694 / 1,008
12
しおりを挟む
どこの組の仕業なのか思い当たるところが多すぎて、検討もつかない。
ここに来ている関係者は、ピンからキリまでとはいえ誰もが玄人で手練れ。
素知らぬ顔で飄々と式に参加しているのだ。
裏社会の人間を相手にするのは神経を磨り減らす。
早く終わってくれ!と、口をついて出そうになる。
目的が何かは定かではないとはいえ、外崎はあの美貌で普段から肉体的にもちょっかいを出されていると聞くが…無事なのか?
祐羽の場合はこの世界に最近まで縁もゆかりもない全くの素人で無関係のまだ子どもだ。
拉致されて怖い思いをしているが、精神的に大丈夫だろうか…。
それから眞山は最後に中瀬の顔をぼんやりと浮かべた。
とある件で遭遇して自分が助けたばかりに恩だか何だか知らないが、こちらに足を踏み入れてしまった青年。
いつでも後を着いて来て、慕ってくれるその感情が年甲斐もなくくすぐったい。
何度か足を洗わせる為に諭した事もあったが、決して頭を縦には振らなかった。
いつでも一生懸命で、電話をすれば少し緊張で上ずった声で応える第一声。
顔を合わせれば何か言いたげな…。
「…無茶だけはするなよ」
自分の顔を見つめる時の中瀬の瞳に宿る熱を思い出して、眞山は無事を祈るばかりだった。
そんな眞山の願いが届くはずもなく、中瀬はじっとしてはいられず室内唯一の窓からの脱出を試みて外の様子を伺っていた。
「ダメだ…」
窓の外は建物の裏側にあたるらしく少しばかり崖になっていて、どう考えても脱出は無謀に思えた。
なんとか出られたとしても万が一滑ってしまえば滑落してかなり下までいきそうだ。
ここは表に回らなければ街へと下りることは不可能そうだった。
「どうかな?何とか行けそう?」
外崎が横から外の造りを見ながら中瀬の意見を訊く。
見晴らしの良い場所で、敢えて建てたのであろう崖に出っ張った造りを恨んでしまう。
見渡す限り山で、遠くに海が見える。
「いや、難しいかもです。建物のちょっと出てる所へ掴まれば何とかなるかもだけど、相当筋力無いと崖下に一直線な感じですね」
「そっか…」
「それに建物の表に回らないと道路へ出られないし、出られたとしてもアイツらの居たリビングから丸見えです」
中瀬は連れて来られた時に部屋の構造から、敵側の人数や顔をほぼ頭に入れていた。
「じゃぁ、ここからは逃げられないってことですか?」
祐羽の今にも泣きそうなその不安な顔を見て中瀬は頭を撫でてやる。
ここに来ている関係者は、ピンからキリまでとはいえ誰もが玄人で手練れ。
素知らぬ顔で飄々と式に参加しているのだ。
裏社会の人間を相手にするのは神経を磨り減らす。
早く終わってくれ!と、口をついて出そうになる。
目的が何かは定かではないとはいえ、外崎はあの美貌で普段から肉体的にもちょっかいを出されていると聞くが…無事なのか?
祐羽の場合はこの世界に最近まで縁もゆかりもない全くの素人で無関係のまだ子どもだ。
拉致されて怖い思いをしているが、精神的に大丈夫だろうか…。
それから眞山は最後に中瀬の顔をぼんやりと浮かべた。
とある件で遭遇して自分が助けたばかりに恩だか何だか知らないが、こちらに足を踏み入れてしまった青年。
いつでも後を着いて来て、慕ってくれるその感情が年甲斐もなくくすぐったい。
何度か足を洗わせる為に諭した事もあったが、決して頭を縦には振らなかった。
いつでも一生懸命で、電話をすれば少し緊張で上ずった声で応える第一声。
顔を合わせれば何か言いたげな…。
「…無茶だけはするなよ」
自分の顔を見つめる時の中瀬の瞳に宿る熱を思い出して、眞山は無事を祈るばかりだった。
そんな眞山の願いが届くはずもなく、中瀬はじっとしてはいられず室内唯一の窓からの脱出を試みて外の様子を伺っていた。
「ダメだ…」
窓の外は建物の裏側にあたるらしく少しばかり崖になっていて、どう考えても脱出は無謀に思えた。
なんとか出られたとしても万が一滑ってしまえば滑落してかなり下までいきそうだ。
ここは表に回らなければ街へと下りることは不可能そうだった。
「どうかな?何とか行けそう?」
外崎が横から外の造りを見ながら中瀬の意見を訊く。
見晴らしの良い場所で、敢えて建てたのであろう崖に出っ張った造りを恨んでしまう。
見渡す限り山で、遠くに海が見える。
「いや、難しいかもです。建物のちょっと出てる所へ掴まれば何とかなるかもだけど、相当筋力無いと崖下に一直線な感じですね」
「そっか…」
「それに建物の表に回らないと道路へ出られないし、出られたとしてもアイツらの居たリビングから丸見えです」
中瀬は連れて来られた時に部屋の構造から、敵側の人数や顔をほぼ頭に入れていた。
「じゃぁ、ここからは逃げられないってことですか?」
祐羽の今にも泣きそうなその不安な顔を見て中瀬は頭を撫でてやる。
10
お気に入りに追加
3,672
あなたにおすすめの小説
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
犬用オ●ホ工場~兄アナル凌辱雌穴化計画~
雷音
BL
全12話 本編完結済み
雄っパイ●リ/モブ姦/獣姦/フィスト●ァック/スパンキング/ギ●チン/玩具責め/イ●マ/飲●ー/スカ/搾乳/雄母乳/複数/乳合わせ/リバ/NTR/♡喘ぎ/汚喘ぎ
一文無しとなったオジ兄(陸郎)が金銭目的で実家の工場に忍び込むと、レーン上で後転開脚状態の男が泣き喚きながら●姦されている姿を目撃する。工場の残酷な裏業務を知った陸郎に忍び寄る魔の手。義父や弟から容赦なく責められるR18。甚振られ続ける陸郎は、やがて快楽に溺れていき――。
※闇堕ち、♂♂寄りとなります※
単話ごとのプレイ内容を12本全てに記載致しました。
(登場人物は全員成人済みです)
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる