2 / 3
まずは
しおりを挟む
幽霊になったことに気づいた俺は、この部屋から出るために色んなことに挑戦していた。
壁をすり抜けようとしてみたり、ものを掴めないか試してみたり
しかし、どれも上手くいかなかった。
壁は抜けようとすれば途中で引っかかってしまう
物も掴めない。
つまり、まぁ…
何も出来ないことがこれで分かった。
せめて、ここに残ってるのなら、君に会いに行きたいのにそれが出来ない
1人でただ死んだ後の時間を感じるだけのつまらない日常。
この世に残した未練である
「彼女の幸せ」
それを叶えることが出来ないのである。
ほんと…どうすれば…
「つまらなそうな顔だねー、せっかく君のために魂だけは残してあげたのにさ」
!?
知らない声が部屋に響く
部屋に響く声の主を探すために周りを見渡す。
しかし、どこにも声の主らしい人はどこにもいない。
「こっちだよ、こっちー」
後ろから声がする
後ろを振り向くと、そこには彼女から貰ったぬいぐるみのツムがあった。
…まさか
「ここだよー。あ、やっと目が合った。こんにちはー」
ぬいぐるみのツムが手を振っている。
…嘘
「え、な、え、え、ツムが、え、こわ」
「いや…幽霊に言われたくないんだけど」
「あ…そっか…じゃなくて、なんで喋れるの!?なんで動けるの!?」
「まぁまぁ、詳しい話は後でいいじゃないかー!」
よっこいしょ…
ツムが手を膝につき立ち上がった。
…状況が理解できない
「さてと、はじめまして。僕は死神のタナトだよ」
「…死神?タナト?」
「そ、君の魂を取るはずだった死神でーす。よろしくねー?」
「…は、はぁ」
「…信じられない感じ?」
「そりゃ…死神とか、神様とかいないと思ってましたから…」
「そっか、なら普段の姿見せた方が早いね」
バタッ
ツムは抜け殻のようにぐったりしてしまう
いや、これが普通の状態だ。
そして、その上に
あぐらをかいて浮いている存在がひとつ
紫メッシュの入った黒髪
真っ白な肌に、赤いぱっちりとした目
そして、スケルトン柄のクマのビックシルエットのパーカーをみにつけている小柄な青年
…量産型?サブカル系?東京の街を歩いている時は何回も見たことある見た目だ。
しかし、唯一そういった系統と違うところがひとつ。
鎌があることである。
「これで信じてくれたー?」
「…えっと…なんか、イメージと違ってて余計理解が追いつかないって言うか…」
「あー、この服のことー?人間界の洋服可愛いんだよねー、気に入っちゃったから真似してるんだ。」
「いや…それもあるんだけど、なんか…骸骨的なイメージがあったから」
「何その古いイメージw。今どきそんな死神居ないよー?」
げらげらと脚を叩きながら笑い始める死神を名乗る青年、タナト。
…本物なのか?
「その顔だとまだ信じてないようだねー」
「…まぁ、なんか…はい…」
「はぁ…普通に「ぎゃぁぁぁ!」とか、めちゃくちゃ驚いてくれるの想定してたのにさー?つまんないのー」
「…なんかすみません」
「いいよ別に、信じても信じなくても話を進める予定だったしさ」
よっと
そういいタナトは僕の方にふわふわと近づき口と口が触れてしまいそうな程の距離まで近づいてきた。
「…お前の今後の運命、命、生まれ変わりでさえ全て僕の手のひらの上にある。あの時今すぐに魂をとってやってもよかったんだ。命の恩人だと思って大人しく話を聞けよ?」
禍々しいオーラを放ち始める。
そして
鈍く光る赤い目が殺意の塊であることを示し始め、俺は体が動かなくなった。
…このままじゃ、魂ごと…消される
「…わかった」
「よろしいー!物分りがいい子だ!素直な子は嫌いじゃないよー」
ニコッと笑いながらスっと離れるタナト
…禍々しいオーラと言い、あの目といい…
今まで神も幽霊も信じてなかった俺には驚きの時間でしか無かったが
今は認めざるおえない。
「…で、話ってなんですか」
「そんな焦んないでってー、まぁ、かいつまんで簡単に言うとだね…」
君の彼女に合わせてあげるよ
条件次第だけどね
死神は不気味な笑顔をうかべ、僕に交渉を迫ってきた。
壁をすり抜けようとしてみたり、ものを掴めないか試してみたり
しかし、どれも上手くいかなかった。
壁は抜けようとすれば途中で引っかかってしまう
物も掴めない。
つまり、まぁ…
何も出来ないことがこれで分かった。
せめて、ここに残ってるのなら、君に会いに行きたいのにそれが出来ない
1人でただ死んだ後の時間を感じるだけのつまらない日常。
この世に残した未練である
「彼女の幸せ」
それを叶えることが出来ないのである。
ほんと…どうすれば…
「つまらなそうな顔だねー、せっかく君のために魂だけは残してあげたのにさ」
!?
