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第三章『信長とイエスーーその運命の類似』

13『信長三大悪事』

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信長はとかく残虐なイメージがつきまとう。

これはある意味仕方ないことではある。


よくいうように、

最大の勝者は、最大の英雄は、最大数の敗者の屍の上に立つ。

英雄は最大の人殺し。

一人殺すと殺人犯、なのにーー

大勢殺すと大英雄。


という言葉もあり、

信長は天下統一目前だったので、敵対者をたくさん倒したのは事実なので。


その中でも《信長三大悪事》といわれる、

『比叡山の焼き討ち』

『一向一揆の皆殺し』

『敵の朝倉義景のドクロ盃』


なんかは、まさに信長の残虐さを表す代名詞的なエピソードである。


まず、敵であった越前の戦国大名、朝倉義景を滅ぼしたあと、宴会の趣向としてーー

義景と信長を裏切った義弟浅井長政のドクロを、酒のさかづきして披露した『ドクロ盃』事件である。


これは案外説明簡単で、信長の時代は戦国時代で憎き者は殺すというのがこの時代の“時代精神”なのだ。

よっぽど朝倉義景・浅井長政が憎くて、それをやっとこさ攻め滅ぼしたので、うれしくてうれしくてしょうがなかったのであろう。

まっ、敵の戦利品を披露することはよく聞くが、敵のドクロを披露するのは現代の我々は実感ない。

が、そもそも『首実験』といって、誰がどれだけ戦で活躍したかを調べるために、敵の首を胴体から切り離し、その首の数をみんなの前で数える時代の世界なので、特段驚くほど特異な事件では実はなかったのだ。


というのは、このドクロ盃の出典は、

信長の祐筆、つまり信長の秘書・記録係であった太田牛一ぎゅういちが書いたーー

信長の一代記『信長公記しんちょうこうき』なのである。

なので、尊敬する織田信長の偉業を後世に残したくて記したものなので、牛一はこの事件を悪事とは思ってない。

だから内容も「主君信長様が宿敵を倒し、酒の席の余興としてドクロ盃を出してくれた、いやぁ、実にめでたい、めでたい」みたいなノリで記されているくらいである。



ーーそれはわかったけど、『三大悪事』のうち、

『比叡山の焼き討ち』や『一向一揆の皆殺し』は、罪もない老若男女を殺しているのだから、これは言い逃れできないでしょ?!



という読書の声がまた聞こえてくる……



それにしてもはたして、この二大悪事については信長に弁解?の余地はあるのだろうか?


さぁ、どのような論理で信長を救うのか?


乞う、ご期待!
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