚えてろ)
3日後、意識が戻らないままのソフィーはジョシュアの屋敷に運ばれた。
「これで少し安心ねー。熱が3日で下がって良かった」
「ああ、王宮には帝国のクソ野郎がまだ居座ってるからな」
ロニーは拘束されたが残りの2人はまだ王宮の貴賓室にいる。ヴィリアース子爵などは『自分はソフィーの婚約者だ』と言い張っているという。
「何でそうなるのか、訳がわからん。婚約したのは名を騙ったエリス達だし、夜会ではエリスに婚約破棄だと叫んだんだろ? そうでなくても奴等とソフィーは関係ないんだぞ」
「子爵はねー、親が決めた縁談なら子供は従うべきだと言い続けてるの」
「だがソフィーは既に親と縁を切ってアリシアの養子になってる」
ヴィリアース子爵は誰よりもエリスに貢いでいた。しかも博打で結構な借金を作っておりかなり悪質な貸金業者からの取り立てもある。
「だからソフィーの目が覚めたら話し合いたいって。話し合えば助けてもらえるはずって・・頭に花咲いてるわ」
ハンナとルイスが毎日のようにソフィーの見舞いに訪れた。
「さっさと目を覚まさないとチョコレート以外にコンフィチュールも買わせるわよ」
目を潤ませたハンナがルイスに肩を抱かれた。
「ソフィーの作戦が上手くいってジュードの奴がデレクにボコボコにされてる。珍しくデレクが楽しそうに報告して来てな、ソフィーに直接話したいそうだ」
ローリーはまだ見舞いに来れていないが子供達や仔犬達の様子が詳細に書かれた手紙が毎日届いている。
「サラが邪魔してるってジェシーが言ってた。ローリーの家の前を彷徨いたり仕事中にローリーが抜け出さないか監視してるんだって」
レオの屋敷を訪ねて門前払いされたサラはローリーがソフィーの見舞いに行く時に連れて行ってもらえばレオに会えると思っている。
『レオ様のお世話をして差し上げたいんですわ。ソフィーが迷惑をかけてるんですからその程度は当然ですじゃありませんか! 私が行ってお手伝いしたりご苦労を労ったりして差し上げます。きっと喜ばれますわ。レオ様もそれを待ってるんです』
ハンナはさっさとサラをクビにすればいいと思っているがローリーは、
『仕事がなくなって暇になったらレオの屋敷の前に居座る暇が出来てしまいますからね』
マシューとアリシアは王都に留まってソフィーの回復を待ち続けている。
「ソフィーの気持ちは分かっていたのに知らん顔をしていた私達の責任です。もっと早く何か手立てを考えるべきでした。そうすればこんなことには・・」
「あの時、アレを公開するべきでした」
ジョシュアの屋敷に運ばれて約1週間。漸くソフィーの意識が戻った。
「ソフィー、お帰り。よく頑張ったな」
「レオ・・髭だらけ」
レオは皺だらけのシャツとボサボサの頭。目は充血しクマができている。
「でしょー、だから言ったのよぉ。ソフィーの目が覚めた時『汚ったない盗賊』や『くっさい熊』みたいな格好してたら笑われるわよって。
ソフィー、調子はどう?」
「平気、もう少ししたら起きれると思う」
「あれから9日? 10日も寝てたのよー。無理無理、お医者さん呼んでくるねー」
最初の一言以外ソフィーの手を握ったまま黙り込んでいたレオがほんの少し笑顔を見せた。
「ソフィーが動けるようになったらピクニックに行きたい。いや、絶対連れてく」
「ピクニック?」
「ローガンに教わった」
魔王の耳が赤くなってきた。
『とおちゃんがいってたんだ! ピクニックにいってかあちゃんとこっそりちゅーしたからおれがうまれたって』
青白かったソフィーの顔に朱がさした。
「ソフィーはちっこいから嫌がっても小脇に抱えていける」
「私はそんなにちっこくない。レオが大きすぎるだけ」
「確かにな」
ジョシュアが医者と連れ立ってやって来た。
(何々この甘々な空気・・レオ兄様頑張ってるぅ! 後で聞き出さなくちゃ)
ソフィーがベッドから出られるようになるまでに2週間。庭に出る許可が医師からおりるまでに1週間。
「ねえ、歩けるから」
「午前中部屋で歩く練習したから午後は休憩だ」
「ねえ、そこで待たれると恥ずかしいんだけど」
「だったら今まで通りメイドを連れて行け。1人でいて転んだらどうする」
「ねえ、騎士修道会の休暇ってもう終わってるんじゃない」
「いや、まだ大丈夫だ」
「ジョージアナ、お願い助けて」
「うーん、ごめん。無理」
(漸く会えたと思ったらあの怪我で中々目が覚めないし。レオ兄様に話して先に助けてーって甘えといたら良かったんだけどねー。
まあ、それが出来なかった不器用なソフィーだから益々好きって感じだから良いんだけどね)
「暫く暴走するのは諦めるしかなさそう。もう大丈夫って安心したら少しは真面になると思うよ」
「はあ、レオに心配かけすぎたって反省してる」
「帝国の使者が帰ったら落ち着くからもう少しの辛抱ね」
夜風に秋の気配が混じりはじめた頃、国王からの呼び出し状がジョシュアの屋敷に届いた。
(こんなのただの拷問じゃねえか! 近衛の奴等ただじゃおかん! 覚えてろ)
3日後、意識が戻らないままのソフィーはジョシュアの屋敷に運ばれた。
「これで少し安心ねー。熱が3日で下がって良かった」
「ああ、王宮には帝国のクソ野郎がまだ居座ってるからな」
ロニーは拘束されたが残りの2人はまだ王宮の貴賓室にいる。ヴィリアース子爵などは『自分はソフィーの婚約者だ』と言い張っているという。
「何でそうなるのか、訳がわからん。婚約したのは名を騙ったエリス達だし、夜会ではエリスに婚約破棄だと叫んだんだろ? そうでなくても奴等とソフィーは関係ないんだぞ」
「子爵はねー、親が決めた縁談なら子供は従うべきだと言い続けてるの」
「だがソフィーは既に親と縁を切ってアリシアの養子になってる」
ヴィリアース子爵は誰よりもエリスに貢いでいた。しかも博打で結構な借金を作っておりかなり悪質な貸金業者からの取り立てもある。
「だからソフィーの目が覚めたら話し合いたいって。話し合えば助けてもらえるはずって・・頭に花咲いてるわ」
ハンナとルイスが毎日のようにソフィーの見舞いに訪れた。
「さっさと目を覚まさないとチョコレート以外にコンフィチュールも買わせるわよ」
目を潤ませたハンナがルイスに肩を抱かれた。
「ソフィーの作戦が上手くいってジュードの奴がデレクにボコボコにされてる。珍しくデレクが楽しそうに報告して来てな、ソフィーに直接話したいそうだ」
ローリーはまだ見舞いに来れていないが子供達や仔犬達の様子が詳細に書かれた手紙が毎日届いている。
「サラが邪魔してるってジェシーが言ってた。ローリーの家の前を彷徨いたり仕事中にローリーが抜け出さないか監視してるんだって」
レオの屋敷を訪ねて門前払いされたサラはローリーがソフィーの見舞いに行く時に連れて行ってもらえばレオに会えると思っている。
『レオ様のお世話をして差し上げたいんですわ。ソフィーが迷惑をかけてるんですからその程度は当然ですじゃありませんか! 私が行ってお手伝いしたりご苦労を労ったりして差し上げます。きっと喜ばれますわ。レオ様もそれを待ってるんです』
ハンナはさっさとサラをクビにすればいいと思っているがローリーは、
『仕事がなくなって暇になったらレオの屋敷の前に居座る暇が出来てしまいますからね』
マシューとアリシアは王都に留まってソフィーの回復を待ち続けている。
「ソフィーの気持ちは分かっていたのに知らん顔をしていた私達の責任です。もっと早く何か手立てを考えるべきでした。そうすればこんなことには・・」
「あの時、アレを公開するべきでした」
ジョシュアの屋敷に運ばれて約1週間。漸くソフィーの意識が戻った。
「ソフィー、お帰り。よく頑張ったな」
「レオ・・髭だらけ」
レオは皺だらけのシャツとボサボサの頭。目は充血しクマができている。
「でしょー、だから言ったのよぉ。ソフィーの目が覚めた時『汚ったない盗賊』や『くっさい熊』みたいな格好してたら笑われるわよって。
ソフィー、調子はどう?」
「平気、もう少ししたら起きれると思う」
「あれから9日? 10日も寝てたのよー。無理無理、お医者さん呼んでくるねー」
最初の一言以外ソフィーの手を握ったまま黙り込んでいたレオがほんの少し笑顔を見せた。
「ソフィーが動けるようになったらピクニックに行きたい。いや、絶対連れてく」
「ピクニック?」
「ローガンに教わった」
魔王の耳が赤くなってきた。
『とおちゃんがいってたんだ! ピクニックにいってかあちゃんとこっそりちゅーしたからおれがうまれたって』
青白かったソフィーの顔に朱がさした。
「ソフィーはちっこいから嫌がっても小脇に抱えていける」
「私はそんなにちっこくない。レオが大きすぎるだけ」
「確かにな」
ジョシュアが医者と連れ立ってやって来た。
(何々この甘々な空気・・レオ兄様頑張ってるぅ! 後で聞き出さなくちゃ)
ソフィーがベッドから出られるようになるまでに2週間。庭に出る許可が医師からおりるまでに1週間。
「ねえ、歩けるから」
「午前中部屋で歩く練習したから午後は休憩だ」
「ねえ、そこで待たれると恥ずかしいんだけど」
「だったら今まで通りメイドを連れて行け。1人でいて転んだらどうする」
「ねえ、騎士修道会の休暇ってもう終わってるんじゃない」
「いや、まだ大丈夫だ」
「ジョージアナ、お願い助けて」
「うーん、ごめん。無理」
(漸く会えたと思ったらあの怪我で中々目が覚めないし。レオ兄様に話して先に助けてーって甘えといたら良かったんだけどねー。
まあ、それが出来なかった不器用なソフィーだから益々好きって感じだから良いんだけどね)
「暫く暴走するのは諦めるしかなさそう。もう大丈夫って安心したら少しは真面になると思うよ」
「はあ、レオに心配かけすぎたって反省してる」
「帝国の使者が帰ったら落ち着くからもう少しの辛抱ね」
夜風に秋の気配が混じりはじめた頃、国王からの呼び出し状がジョシュアの屋敷に届いた。
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