5 / 14
5.転生者がもう一人
しおりを挟む
教室の入り口で別れた後、ジェイムズは自分のクラスへ向かった。
ジェイムズは最高学年の3年生で、ハリエットは今年入学したばかりの1年生。
校舎が違う2人は廊下ですれ違うこともないが、今日もお昼は一緒に食堂へ行く約束になっている。
今日の3時限目と4時限目は体育の授業の為、2時限目の授業が終わるとすぐ体育館横の更衣室に行ったが、更衣室の中が妙に騒がしい。
「えーっ、何でもありませんってばぁ。ちょっと転びそうになってぇ、手が当たっただけじゃないですかぁ」
「でっでも、ギュッて。ギュッてしましたでしょう?」
「それは、転びかけたからぁ。力が入ってぇ」
ルーシーが青い顔をして、仲良しシスターズの一人に必死で言い訳していた。
「暴行を受けたと学園に報告致しますわ。いいえ、平民から酷い辱めを受けたと」
元々仲良しシスターズはルーシーの事を酷く嫌っていた。
平民のくせにSクラスにいて、多くの取り巻き? 仲間といるのが気に入らないらしい。
「辱めぇ? 誰がそんなちっぱ・・あっ、いや、その」
一瞬顔を引き攣らせて言い返しかけたルーシーは、慌てて口を閉ざした。
(ちっぱ○? ルーシーも転生者なの?)
ハリエットは勇気を奮って声をかけた。
「あの、何があったのでしょうか?」
近くにいた女生徒が親切に教えてくれた。
「ルーシーさんがよろけて、ミディア様のお胸に触ってしまいましたの。
ルーシーさんはわざとじゃないって仰ってるのですが、ミディア様が酷くお怒りで」
『うっかり』なのは間違い無いと思う。なぜなら、ハリエットの予想が正しければルーシーはかなりの巨○好きのはず。
周りに侍らせている女子生徒達は皆、立派な持ち物をお持ちの方ばかりだし、ルーシーが時折熱く見つめている女生徒は、クラスでも一番のサイズを誇っている。
ちっぱ○ズ・・ではなく仲良しシスターズがルーシーを嫌っているのは、その辺りに劣等感を感じているのもあるかも知れないと言うのがハリエットの予想だ。
勿論ルーシーの持ち物もご立派なので、ハリエットにとってはちょっと羨ましい。
クラスの中で一番高位のハリエットにみんなの期待が高まっているのをひしひしと感じ、ハリエットは顔が青褪めて行く。
大きく息を吸って、必死の覚悟で口を開いた。
「ルーシーさんは謝っておられるのでしょう?」
案の定、緊張して顔を引き攣らせているハリエットを見た女生徒達は、
「ハリエット様が怒ってらっしゃるわ」
「こんな些細な事で? って仰ってるのよね」
(きっ、緊張してるだけなのに)
ルーシーがハリエットの背後に走り込み、ガシッと両肩を掴んだ。
(痛い! 凄い力)
思わず眉間に皺を寄せたハリエットは、女生徒達には益々機嫌が悪くなったように見えたらしい。
「ほっほら、ハリエット様もこう仰っておられますし。ねっ?」
ジェイムズは最高学年の3年生で、ハリエットは今年入学したばかりの1年生。
校舎が違う2人は廊下ですれ違うこともないが、今日もお昼は一緒に食堂へ行く約束になっている。
今日の3時限目と4時限目は体育の授業の為、2時限目の授業が終わるとすぐ体育館横の更衣室に行ったが、更衣室の中が妙に騒がしい。
「えーっ、何でもありませんってばぁ。ちょっと転びそうになってぇ、手が当たっただけじゃないですかぁ」
「でっでも、ギュッて。ギュッてしましたでしょう?」
「それは、転びかけたからぁ。力が入ってぇ」
ルーシーが青い顔をして、仲良しシスターズの一人に必死で言い訳していた。
「暴行を受けたと学園に報告致しますわ。いいえ、平民から酷い辱めを受けたと」
元々仲良しシスターズはルーシーの事を酷く嫌っていた。
平民のくせにSクラスにいて、多くの取り巻き? 仲間といるのが気に入らないらしい。
「辱めぇ? 誰がそんなちっぱ・・あっ、いや、その」
一瞬顔を引き攣らせて言い返しかけたルーシーは、慌てて口を閉ざした。
(ちっぱ○? ルーシーも転生者なの?)
ハリエットは勇気を奮って声をかけた。
「あの、何があったのでしょうか?」
近くにいた女生徒が親切に教えてくれた。
「ルーシーさんがよろけて、ミディア様のお胸に触ってしまいましたの。
ルーシーさんはわざとじゃないって仰ってるのですが、ミディア様が酷くお怒りで」
『うっかり』なのは間違い無いと思う。なぜなら、ハリエットの予想が正しければルーシーはかなりの巨○好きのはず。
周りに侍らせている女子生徒達は皆、立派な持ち物をお持ちの方ばかりだし、ルーシーが時折熱く見つめている女生徒は、クラスでも一番のサイズを誇っている。
ちっぱ○ズ・・ではなく仲良しシスターズがルーシーを嫌っているのは、その辺りに劣等感を感じているのもあるかも知れないと言うのがハリエットの予想だ。
勿論ルーシーの持ち物もご立派なので、ハリエットにとってはちょっと羨ましい。
クラスの中で一番高位のハリエットにみんなの期待が高まっているのをひしひしと感じ、ハリエットは顔が青褪めて行く。
大きく息を吸って、必死の覚悟で口を開いた。
「ルーシーさんは謝っておられるのでしょう?」
案の定、緊張して顔を引き攣らせているハリエットを見た女生徒達は、
「ハリエット様が怒ってらっしゃるわ」
「こんな些細な事で? って仰ってるのよね」
(きっ、緊張してるだけなのに)
ルーシーがハリエットの背後に走り込み、ガシッと両肩を掴んだ。
(痛い! 凄い力)
思わず眉間に皺を寄せたハリエットは、女生徒達には益々機嫌が悪くなったように見えたらしい。
「ほっほら、ハリエット様もこう仰っておられますし。ねっ?」
11
お気に入りに追加
457
あなたにおすすめの小説
ヒロインでも悪役でもない…モブ?…でもなかった
callas
恋愛
お互いが転生者のヒロインと悪役令嬢。ヒロインは悪役令嬢をざまぁしようと、悪役令嬢はヒロインを返り討ちにしようとした最終決戦の卒業パーティー。しかし、彼女は全てを持っていった…
伯爵令嬢に転生したんだが、でっち上げで婚約破棄された。
ほったげな
恋愛
好きな乙女ゲームの登場キャラである伯爵令嬢のセレスティーヌに転生した私。しかし、いじめをしていたという理由で、婚約者から婚約破棄を言い渡された。
光の王太子殿下は愛したい
葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。
わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。
だが、彼女はあるときを境に変わる。
アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。
どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。
目移りなどしないのに。
果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!?
ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。
☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
追放済みの悪役令嬢に何故か元婚約者が求婚してきた。
見丘ユタ
恋愛
某有名乙女ゲームの悪役令嬢、イザベラに転生した主人公は、断罪イベントも終わり追放先で慎ましく暮らしていた。
そこへ元婚約者、クロードがやって来てイザベラに求婚したのだった。
醜い私を救ってくれたのはモフモフでした ~聖女の結界が消えたと、婚約破棄した公爵が後悔してももう遅い。私は他国で王子から溺愛されます~
上下左右
恋愛
聖女クレアは泣きボクロのせいで、婚約者の公爵から醜女扱いされていた。だが彼女には唯一の心の支えがいた。愛犬のハクである。
だがある日、ハクが公爵に殺されてしまう。そんな彼女に追い打ちをかけるように、「醜い貴様との婚約を破棄する」と宣言され、新しい婚約者としてサーシャを紹介される。
サーシャはクレアと同じく異世界からの転生者で、この世界が乙女ゲームだと知っていた。ゲームの知識を利用して、悪役令嬢となるはずだったクレアから聖女の立場を奪いに来たのである。
絶望するクレアだったが、彼女の前にハクの生まれ変わりを名乗る他国の王子が現れる。そこからハクに溺愛される日々を過ごすのだった。
一方、クレアを失った王国は結界の力を失い、魔物の被害にあう。その責任を追求され、公爵はクレアを失ったことを後悔するのだった。
本物語は、不幸な聖女が、前世の知識で逆転劇を果たし、モフモフ王子から溺愛されながらハッピーエンドを迎えるまでの物語である。
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
婚約破棄の『めでたしめでたし』物語
サイトウさん
恋愛
必ず『その後は、国は栄え、2人は平和に暮らしました。めでたし、めでたし』で終わる乙女ゲームの世界に転生した主人公。
この物語は本当に『めでたしめでたし』で終わるのか!?
プロローグ、前編、中篇、後編の4話構成です。
貴族社会の恋愛話の為、恋愛要素は薄めです。ご期待している方はご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる