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第七章『愛宕百韻』と光秀謀反の句の謎

61『久々に登場の救世主』

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○その者の名は――


 春の夜の夢の浮橋とだえして

     峰にわかるる横雲の空

             『新古今和歌集』


 引きすてられし 横雲の空

             『愛宕百韻』


この藤原定家の新古今調の代表句と、

『愛宕百韻』のミッシングリングの句を並べて見て――


どう考えても、同じ場面を歌に込めて詠っているようにしか思えない。


つまり、この定家の句を『愛宕百韻』の詠み人知らずの句は引用したことになるので――


『今まで甘い夜を過ごしてきた男女が、朝方別れる。』


という解釈となる。


ただ、定家の句の方は別れの場面を『わかるる』と自然に表現しているのに、詠み人知らずの句は『ひきすてられし』と、

けっこう男女の別れかたがハードな感じもするので……

想像によっては、男女の行為が終わったら、男が「もう用済み」と、女を捨てたようなニュアンスを感じる方もいるかとは思います。


――ということで、ここまでの二つの句の解釈を踏まえ、

この『愛宕百韻』での本作品の大前提――

織田信長の公認興行という観点で推察すると、答えは自ずから出てくる!


この「ひきすてられし」=『引き捨てられし』は、

“ある方”の最期を思わせますね。


そう、エルサレムの『ゴルゴダの丘』を重い十字架を背負わされ、“引き連れ回された”者――


そして自ら、十字架の上で命を“捨てた”者……


そう、その者の名は………



――イエス、そうキリストになった者の名前である。



久々に登場の本作品の主人公?の一人であるイエスさん。


――そう、この『愛宕百韻』は、

信長公認の連歌興行であり、その歌の根底に流れる詠み人たちの共通理念は――

信長による『福音書』計画なのである。


だから、『引きすてられし横雲の空』という詠み人知らずの句の《真意》は――


前述したように「横雲の空」=「朝方」なので、


朝方、今まで師弟愛で結ばれていた二人が、信長の計画による光秀の本能寺襲撃で別れ別れになる。

それは、イエスが自らの命を捨てた計画、『イザヤの書』の救世主伝説を実現したことに、あやかって実行されるものである。


……という解釈になる。


そしてつまり、この句を詠んだ者は……


そうこの『愛宕百韻』の詠み人知らずの句を、実際に詠んだ者の名は……



――織田信長、そう神に最も近い者の名前である。



「またまた、都合よく解釈しているだけ」

「そもそも信長は、愛宕山に来てないし」と読者。


そう感じるのは当然のことですが……

実はこの解釈を裏付ける《事実》が、実はあるのである!


そうこの信長が詠んだと推定される句――

そう〈三折裏〉の幻の十四句目の、

その一句前に詠まれた句を詠んだ者の名前は……

なんと……



――明智光秀、そう後世裏切り者と言われし者の名前なのだから!



次回、信長と光秀の句が合わさり一首の歌となる時――

《九十九韻の謎》は完全解明される!


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