神様自学

天ノ谷 霙

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起きた私のmemorial 編茶乃

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ふと目を覚ますと、私は家のベッドで寝ていた。今日は発表会だったな、と溜め息をついて起きる。すると身体に激痛が走る。どうやら私は昨日の家出で全体力を使い果たしたらしい。そういえば私はどうやぅて帰ってきたのだろう?全く思い出せない。
ばたんっ
ドアが開いた。びっくりして私は固まってしまった。
「編茶乃ッ!!」
「お、かあ…さま…」
涙目で入ってきたお母様は私が起きているのに気付き、安心したようで座り込んでしまった。
「良かった…良かったわ…っ蓮乃れんのがおぶって帰ってきた時は、本当に焦ったわ…」
蓮乃?
私は聞き返したかったが声を発せない。激痛と怒られると思っていた恐怖で動けない。
「今日の発表会はお休みしましょう。無理させすぎちゃったわね…私は、全然出来なかったから…才能のある娘には、と思ってしまったの…ごめんなさいね。これからは貴方の好きで良いからね」
おやすみなさい、と私を残して出て行った。
お母様に、何があったのだろう。まるで昨日出会った女性がこうしてくれたみたいで。
「ありがとう…神様」
もう一度布団に潜り、呟いた。

それから私は成長して、発表会にも自分から出るようになった。私は自分から壁を越えられるようになった。
お母様も、別人のように強制しなくなった。規則、ルールには厳格だけれど、自分の二の舞にならぬようにと才能を一方的に伸ばすようなことはせず、私に自由を与えてくれた。
それだけで、私は満足した。恩返しをしたいという想いも生まれた。嬉しくて、しょうがなかった。

それでもお母様は、たまに自分を見失って私に強く当たることもあった。それが過激になって、また昔のようになったときに清歌さんに会った。そして、助けて貰った。
あの時の女性と同じ雰囲気の人に、二人会った。一人は清歌さん。同じ巫女服姿で、私を言葉で冷静にさせてくれた。もう一人は、今目の前にいるこの少女。さすられた背中が人の温もりを感じて熱い。頬を伝う涙も、燃えるように熱かった。しかし私の心は、じわりと満たされていった。

帰宅して、靴を揃えリビングへ向かう。いつもと違い、お母様が料理を並べている。豪華で、愛の溢れる料理。
きっと、治ったのだろう。戻ったのだろう。バグを起こしたかのように一変する態度。
それでも私は恐怖を段々感じなくなって、お母様に変らず接することができる。
ああ、これを幸せと言うのだろうか。
なんて、昔の私からは考えつかないような言葉が思い浮かぶ。けれどその言葉は本心で。きっときっと、本心で。
心の底から温かい気持ちになれたんだ。
温もりが覚めぬよう、急ぎ足でベッドに向かい、隣のベッドで寝ている双子の弟におやすみと呟いた。
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