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第七章『愛宕百韻』と光秀謀反の句の謎

57『【追跡報告】愛宕百韻、《九十九句》の謎』

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天正十年五月二十八日、愛宕山で行われた百韻連歌興行――

『愛宕百韻』。

当然、百韻連歌なので、歌が百句あるはずなのですが……

何故か九十九句しかない。

……つまり、一句たりないと前述しました。


それから、執筆連載しながら、『百韻九十九句の謎』を追究調査しておりました。

――その【追跡報告】をさせて頂きます!


なんと、一句足りない、ラスト・ワンピースを発見してしまいました!


この発見した一句を足せば、百韻となり、九十九句の謎は解けるのです。


――ということで、その一句を発表します!


……と、したいところなのですが、



なんと一つ問題があります。



この愛宕百韻、写しが数多く出回っているらしく……

拙者か知り得た中でも、三種類あります。

拙者が、引用・参照しているのは、

『島津忠夫校注【日本古典集成】33「連歌集」』

なのですが、

それ以外にも、『続群書類従』に載るもの。

あと出典不明の写しのものと、計三種類です。


その中で、拙者が参照している『日本古典集成』は、拙者が問題提起したように――九十九句しかありません。


『続群書類従』は、数えてみたら――しっかり百句ありました。


あと『出典不明の写し』も数えてみたら――百句ありました。


これを読んで、『日本古典集成』版のは何かの原因で、一句記し忘れた書き忘れただけでは?

と感じる読者も多いと思いますし、私もそう思っておりました。


ただ、九十九句しかない!と、大々的に問題提起してしまった手前、他の写しもあればと思って調査継続してきた訳ですが……


なんと、百句ある『続群書類従』と『出典不明の写し』の内容が違うのです。


どちらにしても、一句多い場所は特定されてて、〈三折裏〉の十四句目です。連歌は前述したように〈三折裏〉は十四句あるはずか、『日本古典集成』では、十三句しかない結果、九十九句で終わりを迎えるのですが、

その十四句目が、他の二つの写しにはあるのです。

それで百句となるのです。


その歌は、


〈三折裏・十四句目〉引きすてられし 横雲の空


――という句なのですが、なんと二つの写しのこの句を読んだ者の名前が違うのです!


『続群書類従』は、心前が詠んでいることに、

『出典不明の写し』は、昌叱が詠んでいることになっているのです。


もちろん何故、このような違いがでてくるのかというのは――

今から四百年も前の昔の事なので……という理由が一番だとは思います。


ただ、この写しによって一句足りないとか、詠んだ者の名前が違っているというのは、すべて写し違いが生じたからなのか、それとも意図的にされたものなのかは、現在のところ解りません。


ただ一つ言えることは、もし意図的に一句足りないことにしたのなら、当然その理由が存在することになります。


本作では、

『何故、意図的に一句足らずの写しを作ったのか?』

または『そもそも本文は、やはり九十九句だったのか?』


この『愛宕百韻、九十九句の謎』を、引き継ぎ追究していきます。


そう、何故なら一句足らずに意図的にしたのなら――

絶対『本能寺の変』という事件に関係あらからです!



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