知らない声が部屋に響く
部屋に響く声の主を探すために周りを見渡す。
しかし、どこにも声の主らしい人はどこにもいない。
「こっちだよ、こっちー」
後ろから声がする
後ろを振り向くと、そこには彼女から貰ったぬいぐるみのツムがあった。
…まさか
「ここだよー。あ、やっと目が合った。こんにちはー」
ぬいぐるみのツムが手を振っている。
…嘘
「え、な、え、え、ツムが、え、こわ」
「いや…幽霊に言われたくないんだけど」
「あ…そっか…じゃなくて、なんで喋れるの!?なんで動けるの!?」
「まぁまぁ、詳しい話は後でいいじゃないかー!」
よっこいしょ…
ツムが手を膝につき立ち上がった。
…状況が理解できない
「さてと、はじめまして。僕は死神のタナトだよ」
「…死神?タナト?」
「そ、君の魂を取るはずだった死神でーす。よろしくねー?」
「…は、はぁ」
「…信じられない感じ?」
「そりゃ…死神とか、神様とかいないと思ってましたから…」
「そっか、なら普段の姿見せた方が早いね」
バタッ
ツムは抜け殻のようにぐったりしてしまう
いや、これが普通の状態だ。
そして、その上に
あぐらをかいて浮いている存在がひとつ
紫メッシュの入った黒髪
真っ白な肌に、赤いぱっちりとした目
そして、スケルトン柄のクマのビックシルエットのパーカーをみにつけている小柄な青年
…量産型?サブカル系?東京の街を歩いている時は何回も見たことある見た目だ。
しかし、唯一そういった系統と違うところがひとつ。
鎌があることである。
「これで信じてくれたー?」
「…えっと…なんか、イメージと違ってて余計理解が追いつかないって言うか…」
「あー、この服のことー?人間界の洋服可愛いんだよねー、気に入っちゃったから真似してるんだ。」
「いや…それもあるんだけど、なんか…骸骨的なイメージがあったから」
「何その古いイメージw。今どきそんな死神居ないよー?」
げらげらと脚を叩きながら笑い始める死神を名乗る青年、タナト。
…本物なのか?
「その顔だとまだ信じてないようだねー」
「…まぁ、なんか…はい…」
「はぁ…普通に「ぎゃぁぁぁ!」とか、めちゃくちゃ驚いてくれるの想定してたのにさー?つまんないのー」
「…なんかすみません」
「いいよ別に、信じても信じなくても話を進める予定だったしさ」
よっと
そういいタナトは僕の方にふわふわと近づき口と口が触れてしまいそうな程の距離まで近づいてきた。
「…お前の今後の運命、命、生まれ変わりでさえ全て僕の手のひらの上にある。あの時今すぐに魂をとってやってもよかったんだ。命の恩人だと思って大人しく話を聞けよ?」
禍々しいオーラを放ち始める。
そして
鈍く光る赤い目が殺意の塊であることを示し始め、俺は体が動かなくなった。
…このままじゃ、魂ごと…消される
「…わかった」
「よろしいー!物分りがいい子だ!素直な子は嫌いじゃないよー」
ニコッと笑いながらスっと離れるタナト
…禍々しいオーラと言い、あの目といい…
今まで神も幽霊も信じてなかった俺には驚きの時間でしか無かったが
今は認めざるおえない。
「…で、話ってなんですか」
「そんな焦んないでってー、まぁ、かいつまんで簡単に言うとだね…」
君の彼女に合わせてあげるよ
条件次第だけどね
死神は不気味な笑顔をうかべ、僕に交渉を迫ってきた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる