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質の悪い男
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まさか九条のあんな電話一本で学校の部活まで制限されるとは思えないが、脳裏を中瀬のことばが過る。
確実に大丈夫だという自信が、祐羽には無かった。
九条はどんな事でもやってのけそうな力強さをもっている。
それにしても横暴だ。
これには黙っていられずに、祐羽はきゅっと唇を結ぶと九条を強い目で見返した。
「…何だ。言いたい事があるなら言ってみろ。聞いてやる」
祐羽の視線に何かあると察した九条がそう言い放った。
けれど、それは明らかに上からの物言いで、本当に自分の話しを聞いてくれるつもりがあるのか疑問が沸き起こるには十分だった。
人の上に立つのが当たり前で一切の疑念も抱かない。
そんな態度。
普通なら腹立たしい言動も九条だとしっくりくるというか、従わなければならない気持ちを持たせる。
そういう意味でも質の悪い男だった。
けれど、だからといってこのまま全てに従う事も出来ない。
祐羽は思いきって口を開いた。
「あのっ!…日曜にバスケ部は練習試合とかあるし…。そ、それに、九条さんが勝手に色んな事を決めないでください…っ…」
最後は勢いも弱くなり反抗というよりもお願いに近かったが、それでも言いたい事は言えた。
祐羽は息で落ち着かない肩を上下させながら、息を大きく吐き出した。
言ってしまった。
もう言った言葉は取り消せない。
けれど後悔はない。
ここまで意見をはっきり言ったのは、もしかすると生まれて初めてかもしれない。
いつもはのんびりとした性格のお陰で強く人に出ることもなかったし、周りが気持ちを汲んで合わせてくれることが多かった。
それがここにきて、まさかこんなにも大きな声で意見を言えるとは。
しかし、その相手がヤクザとは、自分でも泣きたくなる。
「練習試合…?」
「あ、はい」
九条が眉間に皺を寄せる。
「他の学校と練習試合をするんですけど…平日だと放課後になると時間的に…。だから日曜日とかにすることが多いんです…」
祐羽がチャンスとばかりに九条に訴える。
「お前は出てるのか?」
「え?」
何だろうかと首を傾げる。
「お前は試合に出てるのか?」
九条は冷めた目で祐羽を見下ろした。
確実に大丈夫だという自信が、祐羽には無かった。
九条はどんな事でもやってのけそうな力強さをもっている。
それにしても横暴だ。
これには黙っていられずに、祐羽はきゅっと唇を結ぶと九条を強い目で見返した。
「…何だ。言いたい事があるなら言ってみろ。聞いてやる」
祐羽の視線に何かあると察した九条がそう言い放った。
けれど、それは明らかに上からの物言いで、本当に自分の話しを聞いてくれるつもりがあるのか疑問が沸き起こるには十分だった。
人の上に立つのが当たり前で一切の疑念も抱かない。
そんな態度。
普通なら腹立たしい言動も九条だとしっくりくるというか、従わなければならない気持ちを持たせる。
そういう意味でも質の悪い男だった。
けれど、だからといってこのまま全てに従う事も出来ない。
祐羽は思いきって口を開いた。
「あのっ!…日曜にバスケ部は練習試合とかあるし…。そ、それに、九条さんが勝手に色んな事を決めないでください…っ…」
最後は勢いも弱くなり反抗というよりもお願いに近かったが、それでも言いたい事は言えた。
祐羽は息で落ち着かない肩を上下させながら、息を大きく吐き出した。
言ってしまった。
もう言った言葉は取り消せない。
けれど後悔はない。
ここまで意見をはっきり言ったのは、もしかすると生まれて初めてかもしれない。
いつもはのんびりとした性格のお陰で強く人に出ることもなかったし、周りが気持ちを汲んで合わせてくれることが多かった。
それがここにきて、まさかこんなにも大きな声で意見を言えるとは。
しかし、その相手がヤクザとは、自分でも泣きたくなる。
「練習試合…?」
「あ、はい」
九条が眉間に皺を寄せる。
「他の学校と練習試合をするんですけど…平日だと放課後になると時間的に…。だから日曜日とかにすることが多いんです…」
祐羽がチャンスとばかりに九条に訴える。
「お前は出てるのか?」
「え?」
何だろうかと首を傾げる。
「お前は試合に出てるのか?」
九条は冷めた目で祐羽を見下ろした。
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