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懐かしいけど苦しい毒

3日目 番外 2人の友達と…

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天気があまり良くない今日
春半ばで気温が少しづつ上がるこの時期
とても肌寒い。
(冬華たち大丈夫かな…心配でしょうがない)
私は一秋とデートついでに春樹の事について一秋と話すためにショッピングモール内の某有名コーヒーショップで新作を飲んでいた。

「…ほー…春樹は俺の電話の後ちゃんと冬華さんにちゃんと電話を入れたんだな…よかった…」
容姿に一切似合わない新作の桜のフラペチーノを飲み、うんうんと一秋は頷いていた。
「んで、今日冬華は春樹君をお家に呼んで過去の話をするって感じらしいんだけど…正直心配なのよね」
普段はちょうどいいほろ苦さのブラックコーヒーがとても苦く感じる
うーん…
不安だ…気合いは入れさせたけど
気合いだけじゃどうにもならんこともあるからなぁ…
春樹くんの様態とか、感情面が分からないから、サポートしようにもやりように困る…

「冬華なら大丈夫っしょ。春樹にも気合い入れさせたし、別に記憶なくなって嫌いになったわけじゃないべ?」
私の心配した顔を見て一秋はそう呟く

「そうだけどさー…」
さっきから不安でため息と深呼吸が混ざった息ばかり出てしまう

大丈夫だとは思っている
信じて無いわけじゃないけど
まだ確信が持てるほど情報が集まっていない。

「てか、鳴海って春樹と話したん??」

「実はまだ一言も喋ってないんよ、だから記憶が無い今まだ私の事知らないと思う。」
そう、私はまだ春樹くんと一言も会話を交わしていない。
話したいとは思うが、今は冬華のサポートに徹した方がいい。
まず、私は彼の友達、親友であって恋人ではない。
てか、私には一秋がいるしね…。
でも、冬華はその恋人を一旦失った。
あんなに大好きだった彼を一旦失う覚悟を決め、行動に出たんだ。
絶対に心に負担がかかってる
腹を括って覚悟を決めたとしてもかわせないダメージなのは確実。
すぐにでも彼女の心の負担を軽減したい。
なら、春樹くんとの時間を奪うわけにはいかない
私に時間をさくくらいなら、冬華ために使って欲しい。切実にそう感じる。

でも
やっぱり、親友に忘れられるのは心が痛む。耐えれないくらい。泣きそうなくらい。
でも、冬華はこれよりきっと辛い思いをしてる
泣いちゃダメだ。私が冬華の支えになるんだ

私はそっと、心の中で改めて決意をした。

「あ、その感じだとまたなんか我慢してるなー?なんでそこで素直になれないんかなぁ…今話してるのは俺だぞー?」
しかし、一秋はそう私に問いかけてきた。

…なんでこいつは私のそういうことにちゃんと気づいてくれるんだろうな
誰にもバレない自信があるのに

ずっと昔からそうだった
付き合う前からも私の変化にいち早く気づいてくれたのは一秋だった
人前で弱い所をあまり見せたくない
私は友達や大切な人の前では頼れる存在でいたい
そんなふうに思っていても必ず一秋に弱いところがバレてしまう。

「「俺には強がらんで泣きたい時はないていいし、愚痴こぼすのもいいよ。鳴海は優しいから自分の不満とか感情を溜め込みやすいのは何となくわかる」」

この人と一緒にいたい
心からそう思えたのが一秋だった…

「えっとー…うん、ごめ、そうだったね。正直忘れられたのめちゃくちゃ悲しいし、今すぐに話に行きたいよ。」
素直に私の感情を話した
それを聞くと一秋は
「俺も鳴海と同じだ…忘れられてるの伝えられた時めちゃ泣きそうだったもん。てか、電話ミュートにして発狂してた」

「ミュートで発狂はちょっと笑う笑。でも、一秋と春樹の仲だったら普通そうだよね…もし私が冬華から忘れられてたら確実に発狂してる」
一秋から見た春樹は
私から見た冬華と同じくらい大切な存在。
そんな相手から忘れられたのであれば
冬華の次に辛いのは一秋だろう
…一秋のメンタルケアもちゃんと私がしなきゃ。彼女だもの

「え、鳴海の発狂はちょっと見てみたいんだが!!今度見して!」

「やだよばーか笑」
悲しいのやら
楽しいのやら

ここに冬華と春樹が入ればもっと楽しかったんだろうな

「…鳴海も同じこと思ってたみたいだな」

ボソッと声に出してしまっていたらしい

「あ、声に出てた…?」 

「バリバリ出てたよ。ま、やっぱりそう思うよなー。あの日々を俺はまた過ごしたいよ」
一秋は飲み干したフラペチーノのをからのボトルをズルズルとすすりながらそう話した。

「…私たちのできること、何でもやろうよ」

「だな」
一秋と私ならきっと冬華と春樹くんの関係を元に戻せるはず。
そして、この4人の関係を戻す。
あの日々を取り戻す。
絶対に。

改めて目的確認をした私たちはコーヒーショップを後にし、元の目的であったデートに戻るのであった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
????

…へー
あの春樹先輩が記憶喪失…か…
オンライン授業での様子がちょっと違うと思ったけど、そういうことなのね…

冬華さんっていう彼女がいるのは知ってたけど、記憶が戻ってない今ならもしかしたら…

この諦めかけていた恋が実るかもしれない

私は耳に入ってしまったこの嘘のような話を信じ作戦を立てるために家にダッシュで帰るのであった。

「春樹先輩は、今度は私が幸せにする。」
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