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16.焦るリリアーナ ざまぁ その四
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「ルーカス様と初めてお会いしたのって何時だったのですか?」
「学園入る前よ! それから三年間ずっと仲良しだったんだからね」
「・・エマーソン様、そう言うのは幼馴染とは言いません。良く本をお読みになった方が宜しいかと。
さて、そろそろお終いに致しましょう」
「また私の事そうやって馬鹿にして! 絶対後悔する事になるんだから。
傷物令嬢になって、この先行き遅れのババアになる未来しかないくせに!」
「リリアーナについてはなんの心配もいらないよ。リリアーナが婚約破棄されると聞いて慌てて帰国したんだ」
大勢の中で一人ルーカス達に立ち向かっていた時でさえ、沈着冷静な態度を崩さなかったリリアーナが声を張り上げた。
「がっ学園長、エマーソン嬢をお願い致します。学園の正門に騎士団の方に待機して頂いておりますので」
「なんと! リリアーナ様ありがとうございます。ジェシカ・エマーソンを拘束して連行しろ」
学園の警備隊が暴れるジェシカを拘束して連行していった。会場内には、
(漸く終わった)
と言うほっとした雰囲気が流れ、小声で会話する声も聞こえてきはじめた。
エリオットとシエナは雛壇の上で、座り込んだままのルーカスに話しかけた。
「ルーカス、立って皆様に謝罪するんだ」
「もう終わりだ。僕なんて・・」
「終わりだからこそきちんとケジメをつけるんだ。男として人として」
真っ赤に泣き腫らした目をしたルーカスはゆっくりと立ち上がり、
「リリアーナ・・リリアーナ様、そして会場の皆様。
この度は大変・・申し訳ありませんでした。・・大切な記念のパーティーを台無しにしてしまった事・・勘違いから思い上がって・・騒ぎを起こして・・もっ申し訳ありませんでした」
深く頭を下げたルーカスと同じく、エリオットとシエナの二人が頭を下げていた。
「リリアーナ、最後に私からみんなに少し話しても良いかな?」
「・・王子殿下の“常識” を信じても宜しければ」
リリアーナに笑いかけたリアムは正面に向き直り、
「長い時間付き合ってくれた事を感謝する。近年今回と似た様なケースが他国でも起きていて、問題視されている。
後続の者達の為に、二度とこの様な問題が起こらない様に己と周りの立場をもう一度考えてみて欲しい。
今回の詫びと言っては烏滸がましいが、近々夜会を開きたいと考えているので卒業パーティーの仕切り直しと思い参加して貰えたら嬉しい。
今夜、残り少ない時間になってしまったが楽しんでいってくれ」
楽団が演奏をはじめたが、誰もが居心地悪そうに顔を見合わせていた。
雛壇から降りてきたリアムが、
「リリアーナ、私とファーストダンスを踊ってくれるかな?」
差し出されたリアムの右手を見つめるリリアーナの眉間には、淑女らしくない皺が寄っている。
「殿下、それはあまり宜しくないと・・」
「時間をかければかけるほど注目を集めてしまうけど良いのかい? 私はちっとも構わないんだけど」
渋々リアムの右手に手を乗せたリリアーナは会場の中央へ。
二人が踊り始め、マチルダ達が出て来ると少しずつダンスを始める人が増えてきた。
「えーっと、まさか?」
「私は聞いていた。散々リアムから愚痴られていたからね」
ジュードの呟きにマチルダが顔を上げた。
「ジュード酷い、なんで教えてくれなかったの?」
「男同士の友情かな? マチルダの手紙にリリアーナが婚約破棄されそうだって書いてあっただろ?
それを伝えた途端、リアムは慌てて帰国の準備をはじめたんだ」
「リリアーナ、いつリアム王子殿下と知り合ったのかしら?
リアム王子殿下は確か九年以上留学しておられたんじゃなかった? その間殆ど帰国されてなかった気がするんだけど」
「かなり面白い話だから本人から聞くといい。当分笑える」
「もしかしてだけど、エリオット様より凄くない?」
「影を使ってたのはやっぱり引くよな」
「まさか、危ない人?」
「学園入る前よ! それから三年間ずっと仲良しだったんだからね」
「・・エマーソン様、そう言うのは幼馴染とは言いません。良く本をお読みになった方が宜しいかと。
さて、そろそろお終いに致しましょう」
「また私の事そうやって馬鹿にして! 絶対後悔する事になるんだから。
傷物令嬢になって、この先行き遅れのババアになる未来しかないくせに!」
「リリアーナについてはなんの心配もいらないよ。リリアーナが婚約破棄されると聞いて慌てて帰国したんだ」
大勢の中で一人ルーカス達に立ち向かっていた時でさえ、沈着冷静な態度を崩さなかったリリアーナが声を張り上げた。
「がっ学園長、エマーソン嬢をお願い致します。学園の正門に騎士団の方に待機して頂いておりますので」
「なんと! リリアーナ様ありがとうございます。ジェシカ・エマーソンを拘束して連行しろ」
学園の警備隊が暴れるジェシカを拘束して連行していった。会場内には、
(漸く終わった)
と言うほっとした雰囲気が流れ、小声で会話する声も聞こえてきはじめた。
エリオットとシエナは雛壇の上で、座り込んだままのルーカスに話しかけた。
「ルーカス、立って皆様に謝罪するんだ」
「もう終わりだ。僕なんて・・」
「終わりだからこそきちんとケジメをつけるんだ。男として人として」
真っ赤に泣き腫らした目をしたルーカスはゆっくりと立ち上がり、
「リリアーナ・・リリアーナ様、そして会場の皆様。
この度は大変・・申し訳ありませんでした。・・大切な記念のパーティーを台無しにしてしまった事・・勘違いから思い上がって・・騒ぎを起こして・・もっ申し訳ありませんでした」
深く頭を下げたルーカスと同じく、エリオットとシエナの二人が頭を下げていた。
「リリアーナ、最後に私からみんなに少し話しても良いかな?」
「・・王子殿下の“常識” を信じても宜しければ」
リリアーナに笑いかけたリアムは正面に向き直り、
「長い時間付き合ってくれた事を感謝する。近年今回と似た様なケースが他国でも起きていて、問題視されている。
後続の者達の為に、二度とこの様な問題が起こらない様に己と周りの立場をもう一度考えてみて欲しい。
今回の詫びと言っては烏滸がましいが、近々夜会を開きたいと考えているので卒業パーティーの仕切り直しと思い参加して貰えたら嬉しい。
今夜、残り少ない時間になってしまったが楽しんでいってくれ」
楽団が演奏をはじめたが、誰もが居心地悪そうに顔を見合わせていた。
雛壇から降りてきたリアムが、
「リリアーナ、私とファーストダンスを踊ってくれるかな?」
差し出されたリアムの右手を見つめるリリアーナの眉間には、淑女らしくない皺が寄っている。
「殿下、それはあまり宜しくないと・・」
「時間をかければかけるほど注目を集めてしまうけど良いのかい? 私はちっとも構わないんだけど」
渋々リアムの右手に手を乗せたリリアーナは会場の中央へ。
二人が踊り始め、マチルダ達が出て来ると少しずつダンスを始める人が増えてきた。
「えーっと、まさか?」
「私は聞いていた。散々リアムから愚痴られていたからね」
ジュードの呟きにマチルダが顔を上げた。
「ジュード酷い、なんで教えてくれなかったの?」
「男同士の友情かな? マチルダの手紙にリリアーナが婚約破棄されそうだって書いてあっただろ?
それを伝えた途端、リアムは慌てて帰国の準備をはじめたんだ」
「リリアーナ、いつリアム王子殿下と知り合ったのかしら?
リアム王子殿下は確か九年以上留学しておられたんじゃなかった? その間殆ど帰国されてなかった気がするんだけど」
「かなり面白い話だから本人から聞くといい。当分笑える」
「もしかしてだけど、エリオット様より凄くない?」
「影を使ってたのはやっぱり引くよな」
「まさか、危ない人?」
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