29 / 37
29.凄いの来ました
しおりを挟む
「修道院長殿、この女の話は真ですかな?
もし本当ならば、私の教会の地下牢に飼えば良い。
少しばかり躾をしてやれば、直ぐに我らに協力する気になるでしょう」
「ミューリア司教殿の教会ですか・・いや、飼うならばわしの修道院で。
こやつを見つけたのはわしの手柄。必要な時いつでもお声をかけて頂ければ」
「随分と物騒な話をしておるようですね。サピエンチア修道院長、ミューリア司教」
「あっ、貴方はオリッシモ枢機卿。何故このような辺境に?」
オリッシモ枢機卿が複数の供を連れて部屋に入ってきた。その中にはカリタス修道士もいて、修道院長を睨んでいる。
そして一番後ろにいるのは、
(フード被ってるけどあれってライオネル王子よね)
「教会の名誉に関わる大事が起きていると連絡がきたのですよ。
今聞こえた話からすると、私が来たのは正解だったようですね」
サピエンチア修道院長が太鼓腹を揺すりながら立ち上がった。
「オリッシモ枢機卿、我々は魔女を見つけ異端審問会を開く為にここに集まりましてございます」
「ほう、審問官はどこにおられるのかな?」
「そっそれは、到着が遅れておりまして」
「審問官がいないのに異端審問会を開くのですかな?」
ミューリア司教も立ち上がり、
「この魔女はとても危険なのです。時間の猶予を与えるとどの様な被害が出るか想像もつきません」
「オリッシモ枢機卿様、少し私の意見を述べさせて頂いても宜しいでしょうか?」
「勿論だとも」
「私が魔女だとこの方々に言われている理由は、修道院長殿の治せなかった病を私が治したからでございます。
そこで、私の医学知識が魔女の使う妖なのか正しい医療行為なのか、専門家に判断していただくと言うのは如何でしょうか?」
「それは面白いですね。魔女裁判には不確かな所があり憂慮している案件です。
アンドリュー医師、如何ですかな?
彼はサレルノ医学校の教授なので、審判して頂くのに相応しいのでは?」
「さっサレルノはいけません! この女はサレルノの出身です」
「サピエンチア修道院長は、この女性がサレルノ医学校を卒業した医師だと認めておられるのですね」
「いや、ちっ違います。この女がそのように経歴を詐称しただけで」
「お久しぶりです。アンドリュー教授」
「直接会うのは二年ぶりだね。君からのコンシリウムはとても有益だから、また送ってくれるのを楽しみにしているよ」
「ありがとうございます。これからも宜しくお願いします」
「騙されるな! こやつは魔女だ。
オリッシモ枢機卿、こやつは正真正銘の魔女ですぞ。そこの医者も幻惑魔法にかかっておるのです」
オリッシモ枢機卿が眉間に皺を寄せた。
「アンドリュー医師の言葉が信用できないと?」
「その通りです。其奴もこの女とグルやもしれませんぞ」
「聞き捨てなりませんね。アンドリュー医師は私の甥に当たります。彼を疑うのは私を疑う事と同じだと心得てください」
もし本当ならば、私の教会の地下牢に飼えば良い。
少しばかり躾をしてやれば、直ぐに我らに協力する気になるでしょう」
「ミューリア司教殿の教会ですか・・いや、飼うならばわしの修道院で。
こやつを見つけたのはわしの手柄。必要な時いつでもお声をかけて頂ければ」
「随分と物騒な話をしておるようですね。サピエンチア修道院長、ミューリア司教」
「あっ、貴方はオリッシモ枢機卿。何故このような辺境に?」
オリッシモ枢機卿が複数の供を連れて部屋に入ってきた。その中にはカリタス修道士もいて、修道院長を睨んでいる。
そして一番後ろにいるのは、
(フード被ってるけどあれってライオネル王子よね)
「教会の名誉に関わる大事が起きていると連絡がきたのですよ。
今聞こえた話からすると、私が来たのは正解だったようですね」
サピエンチア修道院長が太鼓腹を揺すりながら立ち上がった。
「オリッシモ枢機卿、我々は魔女を見つけ異端審問会を開く為にここに集まりましてございます」
「ほう、審問官はどこにおられるのかな?」
「そっそれは、到着が遅れておりまして」
「審問官がいないのに異端審問会を開くのですかな?」
ミューリア司教も立ち上がり、
「この魔女はとても危険なのです。時間の猶予を与えるとどの様な被害が出るか想像もつきません」
「オリッシモ枢機卿様、少し私の意見を述べさせて頂いても宜しいでしょうか?」
「勿論だとも」
「私が魔女だとこの方々に言われている理由は、修道院長殿の治せなかった病を私が治したからでございます。
そこで、私の医学知識が魔女の使う妖なのか正しい医療行為なのか、専門家に判断していただくと言うのは如何でしょうか?」
「それは面白いですね。魔女裁判には不確かな所があり憂慮している案件です。
アンドリュー医師、如何ですかな?
彼はサレルノ医学校の教授なので、審判して頂くのに相応しいのでは?」
「さっサレルノはいけません! この女はサレルノの出身です」
「サピエンチア修道院長は、この女性がサレルノ医学校を卒業した医師だと認めておられるのですね」
「いや、ちっ違います。この女がそのように経歴を詐称しただけで」
「お久しぶりです。アンドリュー教授」
「直接会うのは二年ぶりだね。君からのコンシリウムはとても有益だから、また送ってくれるのを楽しみにしているよ」
「ありがとうございます。これからも宜しくお願いします」
「騙されるな! こやつは魔女だ。
オリッシモ枢機卿、こやつは正真正銘の魔女ですぞ。そこの医者も幻惑魔法にかかっておるのです」
オリッシモ枢機卿が眉間に皺を寄せた。
「アンドリュー医師の言葉が信用できないと?」
「その通りです。其奴もこの女とグルやもしれませんぞ」
「聞き捨てなりませんね。アンドリュー医師は私の甥に当たります。彼を疑うのは私を疑う事と同じだと心得てください」
0
お気に入りに追加
208
あなたにおすすめの小説
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
残念ながら現実です
稲瀬 薊
恋愛
離婚した姉ルドヴィカが戻ってきて半年、アリアンネに突然の婚約の申し出がきた。
相手は同じ爵位のフロリアン・リーゲル。彼とは一切の接点は無かったはずだが、彼はアリアンネに一目惚れしたと告げる。
ひとまず婚約を検討すると保留にして彼の本当の目的を探るとーーどうやらフロリアンはルドヴィカの不貞相手の可能性が出てきた。
平凡なアリアンネを隠れ蓑にしようと彼等は計画しているようだが、しかしアリアンネはただの令嬢ではなくて……?
どうせ結末は変わらないのだと開き直ってみましたら
風見ゆうみ
恋愛
「もう、無理です!」
伯爵令嬢である私、アンナ・ディストリーは屋根裏部屋で叫びました。
男の子がほしかったのに生まれたのが私だったという理由で家族から嫌われていた私は、密かに好きな人だった伯爵令息であるエイン様の元に嫁いだその日に、エイン様と実の姉のミルーナに殺されてしまいます。
それからはなぜか、殺されては子どもの頃に巻き戻るを繰り返し、今回で11回目の人生です。
何をやっても同じ結末なら抗うことはやめて、開き直って生きていきましょう。
そう考えた私は、姉の機嫌を損ねないように目立たずに生きていくことをやめ、学園生活を楽しむことに。
学期末のテストで1位になったことで、姉の怒りを買ってしまい、なんと婚約を解消させられることに!
これで死なずにすむのでは!?
ウキウキしていた私の前に元婚約者のエイン様が現れ――
あなたへの愛情なんてとっくに消え去っているんですが?
料理人がいく!
八神
ファンタジー
ある世界に天才料理人がいた。
↓
神にその腕を認められる。
↓
なんやかんや異世界に飛ばされた。
↓
ソコはレベルやステータスがあり、HPやMPが見える世界。
↓
ソコの食材を使った料理を極めんとする事10年。
↓
主人公の住んでる山が戦場になる。
↓
物語が始まった。
【試作】聖女の記憶は消し去った~婚約を破棄されたので、私は去ることを決めました~
キョウキョウ
恋愛
ある日、婚約相手のエリック王子から呼び出さた聖女ノエラ。
パーティーが行われている会場の中央、貴族たちが注目する場所に立たされたノエラは、エリック王子から婚約を破棄された。
さらにエリック王子は、ノエラが聖女には相応しくないと告げた後、一緒に居た女神官エリーゼを新たな聖女にすると宣言。
そんなことを言われたので、ノエラは計画を実行することに決めた。
この王国から、聖女ノエラに関する記憶を全て消し去るという計画を。
こうしてノエラは人々の記憶から消え去り、自由を得るのだった。
※本作品は試作版です。完成版として書く前に、とりあえず思いつきで気楽に書いています。
※試作なので、途中で内容を大きく変更したり、事前の予告なく非公開にすることがあります。ご了承ください。
※不定期投稿です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
【完結】悪役令嬢に群がるヒロイン親衛隊! 虐めて欲しいと言われても、そんな趣味はございません
との
恋愛
ヒロイン親衛隊が何故か私の周りを彷徨いてる。
えっ? いじめて欲しい?
蔑んで欲しい?
踏んづけてって・・
お陰で私の婚約者がドン引きしてるじゃないですか?
ヒロイン、違うとこでハーレム作って何してるの? 働こうよ、お願い。
ーーーーーー
完結迄予約済みです。
特に際立った変態は出てきません。微笑ましい変態達だと・・
R15は念の為
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
転移先は薬師が少ない世界でした
饕餮
ファンタジー
★この作品は書籍化及びコミカライズしています。
神様のせいでこの世界に落ちてきてしまった私は、いろいろと話し合ったりしてこの世界に馴染むような格好と知識を授かり、危ないからと神様が目的地の手前まで送ってくれた。
職業は【薬師】。私がハーブなどの知識が多少あったことと、その世界と地球の名前が一緒だったこと、もともと数が少ないことから、職業は【薬師】にしてくれたらしい。
神様にもらったものを握り締め、ドキドキしながらも国境を無事に越え、街でひと悶着あったから買い物だけしてその街を出た。
街道を歩いている途中で、魔神族が治める国の王都に帰るという魔神族の騎士と出会い、それが縁で、王都に住むようになる。
薬を作ったり、ダンジョンに潜ったり、トラブルに巻き込まれたり、冒険者と仲良くなったりしながら、秘密があってそれを話せないヒロインと、ヒロインに一目惚れした騎士の恋愛話がたまーに入る、転移(転生)したヒロインのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる