117 / 126
104.ゴン太は食わねど高楊枝
しおりを挟む
レヴィアタンが浮上をやめて海底に方向転換するたびに、氷の槍が撃ち込まれ否応なしに海面に顔を出した。
「きたきたきたぁぁ! ルイスのガチガチ強力チェインのチャーンス!」
バチャーン! ドゴゴゴ⋯⋯
レヴィアタンが起こした高波が遠くに見える陸地に向かいはじめた。高波が向かう方向には小さな漁村が点在し、このまま高波が村々を蹂躙すれば、チリ一つ残さず流されてしまうのは間違いない。
ジルベルトの風魔法が、スピードを上げて陸に向かう高波を空高く巻き上げ、スコールのように降り注いだ。
「さーて、こっちはレヴィちゃんのお肉ゲットするぞ。ベビちゃん、待ってろよぉぉ、せえの! うりゃぁぁ」
ジルベルトのチェインは網のようにレヴィアタンの全身を拘束しているが、その隙から見える盾のような鱗の間を狙って、雷魔法を撃ち込んだ。
グオォォォン! ムォーン!
派手な水飛沫を上げながら、くぐもった悲鳴をあげたレヴィアタンが、ロクサーナに向けて無理矢理口を開け⋯⋯。
「「させるかぁ!」」
ジルベルトの風魔法が暴れるレヴィアタンの動きを止めた瞬間、ロクサーナの雷魔法が開きかけた口から尾まで突き抜けた。
「面倒だから血抜きとか皮剥ぎとかして帰る?」
「いや、このままの方がみんな盛り上がりそうじゃないか?」
「そう言えばそうだね~、レヴィアタンの丸焼きとかできたら面白そう」
【俺は生! 踊り食いしたかった】
【ピッピは~、炙り焼き~】
僕は私はと好みの料理方法を口にしながら、ブクブクと沈みはじめたレヴィアタンを異空間に収納して島に転移した。
「みんな! お土産だよ~、今日のメインディッシュはぁ、ドドーン! レヴィアタンで~す」
ドラベビーのお祝いなので、真っ先に山のてっぺんに持って行くと、ゴン太が大騒ぎしはじめた。
【レヴィアタンを討伐した人間は世界初だよ! 凄えぇぇ、本物初めて見たぁぁ。ベビちゃん、コレが世界最強の怪物だよ~。んで、めちゃくちゃ美味いらしい。
ドラ美ママとベビちゃんの分を下さいしようね】
【ピィッ⋯⋯おいちい、くだたい】
「勿論だよ~、解体したらゴン太の分も合わせて持ってくるから、楽しみにしててねね~」
山のような大きさのレヴィアタンなら、島の全員の口に入るくらいのお肉になるはず。
(世界初かぁ⋯⋯めちゃめちゃ楽しみ~)
【【⋯⋯ぎゃあ! 鯨ぁぁ】】
【でっけえ】
【うっわぁ硬い! 父ちゃん、この皮剥ける? ドワーフの武器でも難しいんじゃないんね?】
この言葉でドワーフ達の鍛治師魂に火がついたのは言うまでもない。
おじさんドワーフ達が自慢の武器を家から持ち出して、誰の切れ味が一番か勝負がはじまった。
【レヴィアタンの皮は伝説なんじゃけん、粉々にしたらダメじゃけんね!】
早く綺麗に剥いだオッサンが優勝と決まり、勝者には東の国で発見した『紹興酒』がプレゼントされる事になった。
【おっしゃあ! 初めての酒はわしのモンじゃあ!】
【ワシが貰うけん、紹興酒ちゃん、待っとれよー】
「甕で買ってきてるんだけど、上澄みがおすすめなんだって。みんな頑張れ~!」
酒好きには堪らない情報が出てきて、人生最高かと思うほどの集中力を見せるドワーフ達。その健闘を見ながら、料理の準備が進められていく。
【紹興酒言う酒は、上と下でそんなに違うもんなん?】
甕出し紹興酒は空気に触れる面が大きく、量が多いのですぐには無くならない。そのため、減っていく過程で劣化が進んでいくと言うのだが、ドワーフ達にかかれば甕の一つや二つ、すぐに空になりそうな気がする。
「詐欺じゃないからね! 甕を開けた直後にふわっと上がってくる香りは格別だって言うから、許してくれるよね?」
甕出し紹興酒は石膏で固められている蓋を叩いて壊し、竹の皮・素焼きの蓋・ロウ油の塗られた紙・蓮の葉をゆっくりはがす。
その工程を楽しんでもらうだけでも、優勝した甲斐があるはず。
解体したお肉は生や炙りで楽しみ、空になった紹興酒の甕は優勝者の家の前に飾られる事になった。
ドラゴンファミリーはもちろん生で食べたそうだが⋯⋯。
【ピィッ⋯⋯とうちゃ、おかありほちいの】
【ぼ、僕のをあげるからね⋯⋯えっ、いや、ドラ美ママは全部食べて良いからね! 僕はもう十分だから。この木を齧って歯の手入れを⋯⋯】
泣く泣く自分のお肉を息子に捧げたゴン太をちょっぴり見直した。
急成長するドラベビーの名前は『ケルル』に決まったそう。
【ゴン太のネーミングセンスのなさに、親戚のクロケルが呆れちゃってね、ゴリ押ししてきたの。ベビちゃんも気に入ったみたいだから、良いかなって】
(ケルルの先生をするって言って、闇の悪魔クロケルがきちゃったのは驚きだけど、ドワーフの子供達まで集めて学校をはじめるとか、結構面倒見が良くて嬉しいかも)
「意外なとこで異種族共存が成り立って良き良き」
クロケルは銀の髪と金色の猫のような目を持つ悪魔の一柱。黒衣を纏い決して溶けることのない氷の剣を持って突然現れた。
【我の血筋に優秀な子が産まれたらしいな。芸術を好み幾何学や教養学に長け、科学全般にも詳しい我が知恵を授けてやろうぞ】
【あ! 浴槽公爵じゃ】
【浴槽公爵言うたらいけんのんで】
【ピイッ⋯⋯おくと、こうちゃくん? こうちゃくん、こななちあでちゅ】
【おじちゃんの事は先生と呼びなさい。こ、こうちゃくんは可愛いが、可愛いがぁぁ⋯⋯捨てがたい呼び名だが、先生だからね、上手に言えるかな?】
【ピイッ⋯⋯うーん、こたくん?】
【ううっ、ますます可愛く⋯⋯ならこた先生にするか? いや、クロケル先生の予定だったし⋯⋯ケルルならなんでも許して⋯⋯ドワーフの子供達までなら、許せる。『こうちゃ』でも『こた』でもなんでも構わん⋯⋯。
ゴホン! ま、まずは算数からな、1足す1は分かるかな? えっ、分かんない?
えーっと、パパとママがいるよね。なら何匹になるかな?】
【ピイッ⋯⋯かどくぅ】
【て、哲学か!】
(そのお陰でこれからはお買い物できるようになるし、お釣りの計算も完璧! 良いことずくめじゃん)
ゴン太パパを籠絡しドワーフの子供達と一緒に世界中を飛び回るケルルは、常識を無視して遊んでいるらしく、ドラ美の溜め息で山の木々が薙ぎ倒されていく。
【ホントにどうしようかしら。元気なのは嬉しいんだけど、ヤンチャすぎて困ってるの】
人や町に迷惑をかけるわけではないが、突然ドラゴンが現れただけでパニックになるのは当然の事。
その上、気に入ったものを見つけるとドワーフを咥えたケルルが町に降りて、堂々と買い物をするらしい。
【ちゃんとお金は払ってるし、物も壊してない⋯⋯そこは安心してるんだけど】
パニックになって商人が逃げ出すと、商品の代わりにちゃんとお金を置いていく。
ごくたまに無謀な者がドワーフを捕まえようとすると、ケルルが氷漬けにする。ケルルを捕まえようとする者が出ると、ゴン太が空から威嚇の火を吐く。
今では、世界の共通認識⋯⋯ドワーフを虐めたらドラゴンに殺られる!!
「うーん、ドワーフがこの世界で生きていきやすくなってるかもだから、良いんじゃないかな」
昔のように⋯⋯武器目当てで拉致監禁される心配がなくなれば、ドワーフ達は自由に暮らしていけるのだから。
ドラ美の一番の心配は、ケルル達のせいでドラゴン討伐隊ができる事だろう。
「もう少ししたらみんな慣れてくると思うし、もしもの時は私とルイスが討伐隊をケチョンケチョンにしちゃうからね~」
【出先で何かあれば、俺達がケルル達を島に転移させる】
ケルルからお兄ちゃんとお姉ちゃんに認定された、ミュウ達全員の鼻息が荒い。
「ケルルに何かあったら、ミュウ達だけじゃなくクロケルまで飛び出していきそうで怖いけどね。そうなる前に手を打たないと⋯⋯」
最強で最恐のケルルの護衛陣に、ジルベルトの不安は尽きない。
「きたきたきたぁぁ! ルイスのガチガチ強力チェインのチャーンス!」
バチャーン! ドゴゴゴ⋯⋯
レヴィアタンが起こした高波が遠くに見える陸地に向かいはじめた。高波が向かう方向には小さな漁村が点在し、このまま高波が村々を蹂躙すれば、チリ一つ残さず流されてしまうのは間違いない。
ジルベルトの風魔法が、スピードを上げて陸に向かう高波を空高く巻き上げ、スコールのように降り注いだ。
「さーて、こっちはレヴィちゃんのお肉ゲットするぞ。ベビちゃん、待ってろよぉぉ、せえの! うりゃぁぁ」
ジルベルトのチェインは網のようにレヴィアタンの全身を拘束しているが、その隙から見える盾のような鱗の間を狙って、雷魔法を撃ち込んだ。
グオォォォン! ムォーン!
派手な水飛沫を上げながら、くぐもった悲鳴をあげたレヴィアタンが、ロクサーナに向けて無理矢理口を開け⋯⋯。
「「させるかぁ!」」
ジルベルトの風魔法が暴れるレヴィアタンの動きを止めた瞬間、ロクサーナの雷魔法が開きかけた口から尾まで突き抜けた。
「面倒だから血抜きとか皮剥ぎとかして帰る?」
「いや、このままの方がみんな盛り上がりそうじゃないか?」
「そう言えばそうだね~、レヴィアタンの丸焼きとかできたら面白そう」
【俺は生! 踊り食いしたかった】
【ピッピは~、炙り焼き~】
僕は私はと好みの料理方法を口にしながら、ブクブクと沈みはじめたレヴィアタンを異空間に収納して島に転移した。
「みんな! お土産だよ~、今日のメインディッシュはぁ、ドドーン! レヴィアタンで~す」
ドラベビーのお祝いなので、真っ先に山のてっぺんに持って行くと、ゴン太が大騒ぎしはじめた。
【レヴィアタンを討伐した人間は世界初だよ! 凄えぇぇ、本物初めて見たぁぁ。ベビちゃん、コレが世界最強の怪物だよ~。んで、めちゃくちゃ美味いらしい。
ドラ美ママとベビちゃんの分を下さいしようね】
【ピィッ⋯⋯おいちい、くだたい】
「勿論だよ~、解体したらゴン太の分も合わせて持ってくるから、楽しみにしててねね~」
山のような大きさのレヴィアタンなら、島の全員の口に入るくらいのお肉になるはず。
(世界初かぁ⋯⋯めちゃめちゃ楽しみ~)
【【⋯⋯ぎゃあ! 鯨ぁぁ】】
【でっけえ】
【うっわぁ硬い! 父ちゃん、この皮剥ける? ドワーフの武器でも難しいんじゃないんね?】
この言葉でドワーフ達の鍛治師魂に火がついたのは言うまでもない。
おじさんドワーフ達が自慢の武器を家から持ち出して、誰の切れ味が一番か勝負がはじまった。
【レヴィアタンの皮は伝説なんじゃけん、粉々にしたらダメじゃけんね!】
早く綺麗に剥いだオッサンが優勝と決まり、勝者には東の国で発見した『紹興酒』がプレゼントされる事になった。
【おっしゃあ! 初めての酒はわしのモンじゃあ!】
【ワシが貰うけん、紹興酒ちゃん、待っとれよー】
「甕で買ってきてるんだけど、上澄みがおすすめなんだって。みんな頑張れ~!」
酒好きには堪らない情報が出てきて、人生最高かと思うほどの集中力を見せるドワーフ達。その健闘を見ながら、料理の準備が進められていく。
【紹興酒言う酒は、上と下でそんなに違うもんなん?】
甕出し紹興酒は空気に触れる面が大きく、量が多いのですぐには無くならない。そのため、減っていく過程で劣化が進んでいくと言うのだが、ドワーフ達にかかれば甕の一つや二つ、すぐに空になりそうな気がする。
「詐欺じゃないからね! 甕を開けた直後にふわっと上がってくる香りは格別だって言うから、許してくれるよね?」
甕出し紹興酒は石膏で固められている蓋を叩いて壊し、竹の皮・素焼きの蓋・ロウ油の塗られた紙・蓮の葉をゆっくりはがす。
その工程を楽しんでもらうだけでも、優勝した甲斐があるはず。
解体したお肉は生や炙りで楽しみ、空になった紹興酒の甕は優勝者の家の前に飾られる事になった。
ドラゴンファミリーはもちろん生で食べたそうだが⋯⋯。
【ピィッ⋯⋯とうちゃ、おかありほちいの】
【ぼ、僕のをあげるからね⋯⋯えっ、いや、ドラ美ママは全部食べて良いからね! 僕はもう十分だから。この木を齧って歯の手入れを⋯⋯】
泣く泣く自分のお肉を息子に捧げたゴン太をちょっぴり見直した。
急成長するドラベビーの名前は『ケルル』に決まったそう。
【ゴン太のネーミングセンスのなさに、親戚のクロケルが呆れちゃってね、ゴリ押ししてきたの。ベビちゃんも気に入ったみたいだから、良いかなって】
(ケルルの先生をするって言って、闇の悪魔クロケルがきちゃったのは驚きだけど、ドワーフの子供達まで集めて学校をはじめるとか、結構面倒見が良くて嬉しいかも)
「意外なとこで異種族共存が成り立って良き良き」
クロケルは銀の髪と金色の猫のような目を持つ悪魔の一柱。黒衣を纏い決して溶けることのない氷の剣を持って突然現れた。
【我の血筋に優秀な子が産まれたらしいな。芸術を好み幾何学や教養学に長け、科学全般にも詳しい我が知恵を授けてやろうぞ】
【あ! 浴槽公爵じゃ】
【浴槽公爵言うたらいけんのんで】
【ピイッ⋯⋯おくと、こうちゃくん? こうちゃくん、こななちあでちゅ】
【おじちゃんの事は先生と呼びなさい。こ、こうちゃくんは可愛いが、可愛いがぁぁ⋯⋯捨てがたい呼び名だが、先生だからね、上手に言えるかな?】
【ピイッ⋯⋯うーん、こたくん?】
【ううっ、ますます可愛く⋯⋯ならこた先生にするか? いや、クロケル先生の予定だったし⋯⋯ケルルならなんでも許して⋯⋯ドワーフの子供達までなら、許せる。『こうちゃ』でも『こた』でもなんでも構わん⋯⋯。
ゴホン! ま、まずは算数からな、1足す1は分かるかな? えっ、分かんない?
えーっと、パパとママがいるよね。なら何匹になるかな?】
【ピイッ⋯⋯かどくぅ】
【て、哲学か!】
(そのお陰でこれからはお買い物できるようになるし、お釣りの計算も完璧! 良いことずくめじゃん)
ゴン太パパを籠絡しドワーフの子供達と一緒に世界中を飛び回るケルルは、常識を無視して遊んでいるらしく、ドラ美の溜め息で山の木々が薙ぎ倒されていく。
【ホントにどうしようかしら。元気なのは嬉しいんだけど、ヤンチャすぎて困ってるの】
人や町に迷惑をかけるわけではないが、突然ドラゴンが現れただけでパニックになるのは当然の事。
その上、気に入ったものを見つけるとドワーフを咥えたケルルが町に降りて、堂々と買い物をするらしい。
【ちゃんとお金は払ってるし、物も壊してない⋯⋯そこは安心してるんだけど】
パニックになって商人が逃げ出すと、商品の代わりにちゃんとお金を置いていく。
ごくたまに無謀な者がドワーフを捕まえようとすると、ケルルが氷漬けにする。ケルルを捕まえようとする者が出ると、ゴン太が空から威嚇の火を吐く。
今では、世界の共通認識⋯⋯ドワーフを虐めたらドラゴンに殺られる!!
「うーん、ドワーフがこの世界で生きていきやすくなってるかもだから、良いんじゃないかな」
昔のように⋯⋯武器目当てで拉致監禁される心配がなくなれば、ドワーフ達は自由に暮らしていけるのだから。
ドラ美の一番の心配は、ケルル達のせいでドラゴン討伐隊ができる事だろう。
「もう少ししたらみんな慣れてくると思うし、もしもの時は私とルイスが討伐隊をケチョンケチョンにしちゃうからね~」
【出先で何かあれば、俺達がケルル達を島に転移させる】
ケルルからお兄ちゃんとお姉ちゃんに認定された、ミュウ達全員の鼻息が荒い。
「ケルルに何かあったら、ミュウ達だけじゃなくクロケルまで飛び出していきそうで怖いけどね。そうなる前に手を打たないと⋯⋯」
最強で最恐のケルルの護衛陣に、ジルベルトの不安は尽きない。
49
お気に入りに追加
2,526
あなたにおすすめの小説
真面目くさった女はいらないと婚約破棄された伯爵令嬢ですが、王太子様に求婚されました。実はかわいい彼の溺愛っぷりに困っています
綾森れん
恋愛
「リラ・プリマヴェーラ、お前と交わした婚約を破棄させてもらう!」
公爵家主催の夜会にて、リラ・プリマヴェーラ伯爵令嬢はグイード・ブライデン公爵令息から言い渡された。
「お前のような真面目くさった女はいらない!」
ギャンブルに財産を賭ける婚約者の姿に公爵家の将来を憂いたリラは、彼をいさめたのだが逆恨みされて婚約破棄されてしまったのだ。
リラとグイードの婚約は政略結婚であり、そこに愛はなかった。リラは今でも7歳のころ茶会で出会ったアルベルト王子の優しさと可愛らしさを覚えていた。しかしアルベルト王子はそのすぐあとに、毒殺されてしまった。
夜会で恥をさらし、居場所を失った彼女を救ったのは、美しい青年歌手アルカンジェロだった。
心優しいアルカンジェロに惹かれていくリラだが、彼は高い声を保つため、少年時代に残酷な手術を受けた「カストラート(去勢歌手)」と呼ばれる存在。教会は、子孫を残せない彼らに結婚を禁じていた。
禁断の恋に悩むリラのもとへ、父親が新たな婚約話をもってくる。相手の男性は親子ほども歳の離れた下級貴族で子だくさん。数年前に妻を亡くし、後妻に入ってくれる女性を探しているという、悪い条件の相手だった。
望まぬ婚姻を強いられ未来に希望を持てなくなったリラは、アルカンジェロと二人、教会の勢力が及ばない国外へ逃げ出す計画を立てる。
仮面舞踏会の夜、二人の愛は通じ合い、結ばれる。だがアルカンジェロが自身の秘密を打ち明けた。彼の正体は歌手などではなく、十年前に毒殺されたはずのアルベルト王子その人だった。
しかし再び、王権転覆を狙う暗殺者が迫りくる。
これは、愛し合うリラとアルベルト王子が二人で幸せをつかむまでの物語である。
拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜
みおな
恋愛
子爵令嬢のミリム・アデラインは、ある日婚約者の侯爵令息のランドル・デルモンドから婚約破棄をされた。
この婚約の意味も理解せずに、地味で陰気で身分も低いミリムを馬鹿にする婚約者にうんざりしていたミリムは、大喜びで婚約破棄を受け入れる。

【完結】公爵家のメイドたる者、炊事、洗濯、剣に魔法に結界術も完璧でなくてどうします?〜聖女様、あなたに追放されたおかげで私は幸せになれました
冬月光輝
恋愛
ボルメルン王国の聖女、クラリス・マーティラスは王家の血を引く大貴族の令嬢であり、才能と美貌を兼ね備えた完璧な聖女だと国民から絶大な支持を受けていた。
代々聖女の家系であるマーティラス家に仕えているネルシュタイン家に生まれたエミリアは、大聖女お付きのメイドに相応しい人間になるために英才教育を施されており、クラリスの側近になる。
クラリスは能力はあるが、傍若無人の上にサボり癖のあり、すぐに癇癪を起こす手の付けられない性格だった。
それでも、エミリアは家を守るために懸命に彼女に尽くし努力する。クラリスがサボった時のフォローとして聖女しか使えないはずの結界術を独学でマスターするほどに。
そんな扱いを受けていたエミリアは偶然、落馬して大怪我を負っていたこの国の第四王子であるニックを助けたことがきっかけで、彼と婚約することとなる。
幸せを掴んだ彼女だが、理不尽の化身であるクラリスは身勝手な理由でエミリアをクビにした。
さらに彼女はクラリスによって第四王子を助けたのは自作自演だとあらぬ罪をでっち上げられ、家を潰されるかそれを飲み込むかの二択を迫られ、冤罪を被り国家追放に処される。
絶望して隣国に流れた彼女はまだ気付いていなかった、いつの間にかクラリスを遥かに超えるほどハイスペックになっていた自分に。
そして、彼女こそ国を守る要になっていたことに……。
エミリアが隣国で力を認められ巫女になった頃、ボルメルン王国はわがまま放題しているクラリスに反発する動きが見られるようになっていた――。
悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!
naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』
シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。
そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─
「うふふ、計画通りですわ♪」
いなかった。
これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である!
最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。

《完結》国を追放された【聖女】は、隣国で天才【錬金術師】として暮らしていくようです
黄舞
恋愛
精霊に愛された少女は聖女として崇められる。私の住む国で古くからある習わしだ。
驚いたことに私も聖女だと、村の皆の期待を背に王都マーベラに迎えられた。
それなのに……。
「この者が聖女なはずはない! 穢らわしい!」
私よりも何年も前から聖女として称えられているローザ様の一言で、私は国を追放されることになってしまった。
「もし良かったら同行してくれないか?」
隣国に向かう途中で命を救ったやり手の商人アベルに色々と助けてもらうことに。
その隣国では精霊の力を利用する技術を使う者は【錬金術師】と呼ばれていて……。
第五元素エーテルの精霊に愛された私は、生まれた国を追放されたけれど、隣国で天才錬金術師として暮らしていくようです!!
この物語は、国を追放された聖女と、助けたやり手商人との恋愛話です。
追放ものなので、最初の方で3話毎にざまぁ描写があります。
薬の効果を示すためにたまに人が怪我をしますがグロ描写はありません。
作者が化学好きなので、少し趣味が出ますがファンタジー風味を壊すことは無いように気を使っています。
他サイトでも投稿しています。
【完結】聖女と結婚ですか? どうぞご自由に 〜婚約破棄後の私は魔王の溺愛を受ける〜
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264)
「アゼリア・フォン・ホーヘーマイヤー、俺はお前との婚約を破棄する!」
「王太子殿下、我が家名はヘーファーマイアーですわ」
公爵令嬢アゼリアは、婚約者である王太子ヨーゼフに婚約破棄を突きつけられた。それも家名の間違い付きで。
理由は聖女エルザと結婚するためだという。人々の視線が集まる夜会でやらかした王太子に、彼女は満面の笑みで婚約関係を解消した。
王太子殿下――あなたが選んだ聖女様の意味をご存知なの? 美しいアゼリアを手放したことで、国は傾いていくが、王太子はいつ己の失態に気づけるのか。自由に羽ばたくアゼリアは、魔王の溺愛の中で幸せを掴む!
頭のゆるい王太子をぎゃふんと言わせる「ざまぁ」展開ありの、ハッピーエンド。
※2022/05/10 「HJ小説大賞2021後期『ノベルアップ+部門』」一次選考通過
※2021/08/16 「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過
※2021/01/30 完結
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

【完結】許婚の子爵令息から婚約破棄を宣言されましたが、それを知った公爵家の幼馴染から溺愛されるようになりました
八重
恋愛
「ソフィ・ルヴェリエ! 貴様とは婚約破棄する!」
子爵令息エミール・エストレが言うには、侯爵令嬢から好意を抱かれており、男としてそれに応えねばならないというのだ。
失意のどん底に突き落とされたソフィ。
しかし、婚約破棄をきっかけに幼馴染の公爵令息ジル・ルノアールから溺愛されることに!
一方、エミールの両親はソフィとの婚約破棄を知って大激怒。
エミールの両親の命令で『好意の証拠』を探すが、侯爵令嬢からの好意は彼の勘違いだった。
なんとかして侯爵令嬢を口説くが、婚約者のいる彼女がなびくはずもなく……。
焦ったエミールはソフィに復縁を求めるが、時すでに遅し──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる